THE CAT'S TABLE
2011年 マイケル・オンダーチェ
今となっては、船旅といえば、豪華な客船での◯◯周遊ってことしか思い浮かびませんが
昔は必要な交通手段の一つだったわけですよね。
この小説が書かれたのは2011年ですが、舞台は1954年で、まさに船は交通手段。
主人公のマイケル少年は11歳です。
セイロンの伯父の家から、父と別れた母がいるロンドンに行くために
約3週間かけて航海するオロンセイ号に乗船します。
題名になっているキャッツ・テーブルですが
ディナーの時に最も優遇されない人々が座るテーブルという意味らしいです。
映画『タイタニック』でもあったように、豪華さを満喫できる一等の乗客もいれば
下層の小さな部屋に乗ってた三等客もいましたよね?
オロンセイ号にも、最上階のラウンジや船室を使える客とそうでない客がいて
マイケル少年は使えない方のお客でした。
船長とテーブルを共にできる最上級のお客様からそうでない客と仕分けされ
最終的に残っちゃった人たちが座ったのが、マイケル少年のテーブルでした。
でも、マイケル少年にとっては、気取っててなにひとつ面白味のない会話ばかりしている
船長のテーブルより、キャッツ・テーブルのほうが何十倍も良い席でした。
キャッツ・テーブルに座っていたのは、同じ年ごろのラマディンという心臓が悪い少年と
悪名高いカシウスという少年で、三人はすぐに仲良くなり行動を共にします。
他には、ピアニストをしながら航海をしているマザッパさん、
オロンセイ号の隅々まで知っている大型船の元解体業者ネヴィルさん、
船倉で植物を育てている植物学者ダニエルズさん、謎が多い女性ミス・ラスケティ、
ほとんど口をきかない仕立屋のグネセケラさん、の面々です。
彼らの興味深いエピソードをはじめ、三少年がおこすちょっとした悪戯、などなど
最初はなんだかほのぼのとした気分で読んでたんですけど…
なんか、だんだんそうはいかなくなっていくんですよぉ
なにしろ登場人物が多いのではしょるけど…
マイケル少年はキャッツ・テーブル以外の人たちともたくさん知り合いまして
そういう人たちとも、楽しいエピソードあり、しんみりする話あり、
不思議な体験をさせられたり、大冒険をして大目玉を食らったり、と
楽しく読み進んでいきますと、途中から不穏な空気が…
それは、船に乗せられていた護送中のニーマイヤーという囚人が原因なんですが
彼を取り巻く事件の中に、マイケルの大好きな人たちが巻き込まれていたり
思いもかけなかった人の正体が明らかになっていったり、と
サスペンスぽくなっていきます。
そしてラストは!
というか、ニーマイヤーの件は(あまりいい解決ではないけれど)
船内で一応一件落着するんですよね。
だからそこでラストではないんです。
問題はその後のマイケルの人生だと思うの…
一生の友とも呼べそうなラマディンとカシウスとは疎遠になっていく一方
彼らと関係があった人と深くつながり、傷ついていくマイケル。
そして、偶然同じ船に乗っていた、一番信頼のおける従姉エミリーとの関係。
あの航海がなければ二人はいったいどうなっていたのでしょう?
まだまだ子供って時に国を出て異国へ一人ぼっちで海を渡るというのはすごい体験。
多感な時に、インド洋・アラビア海・紅海・スエズ運河・地中海の素晴らしい景色や
過酷な自然や、多様な人種や習慣を目の当たりにするって、心に残るわね。
その上船の中で、なかなか出くわすことがなさそうな経験をするとは…
感受性が強い子なら、一瞬にして大人に変わってしまいそうです。
だけど、それはそれ、いい思い出として
「もうあの航海のことは忘れたら?」と言ってあげたくなります。
一生忘れられない思い出、というか体験って、いいものなんですかね?
へたしたら人生が左右されてしまう…ということにもなりかねないわけですよね。
成功できればいいんだけれど、「誰か止めてあげて〜!」っていう人もいないでもない。
ちなみに、作者のマイケル・オンダーチェは、やはり11歳でセイロンからイギリスに
単身渡ったそうですが、この物語はフィクションだそうです。
でも、少しは実体験が入ってるよね?
