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Channel: まりっぺのお気楽読書
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『メモリー・ウォール』お手上げ! 思い出のラビリンス

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MEMORY WALL 
2010年 アンソニー・ドーア

この本は… 難しい…
文章やトーンも好きです、テーマも嫌いじゃない、だけど好きじゃない。

表題の『メモリー・ウォール』の他に5篇おさめられている短篇集ですが
舞台も主人公のキャラクターもテーマもバラバラで、その多様さに戸惑っているのかな?

好きも嫌いもなかったので、全篇、さくっと紹介します。

一番長い物語『メモリー・ウォール(Memory Wall)』は、南アメリカが舞台です。
近未来小説なのかな? 
痴呆症とかアルツハイマーで思い出を無くしていく人たちの記憶を記録しておき
完全に記憶を無くした時に脳にはめ込んでいる再生装置で見る、というシステムがあって
74歳のアルマという女性がそのシステムを使用しています。

物語は彼女が持っている1枚のメモリーカードをめぐって展開するのですが
登場人物すべてのキャラクターが丁寧に書かれているので、話しが右往左往します。
最後にすべてがまとまり、物語としてはきれいに完結するのですが
話しのいったりきたりに慣れないと「あれ? いつの話し?」ということになります。

『生殖せよ、発生せよ(Procreate,Generate)』は、ハーブとイモジーンという夫婦が
不妊を克服しようという物語です。
ところどころにハーブとイモジーンの過去のエピソードがちりばめられます。

『非武装地帯(The Demilitarized Zone)』は、韓国と北朝鮮の境界にいる息子から
父親に届いた手紙からはじまり、鳥のこと、アルツハイマーの祖父のこと
家族をおいて出て行った母親のことが書かれています。

『一一三号村(Village113)』は中国が舞台です。
ある村がダムの建設地になり立退きを言い渡されます。
立ち退かないひとりの女性のもとに、4年ぶりに息子の李慶(リーチン)が訪ねて来ます。
彼は役人で、村人を立ち退かせるために来たのでした。
二人に、強硬な反対派柯(クー)先生が絡むことで親子の関係性が微動します。

『ネムナス川(The River Nemunas)』は、リトアニアが舞台です。
両親を相次いで癌で亡くした15歳の少女アリソンが、祖父のジーおじいちゃんを頼って
アメリカからやってきます。
母の昔の写真、生きていた頃の父親の宗教観などが書かれていますが
隣のサボさんのお婆さんから聞かされた以前川に住んでいたというチョウザメの話しが
メインストリームだと思われます。

『来世(Afterworld)』は、二つの土地と時代をいったりきたりします。
81歳のエスター・グラムが暮らすオハイオの家と
11歳のエスターが暮らすハンブルクの孤児院。
ハンブルクは、死を前にしたエスターの回想ですが、回想シーンであるという明確な言及や
舞台変換のようなスイッチが無く、唐突に現在のエスターに場面が切り替わります。
リズムをつかむのが難しい話しでした。

全体的に暗く堅苦しくて、とてもじゃないがアメリカの作家が書いたとは思えなかったよ。
これは偏見ですね。

“ 思い出 ” がキーワードになっている一冊らしく、どの話しもいったりきたりがあって
話しの流れをつかむのにちょっと苦労しました。

もちろん多くの小説には回想シーンなどが含まれているわけで、思い出が描かれるのは
なんら不思議なことではないのですが、根が単純な私は「実は昔」とか
「あれはたしか…」みたいな前置きがないと、すんなり場面の入れ替えができないさ。

最近こういう、時代や場面が突然いったりきたり、なんでそこに行くの? 戻るの?的な
展開をする話しが多い気がする。
回想シーンにいったら、回想前のシーンに戻って来てくれないとぉ…
私のような単純な読者には生きづらい世の中になりましたのぉ… ゴホゴホ

ひとことどうでもいい話コーナー
通勤で使っている、三田線だか南北線だか有楽町線だか忘れちゃったけど、中吊りのチバ マリン・マラソンが
チバ マリリン・マンソンに見えてビックリした~! っていう、どうでもいいお話しでした

ポーランド王ヴァツワフ2世妃 リクザ

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最後は愛する人の隣へ
ヴァツワフ2世妃 リクザ・エルジュピタ

1286~1335/在位(ヴァツワフ2世妃)1300~1305 (ルドルフ1世妃)1306~1307

後継者が混乱を極めるポーランドで、プシェミスゥ2世が殺害されると
俄然注目を集めるようになったのが、二人目の妃リクサが生んだ
たった一人の王女リクザでした。
ポーランドの王座をねらう国内外の老若男たちがリクザとの結婚を望みますからね。

子供の頃に継母マルガリェタの兄オットーと婚約しましたが
オットーが1299年に亡くなってしまいました。

1300年にヴァツワフ2世と結婚しました。
ヴァツワフはこの時29歳で、リクザの15歳上だから、そんなに無茶な縁談じゃないけど
なにせ最初の妃グータが遺した10人ものお子がいるじゃない?
ただ、1300年時点で生きていたのは5人だんですけど、やはり子だくさんの家に嫁ぐのは
14歳の少女にはけっこう過酷よね。
会うことはあまりないかもしれませんけどね。
     
リクザが若いから…ということで挙式は1303年になりました。
しかし結婚生活は短く、1305年にヴァツワフ2世は肺炎で亡くなります。
子供は王女アグニェシュカのみでした。

リクザは、ヴァツワフ2世の死後王位に就いたヴァツワフ3世の摂政を
2ヶ月だけですが努めています。
19歳でしっかり者ですね、しかも実の子じゃないのに… さすが王女。

でも若い未亡人ですもの… まだまだ引く手数多って感じですね。
1306年、やはり王座をねらうハプスブルク家のルドルフと再婚しました。
ねらっていたのはどちらかというとポーランドよりボヘミアの王座だけどね。

ヴァツワフ3世は1306年に16歳の若さで亡くなり、ルドルフが継いだような継いでないのか
よくわかんないのだが、仮に継いだとしておいて、たった7ヶ月で赤痢で亡くなりました。

もうここからは、王座ねらいがウジャウジャ寄ってきますよ!
結婚した王女たち(グータの子ね)の夫たちも登場してきます。

リクザは21歳、まだまだ再婚しようと思えば楽勝だったと思うのですが
そんなゴタゴタがいやになったのか、再婚はしませんでした。

リクザはプラハを離れ、フラデツ・クラーロヴェーに落ち着き
恋人とされたハインリヒ・フォン・Lipaと暮らしました。
リクザとハインリヒは1319年に結婚したとも言われていますが定かではありません。

この後、政治の争いにハインリヒの名がでてきますが同一人物だろうか?
後継者の鍵を握る人物ですもの、長閑な隠遁生活というわけではなかったんんでしょうね。
ともあれ、ハインリヒが亡くなるまでの10年鑑、二人は幸福に暮らしていたということです。

リクザはその後、信心に目覚めてえ教会やシトー派の修道院を建てたり
讃美歌集の編纂に貢献しました。
1335年に亡くなると、愛するハインリヒの隣に葬られました。
王妃として葬られるより、愛する人の隣で眠る方が、本人は幸せだったのでしょうね。

それより、国王の娘として生まれ、短命の二人の王に嫁いだ女性なら
もう少し波瀾万丈なエピソードがあってもよさそうなものですが
リクザのパーソナリティーはほぼ垣間見えませんね。 残念です。

(参考文献 Wikipedia英語版)

ひとことK-POPコーナー
行ってきましたよよぉ、埼玉文化センターのSHINee ホールツアー! まったくコンサート会場という高揚感のない外観…
 この事務的な看板に脱力  本当にSHINeeが出るのか疑ったね
でもすごく楽しかった~ ステージ近い~ パワフルなステージを見せてもらえて感謝感激!でした

『ゼロ・デシベル』ドライでタフなアメリカン・ストーリーズ

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ZERO db AND OTHER STORIES 
1987年 マディソン・スマート・ベル

解説が長そうだったので読んでいないのだが、これ本名?
マディソン・スマート・ベル… なんだかすごく男前な名前ですよね。
こういう物語を書くべくしてつけられた名、という感じです。
あまりにもピッタリの名前なので、実名なのか調べるのはやめてみます。

男の人向けの内容のような気はするのですが、好きでしたね。
読んでいて心地よく、読後感もスッキリ、すごく気持のよい一冊でした。

11篇おさめられています。
そのうち2篇が、どっしり大地に根をおろしてるという印象の、南部が舞台の物語。
その他9篇は、根無し草みたいな男性が主人公の場当たり的人生物語です。

印象的なお話しをご紹介しますね。

『トリプティック I -ある南部の風景-(Tryptic I)』
冬のある日、幼いリサの母ミセス・デンマークの農場で行われた豚の屠殺風景。
ミセス・デンマークの雇い人タイラー夫妻の、とても暑い翌夏の日の出来事。
再びやってきた屠殺の日に逃げてしまった豚を追うベン・タイラーと
魅せられたように彼らを追うリサ。

『トリプティック II -ある南部の風景-(Tryptic II)』
屋根の上で死んで忘れられ朽ちていくピーコック。
妻と別れて巨大な家でひとりで暮らす老人ミスター・エリオットの長い長い退屈な一日。
雄牛が経験する初めての餌のもらえない朝、そして雄牛を連れ出す見知らぬ男。

以上2篇は、南部の農場風景が断片的に描かれている物語です。
トリプティックってどういう意味でしょう? と調べてみましたら
“ トリプシン性 ” といって化学用語? 科学用語? さっぱりわからないさ!
語源がギリシャ語の “ 摩擦・粉砕 ” に由来するということなので
そちらをイメージして読み返してみましたが、どうもピンときませんでした。

