那山 那人 那狗
1997年 彭見明(ポンヂエンミン)
わたしは商業施設で働いていますのでね、中国の方が来ると「売り上げが上がる!」と
浮き足立ってしまいます。
で、お客様たちからわき上がる「さぁ、買うぞー!」という熱気と
売れないものまで「お金ならあるのよー!」と言ってひかない押しの強さが
まったく感じられないようで、ちょっと垣間見える一冊。
なに言ってるかわかんないでしょ? わたしもだ… 今説明しますね。
主に地方の町や村を舞台にした、6つのエピソードがおさめられている短篇集で
時代背景は、1970年代〜80年代ぐらいみたいです。
主人公は皆、多くを欲さず、黙々と働き、あまり語らず主張せず、というタイプ。
確かに自分を曲げないような頑固さはありますが、よくテレビで見かける
パワフルで自信たっぷりの中国人像はあまり感じられません。
ただ、主人公のまわりをとりまいているのが、訪れた中国の超高度成長期を体現し始め
裕福さと贅沢さを追い始めてるって感じの、精力的な人々が多い気がします。
彼らは経済とか未来について、多くの期待を持っている印象があります。
では、気になったお話しをいくつか。
『山の郵便配達(那山 那人 那狗)』
足がいうことをきかなくなった山の郵便配達は、息子に仕事を引き継ぐため
まだ誰も起きていない早朝、息子と犬をつれて3日間の配達にでかける。
配達の日程や山の難所、各々の村での注意点や人々について気をつけることなど
できるだけ多くを息子に教えておかなければ、と思っている。
雄大な自然や、夜明け・夕暮れの風景など、映画化もうなずける美しいお話しです。
まさか、今ではこんなに手間ひまかかる配達をしてるとは思えないんですけれど
先日テレビで、断崖絶壁のすごく危険な通学路を通ってる小学生たちの映像を見て
もしかしたら… なんて思ってしまいました。
『南を避ける』
老田(ラオテイエン)は、次女の容(ロン)が美しく成長したのに気づき
彼女が「広東に行きたい」と言い出すのではないかと不安が募る。
村の若者たちがどんどん広東に行ってしまっていたが、美しい娘たちが広東へ行き
悪い結果になってしまった話しがいくつも思い出される。
若者が、親たちよりよい暮らしを求めて、都会を目指すというのは
なにも中国に限った話しではないですよね。
でも、日本でも欧米でも中華街に行くと、彼らの “ 大挙して動く ” 感は
ハンパない気がしてね… 都市の人口集中率がすごそうよね。
余談ですけど、以前リヴァプールで、中国の人がごっそり他の土地に移動して
もぬけの殻になっちゃった中華街ってのを見たことがあります。 寂しくて恐かったよぉ。
『愛情』
恋人がいないまま三十歳になった坤正(クンジヨン)は、ひとりの女性と知り合う。
友人の同僚だという余娟(ユージユアン)は、心臓病のせいで結婚ができないという。
しかし、余娟は坤正に好意をもったようで、坤正は食事に誘われたり家に呼ばれたりする。
実は、これより好きな話しが他にもあるんだけど、なんか、あまりにひねりがない
ハッピーなエピソードに好感が持てました。
文中、やけに年増扱いされてる二人の幸せが、末永く続きますように…
他の3編も、素朴な語り口と、淡々とした流れが読み易い、美しい話しです。
(最後の『振り返って見れば』は少しアクティブですけど)
静かに、しみじみと読み終えることができました。
中国の作家といえば、以前( 8年前だった)イーユン・リーさんの『千年の祈り』を
読んで以来の2冊目になります。
こちらにも文化大革命の話しとか、共産党の序列のこととか出てくるのですが
ほとんど政治的な言及や批判的な表現はなくて、日常的なエピソードが書かれてます。
もう少し現代の、近頃の市民生活を描いたお話しがあったら読んでみたいです。
ひとことクラフトコーナー
これ、カタログで見かけてかわいかったので、オパールで編んでみました 。 なにかっていうと…
イヤホンをクルクル巻きつけて
半分に折ると、あら!イヤホンホルダーに
iPodを立ててみたりして
