COLLECTED STORIES OF KATHERINE MANSFIELD
キャサリン・マンスフィールド
なにしろ読書感想文の草稿が30個ぐらいたまってまして…
しばらくの間、読書感想文下書き半減キャンペーンを展開しますね。
さてマンスフィールド… いくら好きだからって、しつこいですよね。
彼女の作品、大好きなんですよねぇ…
だからできるだけ紹介したくって書いてしまいました。
岩波文庫、新潮文庫、ちくま文庫とマンスフィールドの短篇集をご紹介してきました。
この文化書房博文社版に収載されているのは12篇で、ほとんど紹介ずみなのですけどね…
紹介しきれなかったよいお話しをあげてみます。
これにてマンスフィールド短篇集は打ち止めのつもり…
『人形の家(The Doll's House)/1921年』
バーネル姉妹はヘイおばさんから大きなドールハウスをもらいました。
学校で自慢話をすると早速クラスメイトの少女たちが見に来ました。
あらかたの少女たちが見終わると、末娘のケザイアは学校中の嫌われ者
ケルヴィ姉妹に見せてあげようとしてお母さんに反対されます。
大人も子供も、地域全体を通じて歴然とある差別のお話しですが
主人公が小さな女の子たちなだけにいっそう悲しい気分になりますね。
当時の中流階級のキリスト教的慈善精神と近所づきあいの矛盾を皮肉っているみたいでした。
それはさておき、読んでいたら立派なドールハウスと内装品が浮かんでワクワクしました。
『小さな女の子(The Little Girl)/1910年』
小さなケザイアはなにしろお父さまを恐れ、避けるように暮らしていました。
ケザイアはお父さまのお誕生日を祝うため綺麗な薄紙を裂いて針刺しを作ることにしますが
その紙はお父さまの大切な書類で、さらに恐ろしい顔のお父さまに叱られてしまいます。
そんな中、お母さまが急に病気になり、ケザイアはお父さまと二人で家に残されます。
反抗期以降、怒鳴られても殴られても平気だったけど、小さい頃は父親が怖かったですね。
家は典型的な昭和頑固おやじだったので、すぐカーっとするわ、声でかいわ…
怒られてばかりでした。
長い反抗期でしたけど、ふと解ける瞬間があったなぁ…そんなことを思い出した一編でした。
『カナリヤ(The Canary)/1922年』
老婦人がカナリヤを亡くしてしまった悲しみを語ります。
“ あの子 ” がどんなに歌を上手く歌い、どんなに可愛らしく婦人の気を惹こうとしたか…
“ あの子 ” が婦人がしてくれる世話にどれだけ感謝し理解してくれていたか…
朝起きてから夜眠るまで、二人だけの時間がどんなに穏やかで楽しかったか…
マンスフィールドが死の前年に書いた最後の作品だそうで
小鳥の思い出を語るという、一見他愛無い話の中にものすごく深い悲しみが表されています。
同年に書いた『蠅』というお話しもけっこう救いようが無い気がしていますが
『カナリヤ』はひねりが無いだけに、ストレートに胸にくるものがありましたね。
けっこうな数の物語が4冊の短篇集の中で重複していたのですが
何度読んでも楽しく、その都度小さな歓びに出会うことができました。
ブロンテ姉妹、ジェーン・オースティン同様、早世してしまったのが残念です。
老境に入ってからの世界観も読ませていただきたかったですね。
とりあえず、手持ちのマンスフィールドは読みつくしてしまったので
他に短篇集は出ていないものか探しまわっている今日このごろです。
ところで、以前モームの『クリスマスの休暇』でも愚痴った邦題の違いの件ですが
マンスフィールド短篇集の中にもいくつかありました。
その中でもA Dill Picleというお話しがありまして
ちくま文庫では『ディル風味のピクルス』だったのですが
文化書房版では『いのんど漬』になってるんですよね。
調べたところ、イノンドっていう薬草はあるそうです。