題名はおいといて…
2篇とも、想像するとけっこう残酷に思える描写があります。
豚の屠殺の風景も、字面だけなのにかなりショッキングだし
アメリア・タイラーが夏の日に死んでしまうところも、読んでて痛い!と思えたりして。

だけど、生と死、営み、時の流れみたいなものがストレートに描かれていて
すごくすんなりと受け容れられました。

『アイ・ラヴ・ニューヨーク(I ニューヨーク)』
路上で乞食たちがもめているのを見て、コートを持ち去った方を追いかけた。
地下鉄の中で倒れ込んだ向いの男を抱えて電車を降り、地上へ連れ出した。
女がスリにあったと叫んでいたので、犯人らしき男を追いかけボコボコにした。

こう書いちゃうといい人の善行を書き連ねた話し(つまんないね!)と
思われるかもしれませんが、ちょっとニュアンスが違うんですよね。
「…ったく、もう!」という感じで巻き込まれちゃってるような気もするし
なんか自分からゴタゴタに飛び込んでいってる気もするし… でもやっぱり善人だと思うわ。

その他7篇は、アパートを移り住み、仕事をしないで日給で食いつないでる人の
都会(かなり混沌とした下町)的なエピソードが中心です。

最後の1篇『死すべき最期の日(Today is a Good Day to Die)』は1875年当時の
インディアンとの戦いの中で死んでいく青年少将の物語です。
これもけっこう胸に響きます。

文章は簡潔で、装飾や情緒はあまり無い気がしますが
だからといって乱暴な印象や突き放された感は受けませんでした。

仕上がった物語のひとつひとつは、テーマに反して
そこはかとない優しさを醸し出しているような気がします。

上手く説明できないけど、なんだか独特なのよ。
裏表紙にワイルドな作家の写真が載ってますけど、実は照れ屋さんなんじゃないかな?

心優しくて庭の小枝の小鳥に「よちよち」って言っちゃうタトゥーだらけの人…
何が言いたいかよくわからんが、そんな印象の一冊でした。

ひとことK-POPコーナー
ナルバキスンいいよね~! CDジャケット 良すぎる  ものすごくよいんだけど
テソンを知らない人に「面白い韓国の人」と周知されてしまうと悲しいわ… 歌が上手なテソン普及運動に励もうっと
 すでに友だちに「あのお笑いの人」って言われたし…

『編集室』憧れの業界も一皮むけば…

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LA SALLE DE REDACTION 
1977年 ロジェ・グルニエ

仕事と名のつく物全てに業界がありますが、中でも憧れる人の多さでは
マスコミ業界も五本の指に入るのでしょうね?

実は私は以前広告業界の一郭(すみーっこ)に身をおいておりましので
少しは出版業界のことを知っていたりするのですが
やはり内部で働いていた方が知る実情は厳しいものがありますね。

作者はジャーナリスト、新聞記者、テレビ放送関係に従事していた人です。
この本の中に書かれているエピソードはもちろんフィクションなのでしょうが
作者が経験したことが、多かれ少なかれベースになっていると思われます。

10篇の登場人物は、新聞記者・報道カメラマン・ラジオ制作者など様々ですが
どれも大手の花形…というわけではありません。

出版社がみな小学館とか講談社みたいに大きいわけじゃないものね。
マンションの一室で編集されている雑誌や新聞はけっこうあります。

印象に残ったお話しをいくつかご紹介します。

『死者よさらば』
ヘミングウェイの自殺から5日後、パンプローナの闘牛祭りに取材に行くと
なんとヘミングウェイがカフェにいて、人々に囲まれていた。
彼はヴァンダーフォードというアメリカ人で、ヘミングウェイに間違われた日から
ヘミングウェイになりきって生きてきたという。

マイケル、ベッカム、ウィリアム王子などなど、有名人にそっくりだからって
なりきって人生を送っていらっしゃる方もたくさんいれば、ありがたがる人もおり…
でも、同じ顔でもオーラとSPが背後に見えないのがそっくりさんのつらいとこ。
これ実話? オーソン・ウェルズが激怒したって書いてあるんだけどね。調べないけどね。

『もうひとつの人生へ』
早朝パリを出た車には、マルト・R…夫人、記者のティスール、カメラマンのマラン
運転手ピエールが乗っていて、東部のプザンソンを目指していた。
10年間刑務所にいて、出所してから1年半しかたっていないマルト夫人が
最後に “その “ 門をくぐっていく姿を写真におさめるためだった。

芸能人が人生切り売り的に、実生活をテレビで晒したりするのは仕方ないとして
素人さんの人生を見せられてもね… というわけで、もう大家族モノやめません?
しかし、主人公女性のように、もうこれしか売る物が無いとなると
人は万人の前に自分を晒すのかもしれないですね… なるべくそうはなりたくないけどね…

『すこし色あせたブロンド女』
ピエールが初めてイラストレーターのミシェルと会った時
彼女はNYに出て来たばかりのみすぼらしい娘だったが好感が持てた。
しかし、ある日髪を切ってきたミシェルを見て堕落の始まりを感じた。
数年後に二人が再会した時、ミシェルは三人の男を手玉にとっていた。

いつも書いていますように、私は容姿を武器にする女性は嫌いじゃないですよ。
それは彼女なりの才能だし生き方だし、潔く “ The 女 ” をやっていただければよいのでは?
ただ、そんなのいつまでも続かないよ~だ! という願い通りの、その後が見てみたいという
意地悪な気持が少しは… ウソです、ものすごーくあります。 だからこの話しが好きさ。

記者、イラストレーター、評論家、作家、ライターとかって、誰でも名乗れますよね。
名刺に書いちゃえばいいし、自分で言いふらしてもいいんだしさ。
「なれる気がする…」って思ってるだけで名刺刷っちゃう人も多い気がしますが
まず誰かに認めてもらうのが至難の業だし、その座に居続けるのも大変ね。
そんな業界人の浮き沈みや四苦八苦、右往左往に東奔西走がもりだくさんです。

物語の書き出しが、わりとカタめで、回想録とかルポなんじゃないかと思いましたが
読み進めるとじわじわストーリーが楽しめる話しばかりでした。
文章に遊びが無い分ストレートに頭に入ってきて読みやすい一冊でした。
読後に哀愁が感じられる大人っぽい物語が多かった気がします。

ところで、すごーく邪道な本の読み方かもしれないけど…
いくつかの物語には主人公がいて、いくつかは語り手が自身を語るというパターンなのですが
主人公、あるいは語り手が作家自身を反映しているとしたら、私はこの作家がすごく好きね!
書き手としてでなく男性としてなんだけど…
落ち着いてるし、客観的だし、寡黙だし、冷静だし、情け深いし…まだまだあるけど
本当に大人の男って感じよ。

それぐらいこの本の物語の登場人物の男性たちは魅力的でした。
目の前にこんな人がいたら、物陰からじーっと見つめちゃうかもしれないわ 
きっと顔立ちも整っていて声も素敵な、魅力的なお方のはず… ただいま妄想中

こんな男性たちにまた会えるなら、この作家の本をもっと読んでみようかしら?
…実物とのギャップが怖いので写真は見ないことにします。

ひとことK-POPコーナー
BEASTの『TIME』を聞き続けている今日この頃ですけど、『12:30』よすぎる! また聞いちゃお
あんなにしっとりした曲なのにけっこう激しめなダンスがあるってのがまた…素敵すぎ

ポーランド王ヴァツワフ3世妃 ヴィオラ・エルジュピタ

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              肖像画がないので義理の妹エルジェーベトで…

美貌ゆえに?  身分違いの結婚
ヴァツワフ3世妃 ヴィオラ・エルジュピタ・チェシンシュカ

1291~1317/在位 1305~1306

ヴァツワフ2世とグータの王子で、短命に終わったヴァツワフ3世の妃は
チェシン公ミェシュコ1世の公女ヴィオラです。

チェシン公は、決して王侯貴族と対等な立場ではなかったらしく
父のミェシュコ1世は、敵が多いヴァツワフの、数少ない忠臣の一人でした。

なぜにチェシン公の娘を?という理由がはっきりしていないのですが
近年の歴史家の中には、ヴィオラがずばぬけて美しかったという方もいるようです。

ただ、ポーランドとボヘミアの間にあるチェシンの立地からみて
美しいからってだけでお嫁さんにしたわけでもなさそうです。
       
1305年、16歳のヴァツワフと14歳のヴィオラは結婚。
ヴァツワフは幼い頃からハンガリー王アンドラーシュ3世の王女エルジェーベトと
婚約していましたが、ヴィオラとの結婚の4日後に破棄しました。
おいおい! 後ですか? 前でなく?

