TIMBUKTU
1999年 ポール・オースター
『最後の物たちの国で』と『ブルックリン・フォリーズ』の2冊で
すっかりオースター・ファンになってしまい、また読んでみました、が…
とにかく予測のつかない作家ですね、オースター。
以前読んだ2冊とは、またもやまったく違う印象を受けました。
前半は語って語って語り倒す…っていう感じで、少しうるさい〜と思いましたが
後半は落ち着きを散り戻し、やっと感情移入することができました。
主人公はミスター・ボーンズ… 犬です。
ミスター・ボーンズが、破滅型で狂気を孕む放浪の詩人ウィリー・G・クリスマスと
ニューヨークからはるばるボルチモアまで、徒歩で! やって来たところから
物語が始まるのですが、その時点でウィリーは瀕死状態。
ウィリーは高校時代の恩師ビー・スワンソンに、ミスター・ボーンズの世話と
ロッカーに預けてある作品のことを頼もうと最後の力をふりしぼってやって来ました。
この願いが聞き入れられたかどうかはおいといて…
ミスター・ボーンズの飼い主はこの後2回変わります。
暮らしはウィリーといた時より安楽で平和になったみたい。
けれども結局ミスター・ボーンズの心を支配していたのは
長年片時も離れずにいて一緒に放浪を繰り返してきたウィリーだったのね。
最後には… あ、これは書いちゃダメだ、ネタバレになっちゃう。
書きたいけどぉぉぉ…
あ! 題名の『ティンブクトゥ』ですけど、これは、ウィリーがミスター・ボーンズに
死後に行く来世として語り聞かせていた場所の名です。
ミスター・ボーンズは、ウィリーがそこへ行くなら自分も行って
永遠に一緒に暮らしたいと、ずっと願っていました。
この題名からお察し下さい。
犬が主人公といえば、ジャック・ロンドンの『荒野の呼び声』『白い牙』が有名で
どちらも人間に対する犬の感情が見事に描かれています。
『ティンブクトゥ』でもそういった感情が描かれているのですが
ミスター・ボーンズがバックやホワイト・ファングと完全に違っているところは
人間の言葉を理解しているところです。
よく飼い主が「わかってるみたい」とか「きっとわかるんだよ」と言いますが
彼は本当に理解していて、ウィリーもそれを確信していて人間を相手にするように語ります。
後に飼い主になった二人にもなんとなくそれがわかり
ミスター・ボーンズがまるで友人でもあるかのように心配事や愚痴を話します。
しかし、ある意味それがミスター・ボーンズにとっての不幸だったような気もする…
普通の飼い犬なら汲んでやる必要の無い、複雑な飼い主たちの感情まで抱え込んで
応えてあげようとしなきゃならないんだからね。
これは人間の言うことを忠実に聞くというのとは訳がちがいます。
疲れるね〜、ミスター・ボーンズ。
『白い牙』を読んだ時にも感じましたが、犬は恩を忘れない反面
新しい主人にもすぐに忠実になれる順応性を持って生まれてきているのでしょうか?
注いだ愛情を愛情で返してくれるなんて、こんなに嬉しいことはありませんね。
でも、何度も言いますが、私はネコ派!!
それにしても、オースター、次に何を読めばよいでしょう?
きっとまた驚かされることでしょう。
しかし、作品の世界観や表現方法がまったく違っていたとしても、どれも好きです。
何がオースターっぽいのかは掴めずにいますが、現実と虚構のほどよいバランスが
心地よいかなぁ… なんて思っています。
ま、たった3冊しか読んでいないので、今のところはってことになりますけど…
ひとことK-POPコーナー
きっと皆さん “ 声帯ポリープ ” をググられたことでしょう! 生活に支障がないということなのでとりあえず一安心ですが
オニュ〜 きちんときちんと治して、また美しくて癒される歌声を聴かせてね。 待っています。
1999年 ポール・オースター
『最後の物たちの国で』と『ブルックリン・フォリーズ』の2冊で
すっかりオースター・ファンになってしまい、また読んでみました、が…
とにかく予測のつかない作家ですね、オースター。
以前読んだ2冊とは、またもやまったく違う印象を受けました。
前半は語って語って語り倒す…っていう感じで、少しうるさい〜と思いましたが
後半は落ち着きを散り戻し、やっと感情移入することができました。
主人公はミスター・ボーンズ… 犬です。
ミスター・ボーンズが、破滅型で狂気を孕む放浪の詩人ウィリー・G・クリスマスと
ニューヨークからはるばるボルチモアまで、徒歩で! やって来たところから
物語が始まるのですが、その時点でウィリーは瀕死状態。
ウィリーは高校時代の恩師ビー・スワンソンに、ミスター・ボーンズの世話と
ロッカーに預けてある作品のことを頼もうと最後の力をふりしぼってやって来ました。
この願いが聞き入れられたかどうかはおいといて…
ミスター・ボーンズの飼い主はこの後2回変わります。
暮らしはウィリーといた時より安楽で平和になったみたい。
けれども結局ミスター・ボーンズの心を支配していたのは
長年片時も離れずにいて一緒に放浪を繰り返してきたウィリーだったのね。
最後には… あ、これは書いちゃダメだ、ネタバレになっちゃう。
書きたいけどぉぉぉ…
あ! 題名の『ティンブクトゥ』ですけど、これは、ウィリーがミスター・ボーンズに
死後に行く来世として語り聞かせていた場所の名です。
ミスター・ボーンズは、ウィリーがそこへ行くなら自分も行って
永遠に一緒に暮らしたいと、ずっと願っていました。
この題名からお察し下さい。
犬が主人公といえば、ジャック・ロンドンの『荒野の呼び声』『白い牙』が有名で
どちらも人間に対する犬の感情が見事に描かれています。
『ティンブクトゥ』でもそういった感情が描かれているのですが
ミスター・ボーンズがバックやホワイト・ファングと完全に違っているところは
人間の言葉を理解しているところです。
よく飼い主が「わかってるみたい」とか「きっとわかるんだよ」と言いますが
彼は本当に理解していて、ウィリーもそれを確信していて人間を相手にするように語ります。
後に飼い主になった二人にもなんとなくそれがわかり
ミスター・ボーンズがまるで友人でもあるかのように心配事や愚痴を話します。
しかし、ある意味それがミスター・ボーンズにとっての不幸だったような気もする…
普通の飼い犬なら汲んでやる必要の無い、複雑な飼い主たちの感情まで抱え込んで
応えてあげようとしなきゃならないんだからね。
これは人間の言うことを忠実に聞くというのとは訳がちがいます。
疲れるね〜、ミスター・ボーンズ。
『白い牙』を読んだ時にも感じましたが、犬は恩を忘れない反面
新しい主人にもすぐに忠実になれる順応性を持って生まれてきているのでしょうか?
注いだ愛情を愛情で返してくれるなんて、こんなに嬉しいことはありませんね。
でも、何度も言いますが、私はネコ派!!
それにしても、オースター、次に何を読めばよいでしょう?
きっとまた驚かされることでしょう。
しかし、作品の世界観や表現方法がまったく違っていたとしても、どれも好きです。
何がオースターっぽいのかは掴めずにいますが、現実と虚構のほどよいバランスが
心地よいかなぁ… なんて思っています。
ま、たった3冊しか読んでいないので、今のところはってことになりますけど…
ひとことK-POPコーナー
きっと皆さん “ 声帯ポリープ ” をググられたことでしょう! 生活に支障がないということなのでとりあえず一安心ですが
オニュ〜 きちんときちんと治して、また美しくて癒される歌声を聴かせてね。 待っています。