でも素直にディルのピクルスって言ってもらった方が解り易い気がするんですけどね。
キャサリン・マンスフィールド
なにしろ読書感想文の草稿が30個ぐらいたまってまして…
しばらくの間、読書感想文下書き半減キャンペーンを展開しますね。
さてマンスフィールド… いくら好きだからって、しつこいですよね。
彼女の作品、大好きなんですよねぇ…
だからできるだけ紹介したくって書いてしまいました。
岩波文庫、新潮文庫、ちくま文庫とマンスフィールドの短篇集をご紹介してきました。
この文化書房博文社版に収載されているのは12篇で、ほとんど紹介ずみなのですけどね…
紹介しきれなかったよいお話しをあげてみます。
これにてマンスフィールド短篇集は打ち止めのつもり…
『人形の家(The Doll's House)/1921年』
バーネル姉妹はヘイおばさんから大きなドールハウスをもらいました。
学校で自慢話をすると早速クラスメイトの少女たちが見に来ました。
あらかたの少女たちが見終わると、末娘のケザイアは学校中の嫌われ者
ケルヴィ姉妹に見せてあげようとしてお母さんに反対されます。
大人も子供も、地域全体を通じて歴然とある差別のお話しですが
主人公が小さな女の子たちなだけにいっそう悲しい気分になりますね。
当時の中流階級のキリスト教的慈善精神と近所づきあいの矛盾を皮肉っているみたいでした。
それはさておき、読んでいたら立派なドールハウスと内装品が浮かんでワクワクしました。
『小さな女の子(The Little Girl)/1910年』
小さなケザイアはなにしろお父さまを恐れ、避けるように暮らしていました。
ケザイアはお父さまのお誕生日を祝うため綺麗な薄紙を裂いて針刺しを作ることにしますが
その紙はお父さまの大切な書類で、さらに恐ろしい顔のお父さまに叱られてしまいます。
そんな中、お母さまが急に病気になり、ケザイアはお父さまと二人で家に残されます。
反抗期以降、怒鳴られても殴られても平気だったけど、小さい頃は父親が怖かったですね。
家は典型的な昭和頑固おやじだったので、すぐカーっとするわ、声でかいわ…
怒られてばかりでした。
長い反抗期でしたけど、ふと解ける瞬間があったなぁ…そんなことを思い出した一編でした。
『カナリヤ(The Canary)/1922年』
老婦人がカナリヤを亡くしてしまった悲しみを語ります。
“ あの子 ” がどんなに歌を上手く歌い、どんなに可愛らしく婦人の気を惹こうとしたか…
“ あの子 ” が婦人がしてくれる世話にどれだけ感謝し理解してくれていたか…
朝起きてから夜眠るまで、二人だけの時間がどんなに穏やかで楽しかったか…
マンスフィールドが死の前年に書いた最後の作品だそうで
小鳥の思い出を語るという、一見他愛無い話の中にものすごく深い悲しみが表されています。
同年に書いた『蠅』というお話しもけっこう救いようが無い気がしていますが
『カナリヤ』はひねりが無いだけに、ストレートに胸にくるものがありましたね。
けっこうな数の物語が4冊の短篇集の中で重複していたのですが
何度読んでも楽しく、その都度小さな歓びに出会うことができました。
ブロンテ姉妹、ジェーン・オースティン同様、早世してしまったのが残念です。
老境に入ってからの世界観も読ませていただきたかったですね。
とりあえず、手持ちのマンスフィールドは読みつくしてしまったので
他に短篇集は出ていないものか探しまわっている今日このごろです。
ところで、以前モームの『クリスマスの休暇』でも愚痴った邦題の違いの件ですが
マンスフィールド短篇集の中にもいくつかありました。
その中でもA Dill Picleというお話しがありまして
ちくま文庫では『ディル風味のピクルス』だったのですが
文化書房版では『いのんど漬』になってるんですよね。
調べたところ、イノンドっていう薬草はあるそうです。
でも素直にディルのピクルスって言ってもらった方が解り易い気がするんですけどね。