ヴィオラは結婚後にエルジュピタに改名しました。
若い二人の新婚生活は、あまり幸福ではなかったようです。

もともと基盤が危ういのに、ヴァツワフはかなり自由気ままで
ボヘミアの貴族たちと激しく敵対していました。
そんなわけで結婚から10ヶ月後、ヴァツワフはオロモウツで暗殺されます。

15歳で未亡人になったヴィオラは、財産も無く身よりもいないという状態で
義理の妹アンナとエルジェーベトとともに修道院に身を寄せました。

二人の義妹はその後結婚し、ボヘミア王座をめぐる争いに加わりますが
ヴィオラはポツネンと捨て置かれていました。

時は流れ… エルジェーベトと夫のボヘミア王ヤン・ルクセンブルクは
当時絶大な力を持っていた貴族ペテル・ローゼンブルクを取り込もうとし
ヴィオラを差し出すことにしました。
ペテルはハインリヒ・フォン・Lipaの娘と婚約していましたが
これを破棄して、1316年にヴィオラと結婚しました。

このハインリヒ・フォン・Lipaがリクザと暮らしていたハインリヒと同一人物かは
わかんないんですけど、たぶん同じ人だと思ふ…

再婚からたった1年後の1317年、ヴィオラは亡くなり
ローゼンブルク家の墓所に葬られました。

せめて墓所だけでもわかっていてよかったです。
政治の道具として生きた短い人生で、個人的なエピソードはまったく無し!
絶世の美女ならせめて肖像画が見たかったですね。
しかたなくエルジェーベトの肖像画を使いましたが、当時のボヘミアの王侯貴族の女性は
みんなこんな風に描かれてるから、ま、いっか、ってことで…

(参考文献 Wikipedia英語版)

ひとことマンガコーナー
『ヴェルサイユの薔薇』の新刊が出たんですって!! ルイ16世とマリー・アントワネットはともかく
オスカルとアンドレも死んじゃってなかった? どう続く? ナポレオンとジョゼフィーヌ登場?

『傍迷惑な人々』自虐ネタ…自爆ネタ…

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THE THURBER COLLECTION 
ジェイムズ・サーバー

期待のわりには…っていうのが正直な感想です。
1950年ぐらいにニューヨーカーでコラムニストとして活躍していた方らしいです。
挿入されているイラストからみても、心に残る話しや胸に響く物語を
思い描いていたわけではないですが、ちょっと笑いをねらいすぎかな? と…

この一冊は、大きく四つのパートに分けられています。
各パートからひとつづつエピソードをご紹介しますね。

●家族の絆
こんな親類家族に囲まれた少年時代は、とっても楽しかったでしょうね。
父親や祖父、おじにおば、様々な方が恥ずかしくも可笑しなエピソードを残しています。
ほのぼの度が高くて、他のパートより好きでしたが、大変そうな気もします。

『ウィルマ伯母さんの損得勘定』
計算に弱い伯母さんと一緒に、びた一文無駄にしないハンスさんの食料品店に行った時
会計で伯母さんはハンスさんと一悶着やらかし、結局5セントせしめてしまった。

年末になると、置き引き・レジ金泥棒・釣り銭詐欺が増えるので注意しましょうという
書面が各所からやってくるのですが、レジ金詐欺の手口の一例が、この伯母さんの
釣り銭のやり取りにそっくりなの! もちろん伯母さんは詐欺ではないんですけどね。

●傍迷惑な人々
いちばんニューヨーカーに掲載されてるっぽい小咄的物語…って、勝手に言ってます。
他のパートにくらべて、いじわるな皮肉がきいてるような感じがしますね。

『空の歩道』
ドロシーは愛らしい娘だったが、人の話しを遮る癖があって誰も長く付き合えなかった。
彼女はチャーリー・デシュラーと結婚したが、やはり彼に最後まで話させない。
チャーリーは、とうとう、寝ている間に見た夢の話ししかしなくなる。

これ、けっこう怖い話しなのよね。
人の話しは最後まで聞きましょう! 私もおしゃべりな方だから気をつけよう…

●暴走妄想族
妄想バンザイ!! な毎日を生き、いろんなものにウツツをぬかしている私にとって
一番期待が膨らむパートでしたね。
ま、それほどではなかったけど、共感できる部分は多かったです。

『虹をつかむ男 ウォルター・ミディの誰もしらない別の人生』
いやいや妻の買物や美容院につきあうミディ氏は、待ち時間に別の男になる。
恐れ知らずの海軍中佐・世界的名医・拳銃の名手の被告人・包囲されたクールな大尉etc…

恥ずかしげもなく、ドラマや映画の名シーンにどっぷりつかってます。
こんなに完璧に妄想できたら幸せだろうなぁ、毎日。
でも現実に戻った時のミディ氏のおどおどぶりがちょっと悲しいの。

●そういうぼくが実はいちばん…
このパートでは、作者が、自分のみじめさや情けなさを書いています。
でも、作家の自虐ネタは信じちゃいけないわ! っていうのが、私の持論です。

『第三九〇二〇九〇号の復讐』
コネチカット州は、自動車運転者三九〇二〇九〇号の私に、かねてから罠を仕掛けている。
毎年3月1日までに車輌登録をする際、免許証手続きを一緒にさせてくれないのだ。
免許証は3月20日という、非常に中途半端な日にち以降しか受け付けてもらえない。

自爆ネタのように見せかけて、お役所仕事へのイライラを表している一作(だと思う)
一流紙に名指しで書かれたコネチカット州は、その後は少しは対応を変えたのかしらね?

立派な新聞に連載持って、人気もあって、映画化までされて…ということを考えれば
あんまり「ダメな人間なんですよね~」って言われると、ちょっとしらけちゃうのよね。
最後のパートはくくらないで他のパートにバラしていれてくれた方が
気持よかったような気もします。

でも、コミカルでハッピーな一冊で、とても楽しく読めました。
以上。

ひとことK-POPコーナー
先週は事情があって実家に帰っていたのですが、日曜日、博多駅にBIGBANGな人々が溢れてて、どうしたのかと思ったら
ヤフオクドームだったのね。 海外の人もいっぱいいましたよ、さすが! 東京ドームが待ち遠しい!!

『海に住む少女』ターゲットは不明

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LENFANTE DE LA HAUTE MER 
ジュール・シュペルヴィエル

以前、シュペルヴィエルの『ひとさらい』を読んだ時、衝撃的な題名とテーマのわりに
悪の匂いを感じなかったわけですが、この本を読んで作品の傾向が
ほんの、ほんの少しだけわかった気がする。

この一冊には、童話とも寓話とも言える、また、ファンタジーとも呼べそうな
空想いっぱいの短篇が10篇おさめられています。
文章は簡単で、優しく語りかけるように書かれています。
内容もそんなに込み入った感情が描かれているわけでなく、単純にも見えます。

では子供が読む本か? と問われればそうではないんですよね。
じゃあ大人が読んで楽しいか? というとそうでもない… 誰が読むといいかしらね?

いくつか紹介してみます。

『海に住む少女(Lanfante de la Haute Mer)』
他に住人のいない、海に浮かぶ道の街にたったひとりで暮らす12歳ぐらいの少女。
船が近づくと道は少女もろとも海の中へ沈んで消える。
少女は、朝がくれば街中の店を全て開け、夜になれば閉めてまわる。
ある日少女は、初めて人間が鳴らしているいるサイレンの音を耳にする。

なんとなく、吹き出しが少なく白場が多い空想的な少女漫画みたいなのを
思い浮かべながら読んでいたら、最後はがっつり悲しい結末に辿りついちゃった。
子供が読んだら怖くてひきつけをおこすかもしれないわ。

『ノアの箱船(L'Arche de Noe)』
いよいよ洪水に見舞われた時、ノアの箱船に乗れるのは、全ての動物の雄と雌の
各一頭(匹)だけで、ノアの家族以外の人間はどんなにすがっても乗船できなかった。
甲板ではありがたがる動物たちがお互いをいたわり合い、美しい光景が見られたが
長いこと海上を彷徨ううち、皆が空腹とイライラを募らせていく。

すみません、聖書を読んでいないので、この話しが言い伝えとどれぐらい違うのか
わからないのですが、おこりんぼノア、ノアにダメだしする妻などなど
聖人台無し感がハンパじゃありません。 いいのかね?

『牛乳のお椀(Le Bol de Lait)』
青年は、街外れに住む母親に届けるため、毎朝牛乳が入った一杯のお椀をかかえ
パリの街を横切っていた。 牛乳をこぼさないよう、急がず、ゆっくり…
母が亡くなってずいぶんたつが、それでも青年は牛乳を運び続けている。

親孝行の話しかしらね? と思って読んでいたら、唐突に哲学的な問いかけをされて
びっくりしちゃうわね! というラストでした。
教訓は特に含まれていないように思うけど… 継続は力なりってこと? 違うね。

ここに共感できたとか考えさせられたという場面はほぼ無かったと言えましょう。
清い印象は受ける、無垢な印象もある、でも子供にふさわしいとは思えない。

現実的な話しが好きな人は受けつけないでしょうし
ファンタジーやミステリーが好きな人に受け容れられるかどうかも疑問です。

どちらかというと詩的なのね。
私は詩が苦手だからなぁ… だから馴染めないのかもしれない。
ミルトンとかワーズワースとかが好きな人にはいいのかもしれないね。
って、私はどちらも苦手なので良さがわかりませんけどね。 失礼しました。

ひとことK-POPコーナー
5日間行くはずだった代々木のSHINeeはわけあって前半2日しかいけず…  その悲しみをソウル版のCDで癒してます早くDVDがでないかなぁ。 日本公演のDVDはドームの後ですよね? きっと

ポーランド王ヴワディスワフ1世妃 ヤドヴィカ

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夫唱婦随で国をつくった王妃
ヴワディスワフ1世妃 ヤドヴィカ・ボレスワヴォヴナ

1266~1339/在位 1320~1333

しばらくプシェミスル家に王座をもっていかれていたピアスト家でしたが
ヴァツワフ3世の死から16年後に、大公だったヴワディスワフ1世が王位獲得に乗り出し
1320年に王座につきます。

ヴワディスワフの血統はこんな感じ。

          

ブワディスワフとヤドヴィカが結婚したのは1293年です。
ヤドヴィカは27歳ぐらいです。
当時としては晩婚ですが、なにかわけがあったのかしら?

