CITY OF DRAM
2001年 ベヴァリー・スワーリング
エミール・ゾラの『パリ』とエドワード・ラザファードの『ロンドン』が読みたいなと
ずっと思っているのですが、お高いので躊躇していたところ古本屋さんで見つけた一冊。
作家のお名前も知らず、なんの前情報も無く、二段組で600ページ以上もあるので
最後まで読み通せるか不安でしたが杞憂でした。
圧巻でしたよ! この物語が処女作と知って驚いているところです。
ニューヨークという大都市を舞台に、ある一族の確執と争いを描いた物語なのですが
アメリカの歴史が絡んで、ただの内輪もめではない壮大なお話しになっています。
長いのでね… ものすごくかいつまんで紹介しますね。
1661年、オランダの植民地だったアメリカのニューアムステルダムに
ルーカスとサリーというターナー兄妹が下り立つところから物語が始まります。
この二人は英国とオランダで極貧と戦い、やっとの思いでアメリカに渡ってきました。
兄ルーカスは床屋兼外科医で妹サリーは薬剤師、腕の良い二人の評判は高まり
アメリカでの生活は順調に始まります。
ところが、ある事件をきっかけに兄と妹は金輪際顔を会わせることが無くなります。
主にサリーの方がルーカスを憎む…という構図なのですが、その気持ちはよくわかる!
なんでかは書かないけどね〜
そしてこの確執が延々と一族に続く怨恨の第一歩になります。
話は1711年にとび、ルーカスの孫にあたる外科医クリストファーが
没交渉だったサリーの娘のレッド・ベスから突然の訪問を受けたところから
第二の確執がスタート。
レッド・ベスの娘にあたるタムシンとその夫の内科医ザカリー・クラドックが
クリストファーに仕掛けたと言える諍いは一族に広がりをみせていきます。
クリストファーの娘ジェネットはとても美しい少女になります。
レッド・ベスの弟、すなわちサリーの息子ウィレム・デヴリーの息子ケイレブは
ジェネットに恋をして婚約までこぎつけるのですが、ある秘密がわかり破談になります。
しかも、ジェネットがすぐにユダヤ人の大富豪ソロモン・ダシルヴァと結婚したことが
ケイレブの憎しみを誘い、後のジェネット対ケイレブの死闘へと発展します。
その死闘に巻き込まれたばっかりに、ジェネットの息子モーガンは
ジェネットの兄にあたる外科医ルーカスの一家の恨みをかうことに…
さらに母親のやり方に堪えられなくなったモーガンが家を飛び出します。
あっちでもこっちでも誤解と詮索と怨恨が渦巻いてますよ!
先住民の反抗と壮絶な攻防、欧州による植民地の奪い合い、奴隷の反乱という
数々の試練をくぐり抜けてきたアメリカの植民者がじわじわと立ち上がります。
本国イギリスによる圧政と搾取に堪えきれなくなったのです。
独立戦争の中、ニューヨークでは愛国派(独立派)と保守派(英国派)が入り乱れて
お互いを傷つけ合います。
親子も兄弟も二派に分かれてむごい戦争に加わります。
ターナー家、デヴリー家も例外ではありません。
ずっと歪み合ってきた二つの家系でしたが
自分たちの争いなどの比ではない独立戦争に向き合ってどうなっていったのでしょうか?
はたから見れば「話せばわかる!」っていうことだと思うんですが
一度火がついた憎しみって、血の繋がりがある方が根深いのかしらね?
人間関係がわかりずらいでしょー?
でも巻頭に家系図がついていますのでご安心を。
主人公となっている一族は代々お医者様と薬剤師を輩出している医療一家なのですが
当時の医療事情には驚きますよ!!
麻酔がないとか輸血が妖しげな儀式に見られるというのも驚きますが
まあ300〜400年前のことだから当然かしらね、とも考えられます。
それより、外科医の方が内科医より数段格が低かったらしく蔑まれてるのに驚いたわ。
手術ができる方がヒルなんかに頼る治療より信頼できそうですけどね。
それから、女性が医療行為をするのは禁止どころか極刑になったってことですよ!
死刑ですよ!! 薬剤師はよかったらしい… 不思議ですね。
『アボンリーへの道』では長女フェリシティが医大に行ってましたが何年ごろの話し?
ヴィクトリア女王時代だったような気がするので1800〜1900年ぐらいかしら?
