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Channel: まりっぺのお気楽読書
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『バースデイ・ストーリーズ』どんな誕生日もめでたいといいね

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R・バンクス/D・ジョンソン/W・トレヴァー/D・ライオンズ/L・セクソン/P・セロー
D・F・ウォレス/E・ケイニン/A・リー/R・カーヴァー/C・キーガン/L・ロビンソン/
村上 春樹

『恋しくて』に続き読んでみた、村上春樹さん編訳の一冊です。
一筋縄ではいかないバースデイの物語ばかりで面白かったのですが
私の好みからいうと、ラッキーなバースデイと、アンラッキーなバースデイが
半々とまではいかなくても3:7ぐらいの割合で入っていたら
もう少し楽しめたかなぁ…などと思っています。

印象に残ったお話しをいくつかあげてみます。

『バースデイ・ケーキ(The Birthday Cake)/1993年 ダニエル・ライオンズ』
ルチアは、戦時中から毎週土曜日に夫の好物のホワイト・ケーキを買っていて
夫の死後も欠かさず続けていました。
少し閉店を過ぎてしまいましたが、いつものようにロレンツォのベーカリーに行くと
マリアが待っていて、娘の誕生日なので最後の1個だったケーキを譲って欲しいと言います。

ルチアは意地悪だと思う、それはもう! だけど味方せずにはいられなかったです。
自分を曲げない頑固なばあさん… 自分にはなかなか真似できないだけに憧れるわ。
名前から見て、家族を愛するイタリア系のマンマだと見ましたが、最後が悲しいのよね…
マリアに対する仕打ちへの罰のようにも思える痛ましさでした。

『慈愛の天使、怒りの天使(Angel of Mercy,Angel of Wrath)
                    /1991年 イーサン・ケイニン』
71歳の誕生日の朝、カラスの大群に窓から入り込まれたニューヨークのエリナーは
デンバーにいる息子のバーナードに電話をします。
バーナードは動物愛護教会を呼べと言って電話を切りました。
取り残された2羽を逃すために、動物愛護教会から若い女性がやって来ました。

若けりゃ逆に大騒ぎして、思い出に残る誕生日ってことにできるのでしょうが
一人暮らしの老女の家ではそうもいきませんよね。
それはさておき、バーナード〜、だめじゃーん。
これもつらい話だけど、最後はほんのちょっとだけいい話で終わってます。

『ライド(Ride)/2003年 ルイス・ロビンソン』
オールデンは、母親と離婚後別々に暮らしている父親から誘われて
16歳の誕生日に小旅行に出かけます。
トラック運転手の父親は、絵画をニューヨークまで運ぶと言っていましたが
途中である計画をもちかけてきます。

最初は、どんな父親なんだよー!!と思いましたが、最終的には
誕生日にグレイトな経験をさせてあげられて良かったね!ということ? 違うよね。
計画が上手くいってもいかなくても、息子の人生を変えてしまうんだもの。
クールに父親にふり回されてる息子に、なんだかグッときてしまいました。

おさめられているお話しの誕生日は、みなスペシャルなエピソードを孕んでいますが
どちらかというと、あんまり良いことではありません。

確かに、家に帰ったら家族や友人が待っていて、祝福されてプレゼントもらって
ひとしきり騒いで寝ました… なんていう話、面白くないものね。
誕生日にプロポーズされて嬉しくて涙にむせぶ、ってのも、他人にはどうでもいい話よ。
物語としては、誕生日なのに…! というエピソードの方が読み応えありますね。

誕生日って、だんだん憂鬱になってくるわぁ… できることなら忘れてしまいたい。
いっそこの世から無くなってほしいぐらいよ。

とはいえ誕生日は、毎年、全ての人にぬかりなくやってくるわけね。
何もないよりはいいのかもしれないけど、できたら良いことがおこるといいですね。

ひとことK-POPコーナー
昨日行った人生初のファンイベントですが、まーくーはーりー! 遠かったよ…
でもすごくいい席だったの!! コンサートとは違う雰囲気で楽しかったです。

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