        

結婚した当時はヴァツワフ2世がポーランド王で、王座を狙えるブワディスワフは
潰しておきたい相手ですよね?
そんなわけでヴワディスワフの一家の毎日は危険に充ちたもので
ヤドヴィカと子供たちは隠れて暮らさなければなりませんでした。

即位したブワディスワフは、戴冠式でヤドヴィカが被る王妃の冠を新たに作りました。
「苦労をかけたね」っていう、ブワディスワフの気持ちでしょうか?
この冠はその後代々ポーランド王妃に受け継がれました。

ブワディスワフ1世の即位は、ポーランド国内でおきていた分裂を弱め
国の新たな再統一への一歩となりました。
まだまだ先は長いんだけどね…

また、ポーランドはボヘミアなどの介入を防ぐために
国外に盟友を増やす必要がありました。
そんなわけで王女エルジェピタがハンガリー王カーロイ1世に嫁いでます。

ヤドヴィカは夫の治世中は積極的に政治に参加したらしく
夫の死後は摂政なんかもしたみたいなんですけど、エルジェピエタは母の血をひいたかね?

ヤドヴィカはブワディスワフの死から6年後の1339年に亡くなりましたが詳細は不明。
スタリ・ソンチの修道院に葬られました。
なぜに夫と同じヴァヴェル大聖堂ではないのでしょう?
「墓だけは別にして!」っていう、近頃の奥さまと同じ考えだったりして…

(参考文献 Wikipedia英語版)

ひとことドラマコーナー
野村萬斎~? って思ってた『オリエント急行殺人事件 三谷幸喜版』 楽しかったさ。あの名前のこじつけ方
これから二夜目です。 犯人もわかっちゃったところからどう二時間もっていく気か? ワクワクですね

『疑わしい戦い』先導と扇動…洒落言ってる場合じゃなくて

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IN DUBIOUS BATTLE 
1936年 ジョン・スタインベック

以前読んだ『天の牧場』と一緒におさめられていたのですが
本棚を見ていたら未読だったことをふと思い出し読んでみました。

『怒りの葡萄』『二十日鼠と人間』同様、季節労働者を描いている作品ですが
『疑わしい戦い』は視点を少し変えていて、新たな問題をを提起しているみたいです。

ものすごくざっくりあらすじを書きますと…

踏みつけられて生きてきたと感じている、ジム・ノーランという青年がいます。
彼は今の生活を全て捨てて、共産党の党員になる決心をします。

ジムは、彼の指導者的存在のマック、ハンサムな集金の達人ディック、
打ちのめされすぎておかしくなった老人ジョーイとの共同生活を送ります。
数日後、トーガス渓谷のりんご農園の賃金をめぐって労働者がいきりたっていると聞きつけ
マックはストに備えてジムを連れて現地に向かいます。

トーガス渓谷は、裕福な三人の大地主が牛耳っている土地で、りんごの価格、賃金のみならず
経済も法も彼らの思いのままになっていました。

現地の農園のひとつで、労働者のボス的存在のロンドンの息子の嫁の出産を手伝って
信頼を得た二人は、労働者の話しを聞き、語り、ストの気運の高まりを確信しました。

ここからさらに高速で書くね。

その後に続いた老労働者ダンの大けがで一気に怒りが噴出しストが勃発、
共産党シンパでランチワゴンオーナーのアルの父親が経営する
小さなアンダーソン農園を借り受けた労働者キャンプの開設、
目の前で射殺されたジョーイへの哀悼の思いから盛り上がる労働者のモチベーション、
ディックが集める大量のカンパといいペースで進むストなのですが…

初代争議団長デイキンへのトラック襲撃による彼の発狂、二人をアカと罵る労働者の出現
アンダーソン農園への放火、人々の同情の衰退とカンパの減少、と窮地にたたされ
労働者たちの士気は下がっていきます。

そしてとうとう、三人の地主たちが法に訴える時がやってきます。
マックは、今後のためにも最後まで戦うべきだという説得を続けますが…

80年ほど前のアメリカを舞台にしていますが、現代にも通じる教訓がいくつかありそうです。

物語の中でマックは、ストをおこしているのは、酷使され搾取されて怒りを抱えた労働者で
自分たちはストに勝てるよう方法を教え、バックアップするだけだ、と言います。
だけどそうだろうか?

不平不満を抱えている労働者はたくさんいますが、ほとんどはしぶしぶ仕事をしています。
りんご摘みを終えた後に向かう綿摘みの農場でも同じだろうとわかっていても
今労働をして、たとえ粗末でも寝床と食べ物と手に入れなくてはならないからです。

しかしマックは、農園でおこる不幸を怒りに変えさせ
気が変わりやすい労働者の士気を下げないようあの手この手を使います。
空腹にならないよう多めの食事を与えること、深く考えこまないよう何か仕事を与えること
怒りに変換できそうなものは怪我人であろうと死体であろうと利用すること、などなど…

勝つための方法かもしれませんが、つまり演出ですよね?
ストがおこるのをただ待っているだけでなく、おこそうとしているのでは? と
思えてしかたありません。

スタインベック自身も、動機が正義であっても、行動のどこまでが正当で
どこからが正当でないのかということを、さぐりさぐり書いているような気がします。
違うな… 共産党は、当時言われていたような悪の巣窟ではないということと
しかし、その主張のゴリ押しと行動の内容はどうなのかという
疑問を描きたかったんではないかという気がします。

バートンという若い医師が登場するんですけど、彼は党員ではないけれど
ストの地に駆けつけ、党の行動(作戦)を助けるのね。
だけど時々、マックとジムに疑問をぶつけます。
なぜそうしなければいけないか? 他の人を巻き込まなければいけないか? と。

邦題は『疑わしき戦い』ですが、直訳すると『勝ち負けない戦い』で
現代的に訳すと『勝ち目のない戦い』だと、まえがきで訳者橋本福夫さんが書いています。
私も途中から、これは勝てないな… と思いました。
やはり出身も境遇も熱意もバラバラの大人数を長時間まとめるのって難しいですね。
結局、権力者は最後には勝利するのよね、映画やドラマと違って…

だけどこういった行動が、資本主義者と言う名の独裁者・排他的な国家主義の
是正につながっていっていたとしたら、完全な負けというわけではないのかもしれません。

ひとことフィギュアスケートコーナー
羽生結弦キュンもよいですが、わたしのまわりでは町田樹、通称マッチーの素敵ぶりが小さな話題になっていて
今度本が出るらしいっていうので小さく盛り上がっています。 ちなみに私は小塚崇彦ファン  

ポーランド王カジミェシュ3世妃 アルドナ・アンナ

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NO MUSIC,NO LIFE,な王妃
カジミェシュ3世妃 アルドナ・アンナ・ゲディミノヴナ

1309~1339/在位 1333~1339

在位も長く、国内の紛争をおさえ、領土を拡大して大王とよばれたカジミェシュ3世は
4回結婚していますが、一人目のアルドナ・アンナが一番妻らしかった妃ではないかしら?

アルドナ・アンナはリトアニア大公ゲディミナスの王女です。
同い年の二人は15歳か16歳の時に結婚しました。

お決まりの政略結婚で、ポーランドとリトアニアの反ドイツ連合を強化するために
組まれた縁談です。
カジミェシュはこの結婚のためにボヘミア王女のユッタとの婚約を破棄しています。
ボヘミアもポーランドを狙っていて、味方につけておきたい国だったと思われますが
それよりもアルドナ・アンナとの結婚の方が重要だったということでしょうね。

        

この結婚でゲディミナスはリトアニア国内にいた25,000人 ( ! ) のポーランド人の囚人を
釈放して帰国させました。
25,000人て… 囚人というより捕虜ってことかしらね?

二国間の同盟は1326年のブランデンブルク辺境伯との争いで実行されましたが
その後は消滅の道を歩みます。

けれどもアルドナ・アンナの生存中は、ポーランドとリトアニアの間に紛争は無く
アルドナ・アンナがどれほど夫や政治に影響力があったかはわかりませんが
とりあえず、この結婚がちゃんと抑止力になっていたみたいですね。

そんなことより気になるのは、彼女がものすごく音楽好きだったらしいということ。
アルドナ・アンナはどこへ行くにも宮廷ミュージシャンを引き連れていたそうです。
今みたいにスマホ持ってきゃいいというわけでなく、団体を連れてくんですからね。
莫大なコストを投じて音楽聞いてたわけです。

それから、リトアニアの異教徒にも目の前で演奏させたりしたそうです。
何事も宗教が絡む当時、いくら音楽的に魅力があるからって
異教徒を侍らせるなんて危険すぎる!

ローマ教皇に破門されちゃう怖れあり、神聖ローマ皇帝にいちゃもんつけられる怖れあり
それが原因で離婚されちゃうかもしれないよ。
英王太子チャールズがスパイスガールズのファンで観に行っちゃったっていうのとは
レベルが違いますから!