それにしても、戦争はいつの時代も酷いものですね。
原住民や奴隷に対する植民者のふるまいも、白人に対する原住民や奴隷の反抗も
一度は優勢にたった英国派の兵士の行いも、独立を勝ち取った愛国派のその後の行いも…
残虐なことにおいては皆同じ穴の狢ね。
ものすごく迫力がある描き方でむごさがありありと浮かびました。
人間は有利な立場に立った時、集団で少数を相手にする時、自分が正義だと信じこんだ時、
とんでもないことをするのだなと呆れるばかりです。
でも自分がそうしないとは誓えないのが情けないところ…
とにかく、不毛な争いがおこらないように願うばかりです。
“ 読書で三都物語 ” 、 まずは『ニューヨーク』を読破です。
ひとことK-POPコーナー
SHINHWAの新しいCDがすごいらしい!! っていう噂だけで18日発売の『THE CLASSIC』を予約しちゃったよ
豪華特典写真集ってのも気になるところ…
2001年 ベヴァリー・スワーリング
エミール・ゾラの『パリ』とエドワード・ラザファードの『ロンドン』が読みたいなと
ずっと思っているのですが、お高いので躊躇していたところ古本屋さんで見つけた一冊。
作家のお名前も知らず、なんの前情報も無く、二段組で600ページ以上もあるので
最後まで読み通せるか不安でしたが杞憂でした。
圧巻でしたよ! この物語が処女作と知って驚いているところです。
ニューヨークという大都市を舞台に、ある一族の確執と争いを描いた物語なのですが
アメリカの歴史が絡んで、ただの内輪もめではない壮大なお話しになっています。
長いのでね… ものすごくかいつまんで紹介しますね。
1661年、オランダの植民地だったアメリカのニューアムステルダムに
ルーカスとサリーというターナー兄妹が下り立つところから物語が始まります。
この二人は英国とオランダで極貧と戦い、やっとの思いでアメリカに渡ってきました。
兄ルーカスは床屋兼外科医で妹サリーは薬剤師、腕の良い二人の評判は高まり
アメリカでの生活は順調に始まります。
ところが、ある事件をきっかけに兄と妹は金輪際顔を会わせることが無くなります。
主にサリーの方がルーカスを憎む…という構図なのですが、その気持ちはよくわかる!
なんでかは書かないけどね〜
そしてこの確執が延々と一族に続く怨恨の第一歩になります。
話は1711年にとび、ルーカスの孫にあたる外科医クリストファーが
没交渉だったサリーの娘のレッド・ベスから突然の訪問を受けたところから
第二の確執がスタート。
レッド・ベスの娘にあたるタムシンとその夫の内科医ザカリー・クラドックが
クリストファーに仕掛けたと言える諍いは一族に広がりをみせていきます。
クリストファーの娘ジェネットはとても美しい少女になります。
レッド・ベスの弟、すなわちサリーの息子ウィレム・デヴリーの息子ケイレブは
ジェネットに恋をして婚約までこぎつけるのですが、ある秘密がわかり破談になります。
しかも、ジェネットがすぐにユダヤ人の大富豪ソロモン・ダシルヴァと結婚したことが
ケイレブの憎しみを誘い、後のジェネット対ケイレブの死闘へと発展します。
その死闘に巻き込まれたばっかりに、ジェネットの息子モーガンは
ジェネットの兄にあたる外科医ルーカスの一家の恨みをかうことに…
さらに母親のやり方に堪えられなくなったモーガンが家を飛び出します。
あっちでもこっちでも誤解と詮索と怨恨が渦巻いてますよ!
先住民の反抗と壮絶な攻防、欧州による植民地の奪い合い、奴隷の反乱という
数々の試練をくぐり抜けてきたアメリカの植民者がじわじわと立ち上がります。
本国イギリスによる圧政と搾取に堪えきれなくなったのです。
独立戦争の中、ニューヨークでは愛国派(独立派)と保守派(英国派)が入り乱れて
お互いを傷つけ合います。
親子も兄弟も二派に分かれてむごい戦争に加わります。
ターナー家、デヴリー家も例外ではありません。
ずっと歪み合ってきた二つの家系でしたが
自分たちの争いなどの比ではない独立戦争に向き合ってどうなっていったのでしょうか?
はたから見れば「話せばわかる!」っていうことだと思うんですが
一度火がついた憎しみって、血の繋がりがある方が根深いのかしらね?
人間関係がわかりずらいでしょー?
でも巻頭に家系図がついていますのでご安心を。
主人公となっている一族は代々お医者様と薬剤師を輩出している医療一家なのですが
当時の医療事情には驚きますよ!!
麻酔がないとか輸血が妖しげな儀式に見られるというのも驚きますが
まあ300〜400年前のことだから当然かしらね、とも考えられます。
それより、外科医の方が内科医より数段格が低かったらしく蔑まれてるのに驚いたわ。
手術ができる方がヒルなんかに頼る治療より信頼できそうですけどね。
それから、女性が医療行為をするのは禁止どころか極刑になったってことですよ!
死刑ですよ!! 薬剤師はよかったらしい… 不思議ですね。
『アボンリーへの道』では長女フェリシティが医大に行ってましたが何年ごろの話し?
ヴィクトリア女王時代だったような気がするので1800〜1900年ぐらいかしら?
それにしても、戦争はいつの時代も酷いものですね。
原住民や奴隷に対する植民者のふるまいも、白人に対する原住民や奴隷の反抗も
一度は優勢にたった英国派の兵士の行いも、独立を勝ち取った愛国派のその後の行いも…
残虐なことにおいては皆同じ穴の狢ね。
ものすごく迫力がある描き方でむごさがありありと浮かびました。
人間は有利な立場に立った時、集団で少数を相手にする時、自分が正義だと信じこんだ時、
とんでもないことをするのだなと呆れるばかりです。
でも自分がそうしないとは誓えないのが情けないところ…
とにかく、不毛な争いがおこらないように願うばかりです。
“ 読書で三都物語 ” 、 まずは『ニューヨーク』を読破です。
ひとことK-POPコーナー
SHINHWAの新しいCDがすごいらしい!! っていう噂だけで18日発売の『THE CLASSIC』を予約しちゃったよ
豪華特典写真集ってのも気になるところ…