三島 由紀夫
前回読んだ『永すぎた春』で上手く三島像が掴めなかったわたくし、
この本を読んでさらに迷走している気分です。
表題の中篇『女神』と10篇の短編がおさめられていますが、ほぼ全篇恋のお話し。
ファンタジーめいたものもあれば妖しい話しもあり、可愛らしいエピソードもありと
バリエーションに富んでいますけど、なんていうか…
三島由紀夫という人は美男美女の組み合わせが好きなのね?きっと。
そりゃ、美しい人が主人公の方がドラマティックだとは思うけどさ…
確かに古今東西のメロドラマの主人公は美しいけどさ…
三島由紀夫の場合 “ 完璧に ” 美しいカップルがお好みと見ました。
容姿端麗で頭脳明晰で天真爛漫で家柄良し… 悩みなんかなさそうですけどね。
印象に残ったお話しを紹介しますね。
『女神/1955年』
美術品のように美しく完成させた妻依子が空襲で顔に火傷をおってから
周伍は娘朝子を完璧に美しい淑女にすることに心血を注いできました。
年ごろになった朝子は画家の青年一(はじめ)と、銀行の跡取り俊二に出会います。
朝子は俊二となら完璧なカップルになると思い婚約することにします。
お気づきでしょうが朝子は本当は一に惹かれているんです。
ありがちな話しなら、朝子が本当の愛を大切にしようとすったもんだ…って展開ですが
そうはならないのが三島由紀夫のスゴいとこ!!
でもこの話しのラスト、私はちょっと気持悪いんですけどね…
『接吻/1951年』
満月の夜、詩人Aは思い立ってお嬢さん画家のアトリエを訪ねました。
お嬢さんは快く迎え入れてくれましたが、静物のデッサンが気に入らないらしく
イライラしながら筆を噛んでいます。
詩人Aはそんなお嬢さんの唇を盗み見ています。
最後に画家がとった行動を、気持悪〜と見るか、可愛いね!と見るかはお任せします。
私は純愛ぽくていいと思ったんですけどね。
ただ、こんなことが許されるのも若く美しいからなんでしょうね?
『朝の純愛/1965年』
良輔と玲子の夫婦は世間から自分たちを遮り二人だけの世界に生きてきました。
二人の気持は30年前に出会った時のままでした。
しかし老いを感じ始めた時、愛のために他人を利用することにします。
この話しは、実はあまり好きではないんですけど
作者の美しいカップル好きが垣間見えるのでは? と思いましてね…
巻き込まれちゃった若い二人がお気の毒です。
13年前に出会えなかった二人が出会うお話『伝説』とか
イライラさせられる向いの女学校の生徒に恋をしちゃったかもしれない男性のお話『哲学』
なんかが好きでした。 かなり短い話しですけど。
お伽噺のようなのに少し気味が悪い『雛の宿』も印象的でした。
『鴛鴦(えんおう』という、恋する二人の会話にイラつく話もありました。
でも私が言いたい最大の感想は、三島由紀夫は目で見て美しい恋愛が好きだ!!
ということかしら?
物語の内容はおいといて、とにかく、登場人物がどれほど理想的で
二人が並ぶとどれほど絵になるかっていう描写が欠かせないらしいのね。
こういうのを耽美派っていうのでしょうか?
よくわかりませんけど、美男美女のいないところに物語は生まれないという気がしました。
平凡な見かけの人でも恋をするってわかってほしい…
ひとことK-POPコーナー
先月末行って来ました!日本武道館、テソンのDLive!! 出だしから泣いちゃったよ
そして『粉雪』で再び泣いたね! テソンの声は素敵すぎるぅぅ… 全ていい曲に思えるよ