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Channel: まりっぺのお気楽読書
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『幸福な家族』お幸せそうでなにより・・・

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武者小路実篤

この本はなんだか本棚にあったから読んでみたものです。
だから武者小路実篤の他の小説は読んだことがないので偉そうなことは言えないのですが
いったい読者に何がを伝えたくて書いたんでしょうね?

私は『幸福な家族』という題名を見た時、ものすごく皮肉が込められたネーミングだと
思い込んでいたんですよ。
そりゃあんたの勝手でしょ! と言われればそれまでなんだが
まさかその通りの内容だとは思わないでしょ?

あらすじを書きますね。

佐田正之助は53歳。
ドイツ語教師をしていましたが「おもしろくないので」リタイアし
画家を目指そうかって勢いで毎日絵ばかり描いています。
東京の一軒家で妻敏子、息子の正蔵、娘の綾子と暮らしています。

正蔵は表には出しませんが父を尊敬する勉強家の好青年です。
綾子は20歳ですが、まだまだ無邪気で善良な娘です。

ちょっと不愉快なことがあって以来女中をおかなくなってからは敏子が家事を切り盛りし
油絵に没頭する正之助をにこにこ見守っています。

目下の悩みと言えば、からだが弱くて戦争に行かなかった正蔵が
女性と出歩いているらしいという人づての話ぐらいです。

スピードアップしていくけど…

その女性について正蔵は何も語ろうとしませんでしたが
ある日、正之助に、ある女性をモデルに使ってほしいと頼んできました。
そしてその女性にモデル料を払ってあげてほしいと言います。

正蔵と友人の川上は、出征している親友田方の婚約者秀子を気にかけていました。
モデルにしてほしい女性とは秀子の知人で千津子といい、何か事情がありそうです。

正之助はひと目で千津子が気に入りモデルにして絵を描き始めます。
敏子も綾子も通って来る千津子のことが好きになりました。
そして正蔵が千津子に好意を抱いていることに気がつきます。

ところが、娘が絵のモデルをしていると知った千津子の父と継母は怒り
千津子に縁談を薦めます。

一方、綾子もたびたびやって来る川上が気になっています。
けれども川上は頑固で、食事を薦めても帰ると言い張るし
綾子を喜ばすようなことは言いつつ、あまり気にかけているようにも見えません。

さぁ! 普通ならここから盛り上がりますよね。
継母と上手くいっていない様子の千津子、親の反対と無理矢理の縁談、
やきもきしながらも心を伝えられない正蔵、親友に弄ばれているかもしれない妹…
もうワクワクですよ! ドラマ的要素満載!!

でも、盛り上がらないの

なんていうのか、昭和の人々は純粋だったというか単純だったというか
すぐに誤解が解けてまぁぁるくおさまっちゃうのよ。
姑息な人や底意地の悪い人なんかいやしない。
バブルが人々を変えたのか? なんちゃって

とにかく、どこにも悪意の無い物語。
皆が笑顔で終われるって、いい話かもしれないよ。
でも面白くないよ。

小波乱があるだけでチャンチャンって終わられても… 本を読む楽しみは何処に?
この小説をもとに映画だかドラマが作られたそうなんですけど
私はぜったい見ないと思います。

せめてカツオ君クラスのやんちゃ者やサザエさんクラスのうっかり者でも
いればよかったのだが… しっかり者で行いの良い人ばかりでした。
だから皆が幸せに暮らすことができましたとさ。
どう? 読んでみたいですか?

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