敬虔な女性だったというだけにビックリしちゃいますが
音楽は世界をひとつにする!! という近年の風潮を(かなり)早い時期に
取り入れていたわけで、平和を望む思いが彼女を音楽に走らせたのかもしれないね… って
かなり無理矢理まとめてみました。

カジミェシュ3世との間には二人の王女が生まれています。
長女のエルジェピタとポメラニア公ボジスワフ5世に嫁いで生まれたエリーザベト
後に神聖ローマ皇帝カール4世妃になります。

1339年に急死しています。
この “ 急死 ” っていうのが、この後のカジミェシュ3世を見てると怪しいんだが…
クラクフに葬られたということなので、たぶん王廟のヴァヴェル大聖堂だと思われます。

(参考文献 Wikipedia英語版)

ひとことドラマコーナー
韓国版『銭の戦争』は観よう観ようと思ってて観てなかったんだけど、日本版のダイジェスト観たら面白い~
久々に日本のドラマを録画予約しちゃった。 つよぽんは上手いなぁ… でもパク・シニャンの方も観たいなぁ… やっぱり

ポーランド王カジミェシュ3世妃 アデレージャ

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15年間ほっとかれた王妃
カジミェシュ3世妃 アデレージャ・ヘスカ

1324~1371/在位 1341~1356
カジュミェシュ3世は、アルドナ・アンナの突然の死から2年後
ヘッセン辺境伯ハインリヒ2世の娘アデレージャと再婚しました。

アルドナ・アンナと結婚した時は反ドイツ同盟のためでしたが
再婚はドイツとの関係構築のためでしょうか?
政治は刻々と変化していたわけですね。
        
しかし、この結婚はアデレージャにとって大変不幸なものでした。

アデレージャは17歳で32歳のカジュミェシュ3世に嫁いでいます。
若いお嫁さんをもらって、なんでも言うことを聞いて可愛がりそうなものですが
カジュミェシュは結婚後すぐにアデレージャと別居します。

すぐに帰してあげればアデレージャにも再婚の機会がゴロゴロあっただろうに
政治情勢がそれを許さなかったのか、別居したまま結婚はダラダラと15年続きました。
離婚後、アデレージャは故郷ヘッセンに帰されましたが、32歳で帰されてもね…

ここまで、この結婚に対してどんなアクションをおこしていたのか
なにひとつエピソードが無いアデレージャでしたが、離婚から14年後の1370年に
カジュミェシュが亡くなると、自分の財産の権利を守るために戦った…ということです。

耐えて耐えて耐え忍んだ15年間の見返りはもらわなくっちゃね!!
けれども、たぶん、カジュミェシュの死から1年後、47歳ぐらいで亡くなったらしいです。
ちゃんと勝利してから亡くなったのかしら? 最後ぐらい高笑いをさせてあげたかったよ。



不倫は不倫だからいいのかもよ・・・
カジュミェシュ3世妃 クリスティーナ・ロキザーナ

1330~1365/在位 1356~1363

可哀想なアデレージャの離婚の元凶となったのがクリスティーナです。

クリスティーナはもともとプラハの商人ニクラス・ロキザン(?)の妻でしたが
夫はものすごいお年寄りで、若くして未亡人になりました。

なんでも、肌は雪のように白く、不思議な美しさと気品を持つ女性だったそうです。
なんか愛妾のコーナーで何回も書いた文章のような気がするわ。

二十歳をちょっとすぎたぐらいのクリスティーナには、その後幸運が転がり込みます。
神聖ローマ皇帝カール4世の宮廷の侍女になることができたのです。
美貌となにかしら技を使ったんじゃないかと思われるが… これは想像。

1356年、カジュミェシュがプラハを訪れた時、クリスティーナを一目見て
その時に結婚を約束した… っていうかできちゃったわけなのね。

カジュミェシュはもともと浮気者で、相手をした女性もたくさんいたそうですが
結婚までは考えてなかったんですよね。
それが、クリスティーナとは即座に結婚の決心をしたところをみると
やはりかなりの美人か、かなりのやり手だったと思えますね。

そしてカジュミェシュは、国に帰るやいなや離婚したという流れです。

この結婚には、アデレージャ支持者の教皇インノケンティウス6世が異を唱え
別れるように申し渡したそうですが、カジュミェシュはこれを無視しています。
よく破門されなかったもんだ。

けれども、こんなにスキャンダルをまき散らした末に結ばれた二人は
あまり長続きしませんでした。

クリスティーナの不妊と皮膚病が原因だと言われていますが、さてどうでしょう?

もともと浮気好きのカジュミェシュが、今までの相手とは違う! とのめりこんで
結婚したのかもしれないけど、やっぱり愛妾が似会うタイプの女性だったんじゃない?
愛妾でいたら、カジュミェシュを惑わし続けて、贅沢三昧の一生が送れたかもしれないね。

1363年には宮廷を追い出されちゃったみたいですが、その2年後まではポーランドで
生存していたらしい… ということです。

生没年は不明ですが、1800年代に出た書物には、クリスティーナのことを
高い教養をもって、カジュミェシュの遺産で裕福に過ごしていた女生と記しているそうです。
いつも微笑みを絶やさず、唇を開くよりも瞳の方が雄弁だったそうで…

たぶんカジュミェシュに捨てられた後も讃美者は後を絶たなかったとみえますね。
めでたし、めでたし。

ちなみに、カジュミェシュの没後までクリスティーナが生きていたのだとしたら
カジュミェシュの4度目の結婚は重婚ということになります。
また、クリスティーナの身分が低いことから、この結婚は無効だと見る向きもありました。
そうなると、クリスティーナ、4人目の妃ヤドヴィカのどちらかが、もし子供を産んでも
後継ぎとしては認めないと意義を申し立てることができます。

これによって各国、自分の国にポーランドの王冠が転がり込むのではと
アンジュー家あたりが浮き足立つのですが、それはまた次回…

(参考文献 Wikipedia英語版)

ひとことクラフトコーナー
職場の異動にあたり、Tさんの息子さん(!)が編みぐるみを編んでくれたのでこんなことを…
     
だんな呆れるのまき… でも周りにはウケた

『旅のスケッチ』若さみなぎらない短篇集

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SKISSER FRAN UTLANDET 
トーベ・ヤンソン

1月にまたもや職場異動がありました。
前回は紀伊国屋書店でしたが、今回はそばに有隣堂があります。
しかし、有隣堂は海外文学が少なく、岩波文庫も少なく
新潮クレストコーナーも無い…ということで、あまりのぞいてないのですが
こないだ初めて一冊購入。

『トーベ・ヤンソン短篇集』『黒と白』に続くトーベ・ヤンソンの短篇集です。

表紙もちょっぴりコミカルですが、内容も前に読んだ二冊よりぐっと明るい雰囲気でした。

前読の二冊は1970年~80年代、ヤンソンが50代後半~60代にかけて書いているものを
まとめたものでしたが、『旅のスケッチ』は1930年代、ヤンソンが若い頃に書かれたものが
8篇がおさめられています。

舞台はパリ、ドレスデン、セルムランド、ヘルシンキ、ヴェローナ、カプリで
ヤンソンが留学したり、旅行をした時の印象や経験が描かれているのだと思います。

いくつかご紹介しますね。

『鬚(Skagget)/1938年』
舞台はパリ、春のある日、パリを訪れた18歳のクリスティナは、セーヌ川岸で
カンバスに向かっているひとりの青年画家に目を留めます。
彼は鬚を生やしていて、クリスティナは、前々から鬚を生やした男性に憧れていました。
クリスティナの恋が始まり、一週間後、彼のアトリエを訪ねることになりました。

急に熱が冷めた女性と、その女性を責めたあげく別れを切り出す男性の話しなんですけど
最後が平和ですごくおかしいの。
お互いのことを知らずに一気に燃え上がった恋って、やはり持続するのは難しいのかしらね?
ヤンソンも行く先々でこんな想いを味わったのでしょうか?

『手紙(Brevet)/1936年』
昼間は寝ていて夜起き出すという暮らしをしているフォーベル氏は、ある夜駅に向かい
無力感に襲われて、架空の姪の所在をたずねます。
するとロッテという女性が到着して旅行者救護施設の寮にいると聞かされました。
数日後、彼女のことが気になっていたフォーベル氏は寮を訪ねます。

ヤンソンが22歳ぐらいの時の作品ですが、お若いのにもう老境の人の哀しみを描いてます。
若いロッテはそんなことはおかまいなしに天真爛漫にふるまってます。
こういうの、普通は年配の男性作家が書きそうな内容なんだけどね… とにかく驚いた。

『サン・ゼーノ・マッジョーッレ、ひとつ星
        (San Zeno Maggiore,1Stajarna)/1940年』
暑さで死んだような午後のヴェローナで、女性が壁に向かって空壜を投げているのを見て
こらえきれず笑い出してしまいました。
彼女に謝罪し少し話しをすると、彼女は教会を案内すると言って私を連れ回しました。
ヨランダと名乗るその女性は、その後自分の家に来て泊まれとしつこく誘ってきました。

どうなるの? どうなるの? と何度も思わされました。
夜の街にくり出すところなんか、作中の “ わたし ” ならずともドキドキよ~
いったいヨランダの正体はなんなのよ? って感じで。
でも本当は、かなり悲哀に充ち満ちた作品じゃないかと思うんですけどね。

やはり若い頃の作品だけあって、男女の恋模様なんかがちょこちょこ描かれたいたり
ちょっとおどけた感じのユーモアも盛り込まれています。
少し読み手を意識しすぎてるような気がしないでもありませんが、やはりトーベ・ヤンソン!
後年の悲哀たっぷりぶりを彷彿とさせる内容や展開がすでに垣間見えています。

各物語にヤンソンの挿絵が入っています。
まさかのキス・シーンや、お茶目な絵もあって楽しめます。

けれども、ドイツの影、戦争の影がしのび寄っていたこの時代
画家を目指していたヤンソンは、暗めの色彩で描いた絵も多かったらしく
それが後のムーミンのグレーっぽい絵面に影響したのかしら?

