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『ワシントン・スクエア』親の反対を押し切らないで!

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1880年 ヘンリー・ジェイムズ

このブログを読んでくださっている方はご存知かと思いますが、私は韓流好きです。
で、韓流ドラマの中で恋の邪魔になる三大要素と言えば
“ 身分違い ” “ 出生・生立ちの秘密 ” “ 親の大反対 ” ということになります。
もちろん、そんなもの全てに打ち勝って恋を成就させて〜! と思いながら見ているわけです。

この『ワシントン・スクエア』は、若い女性が初めての恋をしたところ
父親に反対されるというお話しなのね。
いつもなら「親の反対なんかに負けないで〜!」と応援するところですが
この物語では、反対する親を応援してしまった私…なぜなんでしょう?

将来有望な医師スローパーは、美しく優雅なキャサリンを妻に迎え
申し分の無い日々を送っていましたが、理想の妻キャサリンは
娘のキャサリンを生んでしばらくして亡くなってしましました。

キャサリンは同名の母親とは違って凡庸で見栄えのしない娘さんに成長します。
しかし心は優しくとても純粋でした。
そして何より、裕福な母親の遺産を持ち、今後は父親の多額の遺産も入るという…
とにかく大金持ちになる見込み大の女性でした。

21歳の時、キャサリンは従妹の婚約パーティーで
モリス・タウンゼントというハンサムで誰にでも好かれそうな青年と出会います。

モリスは最初からキャサリンに興味津々でした。
キャサリンの教育係でもある夢見がちな叔母ペニマン夫人に気に入られ
戸惑うキャサリンに猛アタックしてきます。
このあたり、恋心に気付いたら一直線な韓流の主人公みたい… Image may be NSFW.
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けれども、キャサリンの父スローパーは最初からモリスが気に入らず
財産目当てだと決めつけて二人の交際に反対します。
スローパーは知的で理性があり、二人が何を言っても決して取り乱さないんだけど
穏やかに、しかし徹底的に、そして冷酷に反対の意思を伝え続けます。

キャサリンは財産を放棄してもいいと言うし、モリスは財産目当てでは無いと主張しますが…

はてさて、二人の恋の行方は? そして、その結末で良かったのか?
なかなかに考えさせられる一冊でした。

ヘンリー・ジェイムズと言えば、なんだか観念的で回りくどい文章を書き連ね
話をわざと難解にしているという印象が拭えない私ですが
この一冊はかなり解り易くて、どちらかというと “ 端折られている ” 気さえします。
けれどもそれがかえってこの物語を面白く読ませてくれたような気がします。

人の本当の気持はよくわからない…という概念を覆す書きっぷり。
最初からみえみえのモリスの気持と、解り易すぎる展開ですが、あまりに明白すぎて
途中で「もしかして、私が抱いている印象が間違っているのかも…」という
疑問を抱かずにはいられなくなりました。

「やっぱり…」とも「おぉ、そうなるか…」とも思えるラスト。
キャサリンとモリスが選んだ道が二人にとってどうだったのかは想像するしかないのですが
今後は韓流ドラマの見方を少し変えなければならんかも… とまで思えた一冊でした。

ヘンリー・ジェイムズって、読めば読むほど面白くなってくるわ。
長編より長めの中篇が読み易く楽しめるような気がします。

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