1997年 彭見明(ポンヂエンミン)
わたしは商業施設で働いていますのでね、中国の方が来ると「売り上げが上がる!」と
浮き足立ってしまいます。
で、お客様たちからわき上がる「さぁ、買うぞー!」という熱気と
売れないものまで「お金ならあるのよー!」と言ってひかない押しの強さが
まったく感じられないようで、ちょっと垣間見える一冊。
なに言ってるかわかんないでしょ? わたしもだ… 今説明しますね。
主に地方の町や村を舞台にした、6つのエピソードがおさめられている短篇集で
時代背景は、1970年代〜80年代ぐらいみたいです。
主人公は皆、多くを欲さず、黙々と働き、あまり語らず主張せず、というタイプ。
確かに自分を曲げないような頑固さはありますが、よくテレビで見かける
パワフルで自信たっぷりの中国人像はあまり感じられません。
ただ、主人公のまわりをとりまいているのが、訪れた中国の超高度成長期を体現し始め
裕福さと贅沢さを追い始めてるって感じの、精力的な人々が多い気がします。
彼らは経済とか未来について、多くの期待を持っている印象があります。
では、気になったお話しをいくつか。
『山の郵便配達(那山 那人 那狗)』
足がいうことをきかなくなった山の郵便配達は、息子に仕事を引き継ぐため
まだ誰も起きていない早朝、息子と犬をつれて3日間の配達にでかける。
配達の日程や山の難所、各々の村での注意点や人々について気をつけることなど
できるだけ多くを息子に教えておかなければ、と思っている。
雄大な自然や、夜明け・夕暮れの風景など、映画化もうなずける美しいお話しです。
まさか、今ではこんなに手間ひまかかる配達をしてるとは思えないんですけれど
先日テレビで、断崖絶壁のすごく危険な通学路を通ってる小学生たちの映像を見て
もしかしたら… なんて思ってしまいました。
『南を避ける』
老田(ラオテイエン)は、次女の容(ロン)が美しく成長したのに気づき
彼女が「広東に行きたい」と言い出すのではないかと不安が募る。
村の若者たちがどんどん広東に行ってしまっていたが、美しい娘たちが広東へ行き
悪い結果になってしまった話しがいくつも思い出される。
若者が、親たちよりよい暮らしを求めて、都会を目指すというのは
なにも中国に限った話しではないですよね。
でも、日本でも欧米でも中華街に行くと、彼らの “ 大挙して動く ” 感は
ハンパない気がしてね… 都市の人口集中率がすごそうよね。
余談ですけど、以前リヴァプールで、中国の人がごっそり他の土地に移動して
もぬけの殻になっちゃった中華街ってのを見たことがあります。 寂しくて恐かったよぉ。
『愛情』
恋人がいないまま三十歳になった坤正(クンジヨン)は、ひとりの女性と知り合う。
友人の同僚だという余娟(ユージユアン)は、心臓病のせいで結婚ができないという。
しかし、余娟は坤正に好意をもったようで、坤正は食事に誘われたり家に呼ばれたりする。
実は、これより好きな話しが他にもあるんだけど、なんか、あまりにひねりがない
ハッピーなエピソードに好感が持てました。
文中、やけに年増扱いされてる二人の幸せが、末永く続きますように…
他の3編も、素朴な語り口と、淡々とした流れが読み易い、美しい話しです。
(最後の『振り返って見れば』は少しアクティブですけど)
静かに、しみじみと読み終えることができました。
中国の作家といえば、以前( 8年前だった)イーユン・リーさんの『千年の祈り』を
読んで以来の2冊目になります。
こちらにも文化大革命の話しとか、共産党の序列のこととか出てくるのですが
ほとんど政治的な言及や批判的な表現はなくて、日常的なエピソードが書かれてます。
もう少し現代の、近頃の市民生活を描いたお話しがあったら読んでみたいです。
ひとことクラフトコーナー
これ、カタログで見かけてかわいかったので、オパールで編んでみました 。 なにかっていうと…
イヤホンをクルクル巻きつけて
半分に折ると、あら!イヤホンホルダーに
iPodを立ててみたりして