また、フィンランドはナチスドイツの影響下に入っていった時代でもあったらしく
書きたいことが書けず、それならば、と、以前訪れた旅先のエピソードを
少し愉快に描いてみせたのかもしれません。

そんなことを考えると、少し若さが感じられて、いつにないユーモアがあるこの短篇集も
なんだか意味深げに思えてきたりして…
ただ私は、後年の作風の方が好きでしたが…

ひとことK-POPコーナー
わりとギリギリで行けることになった22日の代々木!公式ペンラがGetできなそうよ! ってことで、作ったよ、ウチワ…
お友達の分もあわせて5個… ウヒョン、ホヤ、ごめんね。 久しぶりに徹夜しちゃったよ
 メンバーカラー合ってる?

『善き女の愛』夏に読むべきだったか…?

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THE LOVE OF A GOOD WOMAN 
1998年 アリス・マンロー

前々から、アリス・マンローが書く小説は、普通の人たちが登場して
日常的なエピソードを描いていながら、なんだかスリリングだったり
鳥肌たつ感があるなぁ…と思っていましたが、この一冊でその感が深まりました。

別にホラー映画的に恐ろしい情景を描いているわけではなく
むしろ淡々と文章を綴っているのに、読み進むにつれてドキドキしていきます。

この作品集は短篇集となっていますが、そのうち二篇は四部構成になっていますし
それ以外の物語もけっこう長めで各々読み応えがありました。

だから、好きな何編かを選び出してあらすじを書くというのがかなり難しいので
何に、というか誰にどうドキドキさせられたか…というのを書きますね。

とりあえず表題から

『善き女の愛(The Love of a Good Woman)』
在宅看護婦のイーニドが看護している、かつての同級生ルパートの妻で
27歳の若さで徐々に死に近づきつつあるミセス・クイン。
彼女は死の直前に、ルパートの恐ろしい行動を話しだす。

最初は、病人とはいえ軌道を逸しているミセス・クインの言動にゾッとさせられたのですが
徐々に自らを危険に追いやるようなイーニドの考えの方が恐ろしく思えてきました。
いったい何がそうさせるのかと思ってね… 他の恨みをそこで晴らしてるみたいな…

あとは印象に残った話しをいくつか…

『コルテス島(Cortes Island)』
20歳の花嫁だったわたしは、夫のチェスとバンクーバーの地下室に住んでいた。
ある日、上の階に住む、部屋の持ち主の母親ミセス・ゴーリーから
病気のせいで体が動かないミスター・ゴーリーの世話をたのまれた。

誰が怖いって、主人公の部屋の階上に住むミセス・ゴーリーでしょ!!
ただのおせっかいやきかと思いきや、悪魔ですよ、こんな人が近所にいたら。
と、思いながら読んでおりましたら、ミスター・ゴーリーのいきなりの告白めいた行動に
ビックリしたね…ものすごく変な余韻が残る物語でした。

『腐るほど金持ち(Rich as Stink)』
カリンが父親の家から一年ぶりに母ローズマリーの家を訪ねると
ローズマリーはすでにデリクと別れていた。
カリンがデリクの妻アンを訪ねると、やはりデリクはアンのもとへ戻っていた。

父親と新しい母のもとで暮らしながら、母親とその愛人、そしてその妻の
微妙かつ奇妙な関係を、ものすごく冷静に受け止めてる10歳の娘ってどうよ?
けれどもやはり最後には受け止められなくなったのか、ひどい意地悪を思いつきます。
そしてそれが恐ろしい結末に… 大人が悪い! 大人が!!

『母の夢(My Mother's Dream)』
わたしが生まれる前に父ジョージが戦死し、音楽学校の学生だった母ジルは
ジョージの母と未婚の姉二人が暮らす家に連れて行かれ、身をよせることになった。
わたしは生まれ出るとジルを拒み、家の中で立場が弱かった伯母イオナだけになついた。
ある日、祖母と二人の伯母は、ジルとわたしだけを残して一泊の予定で出かけて行った。

さらっと書きましたが、父親の実家にはそれなりの事情が潜んでいて
中でもイオナが一家の一番の不安材料かと思われます。
そんな伯母にしか気を許すまいとした新生児 “ わたし ” の気骨に驚くね!
赤ちゃんがみんなこんなふうに何かを意識して行動しているんだとしたら恐ろしいわ。

こんなあらすじの書きっぷりからはけっっっして読み取れないでしょうが
一話一話、どこにでもいそうな人が、「無い!」とは言えなそうなことを繰り広げてるのに
なぜかゾッとする一瞬が潜んでいます。
読みながらじわじわと背中を這い上がる怯えみたいなものを感じていました。

それで、どうしてそんなふうに感じたのかとつらつら自己分析をしてみました。
どうやら「え! あの人が?」っていう人たちのエピソードだったからというのが
大きな要因のような気がします。 何言ってるのかよくわかんないですよね?
自分でも書いててよくわかんない…

そうですねぇ…
よく事件とかで犯人が捕まった後に、テレビで近所の人とか知り合いに話しを聞くでしょ?
そこで「やると思ってましたよ」なんて言われるタイプではなくて
「まさかあの方がねぇぇ」って言われるタイプの人たちがいるでしょ?
そういう人々に潜む暗部、犯罪だけにあてはまることではなくいろいろとね… そんなものを
あからさまにではなくて、遠回しに、じわじわと浮き彫りにしていってるみたいなところが
うすら寒かった原因なんじゃないかと… 例を挙げてもよくわかんないですね… すみません。

だからといって、ミステリーとかホラーのカテゴリーには入らない独特さ
まさにマンロー・ワールド! が堪能できた一冊でした。

ひとことK-POPコーナー
SHINeeの新曲『Your Number』のMVはとてもステキだけど、SMTOWN@coexartiumの宣伝よね? って
お友達と盛り上がりましたけど…そうよね? 

『木星の月』愛の難しさを知る一冊

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THE MOONS OF JUPITER 
アリス・マンロー

解説によると、この本がアリス・マンローの単行本としては日本初だそうで
去年のノーベル賞受賞を受けて再販されたようです。

実は『善き女の愛』を読む前にこちらを読んでいたのですが
その時はあまりピンときませんでした。

新潮クレストの『イラクサ』『林檎の木の下で』『小説のように』
けっして簡単な小説ではありませんでしたが、この『木星の月』はかなり難しかった。
最初にこれを読んでいたら、アリス・マンローにはハマらなかったかもしれないなぁ…なんて
思っていました。

でも『善き女の愛』読後に再度読んでみたら、著者が貫いてきた
人生や愛や死についての向き合い方が少し理解できた気がして面白く読めました。

12篇の物語がおさめられていますが、いずれからも愛の難しさを感じました。
ただそれは男女が恋に落ちた、別れた、っていう話しだけではなく…

家族の愛、祖先を思う愛、報われない愛、成就した愛、幼い愛、老いたる愛、
壊れそうな愛、忘れたい愛、忘れられない愛、他人の愛、遊びの愛…などなど
いくつかの愛をとりまぜて一編が書かれているのですが
どれも愛という言葉の虚しさがひゅーひゅー吹きまくって風邪ひきそうな話しばかりでした。

12篇すべてが、人として女性として、なにか教訓を与えてくれているのではないかと思えて
印象深かったのですが、それはおいといて、物語として楽しめたいくつかを書いてみますね。

『チャドリーとフレミング 一、繋がり』
私が少女だったある夏、母方の三人の未婚のおばがそろってわが家に泊まりにやって来た。
三人は世界で見てきたことを話し、自然を満喫し、パーティーを開き
チャドリー家の話しをする。
何年も後、そのうちのひとりアリスおばが、私たち夫婦を訪ねて来ることになった。

この話しはけっこう長くて、とてもあらすじが書けたものじゃないのですが
とにかく、幼い頃には都会的で素敵に思えたおばが、自分が成長して見直してみると
夫に会わせるのが恥ずかしい存在に変わっているという思いをとても正直に表現しています。
だけど、やはり血の繋がり、思い出は簡単に覆るものではないのですよね。

『アクシデント』
ハイスクールに音楽を教えに来ているフランシスは、理科の教師テッドと情事を重ねている。
ある日、二人が理科室にいると事務員がドアをたたいてテッドの息子が事故に遭ったと言う。
息子の葬式のために、テッドの妻グレタの一族がやって来る。

情事の最中に息子の事故の報せを受け、その後息子を失うという状況に
浮気をしていた男と浮気相手の心はどんな影響をうけるのでしょうね?
そしてやって来た妻の一族が、二人にどんな状況をっもたらしていくのか…
けっこう興味深い展開でした。

『ミセズ・クロスとミセズ・キッド』
幼稚園の時からの80年来の知り合い、ミセズ・クロスとミセズ・キッドは、お互い家庭を持ち
人生を送ってきた後、今は二人ともヒルトップ・ホームというケア施設で暮らしている。
二人は再び親交をあたためていたが、卒中で口がきけず半身不随になって入居して来た
ジャックという男性にミセズ・クロスが目をとめ、保護者として世話を焼くようになる。

二人だったところへ、一人加わり二人加わり…となるうちに、各々の関係性が変化します。
家族もそうだし友人もそう、どんな関係にも起こることですよね。
そういう人間関係の脆さを、少し残酷に描いている作品だと思います。
老いた二人に平安が訪れますように… と願うしかないラストでした。

本作にはあまり関係ないのですけれど、アリス・マンローを読んでいると
よくワイドショーとかで “ 妻が離婚を決めた瞬間!” みたいなのやってるじゃない?
ああいうふうに、ブチぎれる瞬間があった離婚というのは幸せな離婚に思えるよ。

キレる前にガラガラと崩れていくというか、ずぶずぶと沈んでいく結婚生活を
ただ眺めているしかないというような主人公が多い気がします。

例によって著者の生い立ちや半生などは読んでないのですが、よっぽど酷い目に遭った?と
聞いてみたくなっちゃいますね。
でも写真を見るとそんなこともなさそうなので、 やはり作家だけあって
想像力がものすごく豊かな人だという結論に至る…ってことにしたいと思います。

ひとことK-POPコーナー


SHINee WORLD 2014 -I'm Your Boy- Special Edition in TOKYO DOME
あぁぁぁ… とてもとても素敵な、夢のような二日間が終わってしまいました
脱力中でつべる以外はなーんにもする気が起きません
のべ10万人の燃えつき症候群中の皆さま、韓国カムバックも近いようですから
なんとか乗り越えましょうね! ファイティン!! 

