『斜陽 他一篇』強い女はお嫌い?
1947年 太宰 治 日本の小説の書き出しといえば、川端康成の『雪国』が有名ですが 私は『斜陽』の書き出しの方が印象的で好きなのです。 ちょっと書いてみますね。 朝、食堂でスウプを一さじ、すっと吸ってお母さまが、 「あ。」 と幽かな叫び声をお挙げになった。 この一文に惹かれて買った『斜陽』なのですが、読むにつれて気分 私は没落の物語はけっして嫌いではなくて、むしろ好きなジャンルなのですが...
View Articleミラノ 華麗なる貴族コレクションに行って来ました
今さら…って感じですが、ゴールデンウィーク終盤、Bunkamuraザ・ミュージアムに ミラノ ポルディ・ペッツォーリ美術館 華麗なる貴族コレクション を観に行って来ました。 期待に胸ふくらませ… このコレクションのことをかいつまんで言うと… ミラノ有数と言われた貴族ペッツォーリ家の、ジャン・ジャコモ・ポルディが 先祖代々の美術品とともに莫大な財産を受け継ぎまして...
View Article『小さな土曜日』タイトル買い、失敗
GOD WAS HERE BUT HE LEFT EARLY アーウィン・ショー 可愛らしい題名で、ニューヨークのいい話っぽい短篇集かしらと思っていましたが… 今まで読んだアーウィン・ショーの短篇集は、どれも好きだったのですが これはどうも好きになれない一冊でした。 各々がそれぞれに言いたいことを含んでいるとは思うのですが 何が言いたいのかはっきりしないのよね。 そしてそのわりにはヘヴィなのよ。...
View Article『崩壊 フィッツジェラルド作品集3』フィッツジェラルドならではの一冊
SHORT STORIES BY F.SCOTT FITZGERALD スコット・フィッツジェラルド この本には11篇の小説と6篇のエッセイらしきものがおさめられています。 やはり『バビロン再訪』はいいですね〜、何度読んでも。 それ以外は未読でした。 私は、小説の方は本当に面白く読めたのですが、エッセイはダメでした。 だって、この人は作家になって本当に幸せだったのだろうか? とまで思えるほど...
View Article『この世界の女たち アン・ビーティ短篇傑作選』こじれてもLet It Go
THE BEST OF ANN BEATTIE アン・ビーティ つい流行にのっちゃった… アン・ビーティは、名前は知っていましたが読んだのは初めてです。 なので、この一冊に限ってということになりますが、好きな感じでした。 けっこう濃密な内容が展開されているわりに、唐突にスパッと終わるので 読者は(私は)道の上に放り出されて置いて行かれるような気がしてオロオロしますが...
View Article『キス・キス』…胃のあたりがムカムカする
KISS KISS 1953〜1959年 ロアルド・ダール 題名と表紙ははポップで楽しそうなのに… 嘘つきぃぃぃっ! ロアルド・ダールは、以前『王女マメーリア』と『あなたに似た人』を読んで そこそこ面白かったので、本屋さんで見つけた時に即購入したのですが なんなんでしょう? この後味の悪さは… 11話おさめられていますが、大きく分けると 侮られた人々が相手を見返すちょっと笑えるお話しと...
View Article『ティンブクトゥ』犬の人生(?)もいろいろ
TIMBUKTU 1999年 ポール・オースター 『最後の物たちの国で』と『ブルックリン・フォリーズ』の2冊で すっかりオースター・ファンになってしまい、また読んでみました、が… とにかく予測のつかない作家ですね、オースター。 以前読んだ2冊とは、またもやまったく違う印象を受けました。 前半は語って語って語り倒す…っていう感じで、少しうるさい〜と思いましたが...
View Article『ビラヴド』語りつぐことの難しさ
BELOVED 1987年、2004年 トニ・モリスン 『パラダイス』、『ジャズ』に続いて読んでみました。 早川書房のトニ・モリスン・セレクションの一冊。 私は、この作家の物語には、内容の好き嫌いはともかく静かに圧倒されます。 かなりのファンタジー性をはらんでいるのにまったく非現実を感じさせない… 不思議な魅力にどっぷりはまっていってしまいます。 いきなり “ 幽霊が棲んでいる家 ”...
View Articleポーランド公ヘンリク4世妃 マティルダ
略奪婚?妄想が膨らむ妃 ヘンリク4世妃 マティルダ・ブランデンブルシュカ 1270〜1298/在位 1288〜1290 モヤモヤを残しつつ表舞台から去っていったコンスタンツィアと離婚後が死別後に ヘンリク4世が再婚したのは、ブランデンブルグ=ザルツヴェーデル辺境伯オットー5世の娘 マティルダです。 同じくオットー5世の娘でマティルダの姉あたるベアトリクスが...
View Article『華麗なるギャツビー』映画化される?
THE GREAT GATSBY 1925年 スコット・フィッツジェラルド 表紙がディカプリオ版じゃないのよ、レッドフォード版なの…年代物ね! 実は先日、C・D・B・ブライアンの『偉大なるデスリフ』という小説を読んで たぶん『グレート・ギャツビー』へのオマージュ的な作品なんだろうけど どのあたりがそうなんでしょう? と思い、すっかり内容を忘れてしまったギャツビーを...