その時のときめきが文章に表れているような気がします。
いろいろな要素が含まれている物語でしたが、短篇の集まりのようでもあり
全体的に落ち着いた文章で読み易かったです。
どの場面でも入り込める面白いストーリーでした。
私にはなにかあるかしら? あの体験があって今があるってことが…
ま、無いから、こーんなに平凡な毎日を送っているんだと思うけど
ひとことK-POPコーナー
こんなに幸せなクリスマスは何年ぶり? 24日、25日は代々木のSHINeeに行ってまいりました。
24日はアリーナで、しかもトロッコが止まる位置! 世の中にあんなにきれいな顔の男の子がいるなんて…
2011年 マイケル・オンダーチェ
今となっては、船旅といえば、豪華な客船での◯◯周遊ってことしか思い浮かびませんが
昔は必要な交通手段の一つだったわけですよね。
この小説が書かれたのは2011年ですが、舞台は1954年で、まさに船は交通手段。
主人公のマイケル少年は11歳です。
セイロンの伯父の家から、父と別れた母がいるロンドンに行くために
約3週間かけて航海するオロンセイ号に乗船します。
題名になっているキャッツ・テーブルですが
ディナーの時に最も優遇されない人々が座るテーブルという意味らしいです。
映画『タイタニック』でもあったように、豪華さを満喫できる一等の乗客もいれば
下層の小さな部屋に乗ってた三等客もいましたよね?
オロンセイ号にも、最上階のラウンジや船室を使える客とそうでない客がいて
マイケル少年は使えない方のお客でした。
船長とテーブルを共にできる最上級のお客様からそうでない客と仕分けされ
最終的に残っちゃった人たちが座ったのが、マイケル少年のテーブルでした。
でも、マイケル少年にとっては、気取っててなにひとつ面白味のない会話ばかりしている
船長のテーブルより、キャッツ・テーブルのほうが何十倍も良い席でした。
キャッツ・テーブルに座っていたのは、同じ年ごろのラマディンという心臓が悪い少年と
悪名高いカシウスという少年で、三人はすぐに仲良くなり行動を共にします。
他には、ピアニストをしながら航海をしているマザッパさん、
オロンセイ号の隅々まで知っている大型船の元解体業者ネヴィルさん、
船倉で植物を育てている植物学者ダニエルズさん、謎が多い女性ミス・ラスケティ、
ほとんど口をきかない仕立屋のグネセケラさん、の面々です。
彼らの興味深いエピソードをはじめ、三少年がおこすちょっとした悪戯、などなど
最初はなんだかほのぼのとした気分で読んでたんですけど…
なんか、だんだんそうはいかなくなっていくんですよぉ
なにしろ登場人物が多いのではしょるけど…
マイケル少年はキャッツ・テーブル以外の人たちともたくさん知り合いまして
そういう人たちとも、楽しいエピソードあり、しんみりする話あり、
不思議な体験をさせられたり、大冒険をして大目玉を食らったり、と
楽しく読み進んでいきますと、途中から不穏な空気が…
それは、船に乗せられていた護送中のニーマイヤーという囚人が原因なんですが
彼を取り巻く事件の中に、マイケルの大好きな人たちが巻き込まれていたり
思いもかけなかった人の正体が明らかになっていったり、と
サスペンスぽくなっていきます。
そしてラストは!
というか、ニーマイヤーの件は(あまりいい解決ではないけれど)
船内で一応一件落着するんですよね。
だからそこでラストではないんです。
問題はその後のマイケルの人生だと思うの…
一生の友とも呼べそうなラマディンとカシウスとは疎遠になっていく一方
彼らと関係があった人と深くつながり、傷ついていくマイケル。
そして、偶然同じ船に乗っていた、一番信頼のおける従姉エミリーとの関係。
あの航海がなければ二人はいったいどうなっていたのでしょう?
まだまだ子供って時に国を出て異国へ一人ぼっちで海を渡るというのはすごい体験。
多感な時に、インド洋・アラビア海・紅海・スエズ運河・地中海の素晴らしい景色や
過酷な自然や、多様な人種や習慣を目の当たりにするって、心に残るわね。
その上船の中で、なかなか出くわすことがなさそうな経験をするとは…
感受性が強い子なら、一瞬にして大人に変わってしまいそうです。
だけど、それはそれ、いい思い出として
「もうあの航海のことは忘れたら?」と言ってあげたくなります。
一生忘れられない思い出、というか体験って、いいものなんですかね?
へたしたら人生が左右されてしまう…ということにもなりかねないわけですよね。
成功できればいいんだけれど、「誰か止めてあげて〜!」っていう人もいないでもない。
ちなみに、作者のマイケル・オンダーチェは、やはり11歳でセイロンからイギリスに
単身渡ったそうですが、この物語はフィクションだそうです。
でも、少しは実体験が入ってるよね?
その時のときめきが文章に表れているような気がします。
いろいろな要素が含まれている物語でしたが、短篇の集まりのようでもあり
全体的に落ち着いた文章で読み易かったです。
どの場面でも入り込める面白いストーリーでした。
私にはなにかあるかしら? あの体験があって今があるってことが…
ま、無いから、こーんなに平凡な毎日を送っているんだと思うけど
ひとことK-POPコーナー
こんなに幸せなクリスマスは何年ぶり? 24日、25日は代々木のSHINeeに行ってまいりました。
24日はアリーナで、しかもトロッコが止まる位置! 世の中にあんなにきれいな顔の男の子がいるなんて…