『ワールズ・エンド』 I'm a stranger here

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WORLD'S END AND OTHER STORIES 
1980年 ポール・セロー

前に読んだ記憶はあるけれど内容が思い出せないという本がけっこうあります。
それで読み直してみると「確かに読んだことがあるわ」と思えたりします。
特に短篇集だと、他の話しは全然覚えてないけれど、鮮明に思い出せる話しが
1~2篇あったりして、自分が好きな物語の傾向とかを再認識できたりします。

『ワールズ・エンド』も読んだ覚えはあるんだけど内容が思い出せなくて再読したら
3篇が読み出しで甦ってきました。

9篇がおさめられていますが、主人公は全て外国人。
ロンドンで暮らすアメリカ人ビジネスマン、コルシカ島にやってきたアメリカ人教授
毎年ロンドンへ出かけるアメリカ人教授、商用(?)でパリにやって来たアメリカ人男性
ドイツの友人夫妻を訪ねたアメリカ人外交官などなど…

旅慣れていて、海外にいても自国にいるようにリラックスしているような印象を受けがちな
人たちばかりですが、ふとよぎる異国での違和感… みたいなものが描かれているようです。

鮮明に甦った3篇をあげてみます。

『サーカスと戦争(After The War)』
15歳のイギリス人の少女ディーリアは、一夏親元を離れてフランスのラモー氏一家の
ヴァンスのコテージで過ごしている。
コテージには電気が無く、ラモー氏はそれが自慢のようだった。
ある日、皆でサーカスを観に行くというラモー氏の提案をディーリアが拒否すると
ラモー氏は戦争の話しを始めた。

いわゆる短期ホームステイみたいなもんなのでしょうが、ホストファミリーが
「…」という人たちだったら、せっかくの海外暮らしがけっこうきつい日々になりますね。
友人が何人かロンドンでホームステイしてたんですけどいくつかトラブルもあったし…
もちろん素敵なホストファミリーの方々もたくさんいらっしゃると思いますけど。
隣同士の国なのに、こんなに意識に隔たりがあろうとは… ヨーロッパでもそうなのか…

『真っ白な嘘(White Lies)』
アフリカで寄生虫の研究をしていた撲は、ある学校の敷地内でジェリーと同居していた。
ジェリーは毎週末にアシーナというアフリカ人女性と過ごしていた。
ある日校長の娘が休暇を過ごすためにやって来た。
ジェリーはその娘と結婚すると宣言し、週末に校長一家を招待することにする。

けっこうゾッとする話しなのですが、女性をなんだと思ってるんだよぉというキャラクターの
ジェリーに対してはちょっと「いい気味!」という気もします。
でもこの話しを読んでからしばらくは外に洗濯物を干すのが怖くなったのよね~。
うちのまわり、けっこう緑が多くて虫もウジャウジャいるもんだから…

『緑したたる島(The Greenest Island)』
大学生のデュヴァル19歳とポーラ21歳は、ありったけの320ドルを持ち、片道のチケットで
プエルト・リコのサン・ファンへ向かった。
二人の気持ちはすでに離れていたが、ポーラは妊娠していた。
ギリギリの暮らしの末、デュヴァルはホテルのレストランで働くことにする。

南国へ愛の逃避行… なんてロマンティックなことでしょう! と思ったら…
現実って厳しいよね… でも若い頃は夢みるよね… でもやっぱり無茶しすぎよね…
「こんなはずじゃない!」がお互いの頭の中をかけめぐる毎日って地獄よ、きっと。
色あせていく風景の美しさと二人の心をリンクさせているところが絶妙です。

『あるレディーの肖像』というのがあって、ヘンリー・ジェイムズの『ある貴婦人の肖像』を思い出しました。
内容はぜんぜん違うんですけどね。

解説すっとばしましたのでよくわかりませんが
ポール・セローもヘンリー・ジェイムズ的にヨーロッパに心を寄せてるタイプなのかしら?
でも讃美しているってわけでもなさそうだし…
国内にいるより海外でこそ際立つ国民性を描くつもりだったのでしょうか?

それとも、コスモポリタンならではの気楽さと所詮は異国人だという悲哀を
対比させて物語を… ま、どうでもいいや。
面白かったです、とにかく。

それはさておき、けっこう暗めな話しばかり覚えてましたね。
皮肉が利いた笑い話みたいなものもあったのですけど…
さては私は暗い物語が好きだね! そんな気はしてました。

ひとことフィギュアスケートコーナー
あぁぁ…小塚崇彦ファンとか言いながら、24日のすぽると見忘れた!! Nさんが特集するよってお知らせくれたのに
27日は全力で応援します! もちろん他のお二人も… あ!女子もフリー頑張って!! 

ポーランド王カジミェシュ3世妃 ヤドヴィカ

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             ヤドヴィカは肖像画を見つけられなかったので
                   孫娘のヴワディスワフ2世妃アンナ

ポーランドの行く末を担わされた王妃
カジミェシュ3世妃 ヤドヴィカ・ジャガンシュカ

1350~1390/在位 1365~1370

ヤドヴィカは1365年頃にカジミェシュ3世と結婚しました。
カジミェシュ3世は神聖ローマ皇帝カール4世との繋がりを強くしたいと思って
ヤドヴィカとの結婚を望んでいました。
問題は二人目の妃アデレージャと三人目の妃クリスティーナが存命中ってこと。
       
けれどもどうしても王子が欲しかったカジミェシュは結婚を強行。
家系図は省略しますが、カジミェシュとヤドヴィカは四等親にあたります。
カジミェシュは教皇の特免をもらわずに結婚に踏み切ります。

アデレージャの味方だった教皇インノケンティウス6世は異議を申し立てました。
だけど次のウルバヌス5世は、1368年に二人の結婚生活を認めています。
ウルバヌス5世もなにかと大変だった時期だけに
「四等親でしょ? もーどーでもいいよ」の境地に陥っていたのかもしれません。

何度も言うけど、この後王家間ではいとこ同士だのおじと姪だのの結婚が目白押しよ!
四親等で騒ぎ立ててるのが可笑しく思えるよ。

カジミェシュが焦っていたわけとは、もしヤドヴィカが子供を産まないと
ハンガリー王ラヨシュ1世が母親のエルジェピタ(カジミェシュの姉)の権利で
ポーランド王になってしまいます。
王家がピアスト家から離れてアンジュー家へいってしまうのね。
そうなると再び王座が戻ってくることもなさそうです。

だけどさ、カジミェシュは55歳で急がなきゃいけないかもしれないけど
ヤドヴィカは15歳ですよ!!
無理に子供なんか産んだら自分の命まで危なくなっちゃう。
子供優先ならどうして適齢期の女性を選ばないかしらね。

結局、結婚の翌年からたてつづけに3人の子供が生まれたのですが
カジミェシュの期待虚しく王女ばかりでした。

死を前にして王子をあきらめたカジミェシュは、後継者をラヨシュにしていました。

1370年にカジミェシュが亡くなると、ラヨシュがルドヴィクとして即位し
エルジェピタが摂政になります。

未亡人になったヤドヴィカはというと、すぐに次女を亡くし
故郷のジャガンに戻って兄ハインリヒ6世の宮廷で過ごすことになりました。

エルジェピタのパワーに圧されたか?
もしヤドヴィカが気の強い女性で、娘に婿を迎えて対抗してたら
この後のポーランドの王位継承も変わっていたかもしれないですね。
たぶんおとなしい女性だったのでしょう。

22歳の時にレグニツァ公ルプレヒトと再婚しました。
まだまだお若いものね。
二人の娘が生まれ、18年の結婚生活を送ったのち40歳で亡くなりました。

カジミェシュとの結婚で生まれた長女アンナの娘アンナが
後のポーランド王ヴワディスワフ2世・ヤゲウォの妃になります。
なんとか王座には関わっていってますが、ピァスト家による王位継承は
カジミェシュ3世で途絶えることになります。

ルドヴィク妃マルガリェタとエルジェピタ二人については
ハンガリー王妃編で書いたので割愛しますね。

(参考文献 Wikipedia英語版)

ひとことお花見コーナー
お天気はいまいちだったのですが、今日を逃すと行けないかもと思って、毎年恒例近所の公園への花見に行って来ました
お弁当も毎年恒例のおにぎり&からあげ&タマゴ焼き。 満開ではなかったですが綺麗でした

ポーランド王/ポーランド王ヴワディスワフ2世妃 ヤドヴィカ

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ハンガリー育ちのポーランド王
ポーランド女王/ヴワディスワフ2世妃 ヤドヴィカ

1373~1399/在位 (ポーランド王)1384~1399
          (ヴワディスワフ2世妃)1386~1399

ヤドヴィカは王として戴冠していて、彼女のタイトルはポーランド王妃ではなく
ポーランド王ということになります。
しかし、ポーランドでは特に女性が君主になってはけないという決まりはなかったのですが
前例がなかったので、女王(QUEEN)ではなく王(KING)という称号が与えられています。

