O・ヘンリー
新潮社の『O・ヘンリ短編集』で46篇の短篇を読んで、たぶん厳選された短編集なんだろうし
当分読まなくていいかしら…などと思っていたのですが
ミステリーも書いていたのね、と思い買ってみた一冊、なんだけど…
これをミステリーって言っちゃう?
ミステリーはキャパシティが広いので、そう言えなくもないと思いますが
やっぱり、“ いい話 ” という印象が否めない話が多かったですね。
28篇中、好きだったお話しをいくつかあげてみます。
『虚栄と毛皮(Vanity and Some Sables)』
モリーに説得されて悪事から足を洗ったキッドが、真面目に働いて8ヶ月が過ぎました。
ある日、キッドがモリーに、とても高価そうな毛皮を送りました。
ところが、キッドが仕事をしに行った家で、高価な毛皮が無くなったことがわかりました。
ありがちな話だけど、若いキッドのプライドが微笑ましい。
『X嬢の告白(The Confession of…)』
イギリスで6年間、上流社会教育を終えて帰国したリネットの前に
身分の高いクランストン卿が現れました。
しかし、あまりの完璧さに疑念を抱かずにはいられません。
最後びっくり!&笑えます。リネットの母親がどうかと思うわ…
『感謝祭の二人の紳士(Two Thanksgiving Day Gentlemen)』
その日、浮浪者のビートは、公園のいつものベンチに座りました。
ビートは、ひょんなことからはちきれそうに満腹でした。
けれども、毎年感謝祭の日にディナーをごちそうしてくれる老紳士を
失望させてはならないと、ごちそうになる決心をします。
イギリスっぽい感じがしますけど、これぞ O・ヘンリー!というお話しです。
『平和の衣(The Robe of Peace)』
上流社会の中でも最上流で、誰もが認めるベスト・ドレッサーでもあった
ベルチェインバーズが、突然失踪してから一年ほどたちました。
彼の古くからの友人二人が、スイスを旅行中に、極上のリキュール酒に惹かれて
険しい尾根にある修道院を訪ねると、なんと、そこに
ボロを身に纏ったベルチェインバーズが、修道士として暮らしていました。
これはねぇ、教訓も含まれているのかもしれないけど、かなり粋な話だと思います。
以上4篇の結末は、一般人としてホッとするところに落ち着きます。
面白くなさそうに聞こえるかもしれませんが、ちゃんと面白いです。
4篇には上から順に、嫌疑・詐欺・浮浪者・失踪と、ミステリーくさい副題が
つけられているのですが、かなりこじつけに思えます。
それ以外の話にも、殺人者とか罠とかそれらしい副題がついています。
そりゃそうなんだけどさぁ、無理くりミステリーにくくらなくても…と
笑えるものもあったりして…編者の苦労が伺えました。
後半にシャーロック・ホームズのパロディ『シャムロック・ジョーンズ』のシリーズ3篇と
詐欺師のジェフ・ピーターズが主人公のシリーズが5篇おさめられていて
一応ミステリー仕立てになっているのですが、逆になんだかつまらなかったかな…
短篇の名士ではあっても、ミステリーには向かない作家だったのかもしれませんね。
だんだんいい話になってっちゃって、謎解きとか関係なくなっちゃうんですもの。
そもそも謎解き不要な話しばかりだし…
ミステリーは幅広い!ってことで、良しとしますか?
ひとことK-POPコーナー
わたくし、この年になって、今日生まれて初めてファンイベントってものに行ってきます。
だってハードロックにはそういうのが無かったんですもの… どんなことするのでしょうね?