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Channel: まりっぺのお気楽読書
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『ジャズ』迷路で立ち往生…てな気分

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JAZZ 
1992年 トニ・モリスン

『パラダイス』にものすごく感激してしまって、すぐこの本を買っちゃったんだけど…
難しい… 実は1回読んだだけでは理解できなくて2回読んでしまいました。

この物語でも人種の問題を取り入れているようですが
それはそれとして、目まぐるしく変化していく物語の展開を追っていくことが
とても楽しくもあり苦しくもある一冊でした。

ある女性が若い娘の葬式で、横たわる娘の顔を斬りつけようとしたところから
物語が始まります。

斬りつけた女性はヴァイオレット・トレイス。
もぐりの美容師をしている40代後半の女性です。

斬りつけられたのはドーカスという、ヴァイオレットの夫ジョーが夢中になっていた
18歳の少女でした。

ジョーはドーカスが他の男といるところに現れ彼女を射殺したのですが
証拠不十分というか目撃者がいなかったため不起訴になったのでした。

その後ヴァイオレットはドーカスのことが知りたくなって
育ての親だったおばのアリス・マンフレッドを訪ねるようになります。
アリスは腕の良い仕立て屋ですが、暴動という暗い思い出から白人を恐れています。

ヴァイオレットとアリスの微妙な交流も興味深いところです。

それでね、この物語が難しくなっていくのはここから話が遡っていくことなんですが…

まずはヴァイオレットの母ローズ・ディアのエピソードがあり
祖母トルーベルの話しへと移ります。

トルーベルが長い間仕えていたヴェラ・ルイーズと彼女が生んだゴールデンという息子、
ゴールデンが探し求めた父親と見られる黒人男性ヘンリ・レストーリ、
ヘンリ・レストーリが託されたワイルドという狂女は、どうやらジョーの母親らしい…
遡っていくと登場人物たちが不思議につながっていくんですね。

ここで少しこんがらがってしまって、またまた家系図なんかを書きながら読みました。
ただ、難しいけど面白いくだりで読み進めるのは苦痛ではありませんでした。

最後には現代に戻ってきて、ヴァイオレットとジョーのその後が書かれています。
このラストをどう見るかは人それぞれだと思いますが
私はヴァイオレットに「良かったね」と言ってあげたいような気がします。

かなりはしょりましたので、ただのセンセーショナルな物語に思えるかもしれませんが
それは私の書き方のせいでして、本当はもっと奥深い人の過去と現在の妙が描かれています。

『パラダイス』同様、恐ろしさと悲しさと独特の美しさを孕んだファンタジーで
物語としてたいへん面白いものでありました。
なにしろ2回続けて読んでも途中で飽きることがなかったからね!

ひとことK-POPコーナー
PARADISEといえば… Infiniteの爽やかなティーザーも4日めになり期待が膨らむ一方ですね!!
あと3日か…

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