View Article『ナイフ投げ師』少年のノスタルジーに浸る…膝下ぐらいまで
THE KNIFE THROWER AND OTHER STORIES 1998年 スティーヴン・ミルハウザー スティーヴン・ミルハウザーは『夜の姉妹団』と『and other stories』におさめられていた 『イン・ザ・ペニー・アーケード』しか読んだことがなかったのですが ちょっと気になっていたので、この本を見つけた時に即買って読んでみました。 面白かったです。...
View Article『猫のパジャマ』前書きは後まわしで…
THE CAT'S PAJAMAS 2004年 レイ・ブラッドベリ 可愛いタイトルじゃない? 即買いしました。 詩を含む21篇がおさめられていますが、SFのジャンルを超えた幅広い…というか 幅広すぎるテーマにお腹いっぱいです。 今回は印象に残ったお話しが数多いので、前置きはこのくらいにしておいて さっそく紹介しますね。 『ふだんどりにすればいいのよ(We'll Just Act...
View Article『シルヴェストル・ボナールの罪』古くさいんですのじゃ
LE CRIME DE SYLVESTRE BONARD MEMBRE DE L'INSTITUT 1881年 アナトール・フランス まぁ、1800年代に書かれている物語に新しさを求めるのは無理ってものですが あまりにも古い、古すぎる! 風情はありますけどね。 最初は難しい本の話しばかりが書かれていて、つまらない話し!と イライラしながら読んでいましたが、後半にいくにつれて盛り上がりました。...
View Article『ヒューマン・コメディ』静かに思い返したい名著
THE HUMAN COMEDY 1943年、1971年 ウィリアム・サローヤン 『リトル・チルドレン』と『ディア・ベイビー』に続き なぜか家にあったサローヤン三冊の最後の一冊を読んでみました。 『リトル〜』も『ディア〜』も面白く読めましたが、ものすごく心に残ったかというと そうでもなかったのにくらべて、この一冊はとても心に残りました。 どこがどうというのではなくて、全体的に…...
View Article『犬は吠える II 詩神の声聞こゆ』カポーティを見直す一冊
THE DOGS BARK 1951年〜 トルーマン・カポーティ 以前『犬は吠えるI ローカル・カラー』を読んで、とても面白かったので すぐに購入した『犬はほえるII』なのですが、なんか雰囲気が違うようだったので 長いこと放置してました。 この間本棚で見つけて、…そういえば,的に読んだのですけど、すごく面白かった! 四つのパートに分かれています。...
View Articleポーランド王プシェミスゥ2世妃 マルガリェタ
肖像画が無いので苦肉の策… 祖母のクリストファ1世妃マルグレーテ 久々の王妃だけど家系図だけ・・・ ポーランド王プシェミスゥ2世妃 マルガリェタ・ブランデンブルシュカ 1270〜1315/在位 1295〜1296 プシェミスゥ2世の三人目の妃は、肖像画もないし、個人的なエピソードもあんまりないけど...
View Articleポーランド王ヴァツワフ2世妃 グータ
どっちかっていうとボヘミア王妃 ヴァツワフ2世妃 グータ・フォン・ハプスブルク 1271〜1297/在位 (ボヘミア王妃)1285〜1297 (ポーランド王妃)1291〜1297 カジミェシュ2世の血をひくヴワディスワフ(1世)と争ってポーランド王についた ヴァツワフ2世のひとり目の妃は、ドイツ王ルドルフ王1世の王女グータです。...
View Article『偉大なるデスリフ』
THE GREAT DETHRIFFE 1970年 C・D・B・ブライアン 題名からうすうす察してはいましたが、フィッツジェラルドの『華麗なるギャツビー』に 大きく影響を受けている作品かと思われます。 内容はもちろんまったく違うものですが、ギャツビーからの引用も多々ありましたし こちらの登場人物をギャツビーの登場人物に重ね合わせることもできます。 物語は二部に分かれています。...
View Article『夜と灯りと』国家統一・・・その後
DIE NACHT,DIE LICHTER 2008年 クレメンス・マイヤー 本屋さんに行くと必ずチェックする新潮クレストのコーナーで 作家が旧東ドイツ出身という一点のみに興味を抱いて買った一冊です。 く、暗い… 私は暗い話しはキライじゃないけど、この本にはドーンと滅入ったね。 旧東ドイツ出身というところから、統一後のドイツの高経済についていけない、あるいは...
View Article『ぼくのともだち』ガンバレ! 私はムリなタイプだけど・・・
MES AMIS 1924年 エマニュエル・ボーヴ 歯ぎしりするほどじれったい… という小説を久しぶりに読みましたよ。 表紙の雰囲気からも連想されるでしょうが、ちょっと情けない青年を ユーモアを交えて描いている物語です。 ですが、読んでる私は面白いなんて思えず「あ!また」「だめ~!」って感じで ハラハラ、イライラする保護者にされてしまった気分。 裏表紙から引用すると “...
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