カジミェシュ3世の姉エルジェピタの権利を得て王になったルドヴィクと
二人目の妃エルジェーベトの末娘ヤドヴィカは、幼年時代をハンガリー宮廷で送りました。
5歳の時にハプスブルク家のオーストリア公子ヴィルヘルムと婚約していたことがあって
1年ほどウィーンの宮廷で過ごしていたことがあるようです。

1382年にルドヴィクが亡くなると、次女マリアが10歳でハンガリー女王になりました。
当時マリアはルクセンブルク家のジグモンドと婚約していていました。

       

ポーランド側は、マリアと将来夫になるジグモンドによる二国統治を嫌がり
マリアの妹ヤドヴィカを君主にしたいと考えます。
摂政であるマリアの母エルジェーベトに2年間交渉した末
10歳のヤドヴィカをクラクフに招くことに成功しました。

王になるやいなや、ヤドヴィカの前には求婚者が現れます。
たぶんその前からた~くさん縁談があったとは思うけどね。

中でも婚約していたオーストリア公ヴィルヘルムはクラクフまでやってきて
「もう結婚式をあげちゃおうよ!」という作戦にでますが失敗。
すごすご帰ったヴィルヘルムは、ヤドヴィカの従姉妹(?)でライバルの
ナポリ女王ジョヴァンナ2世と結婚します。

この年、リトアニア大公ヤゲウォがポーランドの貴族とクレヴォ同盟を結びます。
これによってポーランドはリトアニアから土地を返還してもらうことができて
捕虜たちの釈放もしてもらえることになりました。

ヤゲウォ26歳(36歳説あり)、ヤドヴィカ12歳の1386年に結婚しました。
条件はヤドヴィカとの結婚とポーランドの王冠でした。

王になり夫を迎えたとしても、12歳のヤドヴィカには政治的な力は無かったと考えられます。
けれどもヤドヴィカは積極的に政治に参加しようとします。
外交面・文化面に力を入れていたようで、失ったポーランドの領土奪還にも力を注いだり
病院の設立や教会の慈善活動の援助もしてました。
クラクフ・アカデミーは、1817年に王夫婦の名をとってヤゲウォ大学に改名しました。

             
             こちらには王の貫禄がありますね

1399年、ヤドヴィカは王女エルジェピタを出産しましたが
一ヶ月のうちに母娘が相次いで亡くなり、一緒にヴァヴェル大聖堂に葬られました。

26歳かぁ、若いですね…
国民から親近感も尊敬も集めていた王というのは、当時では稀な気がします。
もっと長生きしていたらポーランドの王位継承は違っていたかもしれません。

ヤドヴィカは亡くなった直後からポーランド国内で聖人として尊ばれていたそうで
奇跡の話しもたくさん残っているそうです。
その中でも有名なのは、成り立ちは諸説ありますが “ ヤドヴィカ・クロス ” と
“ ヤドヴィカの足跡 ” のお話しだそうです。

1980年にはポーランド国内の教会で列福され、1997年に列聖されました。
時の教皇はポーランド生まれのヨハネ・パウロ2世です。
教皇にとってヤドヴィカの列聖はぜひとも成し遂げたい仕事だったでしょうね。

奇跡と言えば、ヤドヴィカの墓所は、17世紀・1887年・1949年に
少なくとも3回発掘されていて、その骨の具合も奇跡的に語られているわけなんだが…
奇跡はいいから、いいかげんそっとしておいてあげましょうよ~

(参考文献 Wikipedia英語版)

ひとことK-POPコーナー
東京ドームでオニュが歌ってから頭を離れないRainy Blueなんですが、だんなが熱唱するんだよぉ やめてほしい!!
そんなわけでこのごろ、だんな歌う→YouTube→また歌う→またYouTube… の繰り返しよ… 疲れるわぁ 

ポーランド王ヴワディスワフ2世妃 アンナ

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ポーランド貴族の最後の祈り
ヴワディスワフ2世妃 アンナ・ツィレシュカ

1382~1416/在位 1402~1416

ヴワディスワフ2世の妃ヤドヴィカは、26歳という若さで亡くなりました。
ヤドヴィカの死はヴワディスワフのポーランド王の座を危うくするものでした。
ヴワディスワフはポーランドの血統の中から相手を迎えようと考え
カジミェシュ3世の孫にあたるアンナと1402年に再婚しました。
       
この時点でヴワディスワフは40歳(50歳説あり)前後、アンナは16歳です。

アンナの母であるカジミェシュ3世王女アンナは、当時未亡人になっていたみたいなのですが
娘の嫁入りで再びポーランド王室の中で力を持ちたいと考えていました。
せめて王妃である娘か、(将来生まれるはずの)孫娘ぐらいのポジションはほしいと
要求したみたいです。
王妃の母より王の娘の方が上なのね…宮廷内での序列って大変そうですね。
その願いが叶えられたかどうかはわかりませんけど、アンナはずっと宮廷にいた様子。

しかしアンナは王子ではなく、1408年に王女ヤドヴィカひとりを生んだきりで
30歳の時に亡くなります。

少~しでもピァスト王家の血が流れている王子を望んでいたポーランド貴族たちは
かなりがっくりしたことでしょう。
今後はアンナが生んだヤドヴィカに期待をかけるしかありません。
でもでも…

(参考文献 Wikipedia英語版)

ひとことK-POPコーナー
『ドキドキインド』さぁ、泡ネットル5個のキュヒョンと水3本のソンギュのエピソード読んだ時点で期待大ですね!
ピニメンバーがいないところでも「も~やだ」とか「なんだよぉ~」とかソンギュらしさを発揮してほしいわ~  

ポーランド王ヴワディスワフ2世妃 エルジェピタ

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王様ご乱心? な王妃選び
ヴワディスワフ2世妃 エルジェピタ・グラノヴシュカ

1372~1420/在位 1417~1420

家系図寂しぃぃぃ
         
アンナ・ツィレシュカを亡くしたヴワディスワフ2世は、サンドミエシュ連合の
ピリツァ領主オットンのひとり娘エルジェピタと再婚しました。
母親のヤドヴィカはヴワディスワフの名付け親です。

エルジェピタは12歳か13歳の時に父オットンを亡くし、広大な領地を相続していました。
噂では結婚を3回ぐらいしていて、二男三女のお母さんだったと言われています。
そのうちの2回は誘拐されたあげく結婚したということです。

いずれにしても、ヴワディスワフと結婚した時には
ナクロ城主ヴィンセンティ・グラノヴスキという人を7年前に亡くした未亡人でした。

ヴワディスワフはアンナを亡くした翌年の1417年、妹のモスヴィア公アレグザンドラを
訪ねたのですが、そこにエルジェピタがいたみたい、ひと目惚れ?
アレグザンドラの協力もあってか、その年のうちに結婚してます。

この結婚はポーランドの貴族社会でものすごい非難を浴びました。

65歳(55説あり)のヴワディスワフには、アンナが生んだヤドヴィカしか子供がいません。
ピァスト家につながる人でなくとも、もっと若い人と再婚して子供産んでもらわなきゃなのに
45歳の相手を選ぶってどうなのよ~! 後継ぎどうすんのっ!! ということでね。
もし王子が何人かいたら、老後はお二人で仲良く… なんて祝福されたいたかもね。

結婚から2年ぐらいしてエルジェピタは健康を崩し、1420年に亡くなります。
結核だったみたいですが、なんだかあまりにも急なので
「もしかして領地がほしかっただけ…?」なんて中世の陰謀的なことを考えてしまった…

でも世間の批判や憶測をよそに、実は二人の結婚生活は幸せなものだったようです。
エルジェピタはヴワディスワフの旅行や視察にも度々同行しました。
ヴワディスワフにとってエルジェピタは、政治のことなんか関係なく
本気で結婚したいと思った相手だったのかもしれません。
エルジェピタも王妃としてヴァヴェル大聖堂に葬られています。

近年の歴史家は、エルジェピタの最初の二度の(誘拐&)結婚はフィクションで
実際にはグラノヴスキが初婚だったと考えています。
また、生年も10年ぐらい盛られてて、本当は1382年生まれじゃないかと議論されています。
そうすると結婚した時には35歳だから、頑張れば一人や二人産めるかも…

当時の著述家たちが、下流から嫁いできた王妃を嫌って書いたものだと推測されます。
歴史上の人物の評価は、当時の政治的背景や著者の主観に左右されているものも多いので
うのみにしちゃいかん!! って、改めて思いますね。

(参考文献 Wikipedia英語版)

ひとこと深夜番組コーナー
うちは二人とも帰りが遅い方なので、テレビつけたらニュース23かゼロからの深夜番組っていう流れになるのですが
『しくじり先生』がゴールデンにいっちゃうなんて~!ゴールデンにいくとだいたいつまんなくなっちゃうんだよね

『バージェス家の出来事』ハッピーエンドと思いたくて…

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THE BURGESS BOYS 
2013年 エリザベス・ストラウト

このあいだ『オリーヴ・キタリッジの生活』で初めて知ったエリザベス・ストラウトの本を
見つけたので、何日間か迷ったあげく買ってみました。 長篇なのでね…

いきなり本題に入っていい?

ジム・バージェスとボブ・バージェス、スーザン・オルソンという三兄弟妹がいます。

ジムは何年か前に絶対に有罪になりそうな有名人を無罪にして有名になり
ニューヨークで大手の事務所を共同経営する弁護士。
従順で洗練された妻ヘレンがいて、3人の子供は大学に通うため家を離れています。
良いものを身につけて自信満々で怖いものなし… 成功者ですね。

ボブはニューヨークで訴訟支援の団体に勤務しているジムの弟です。
口数が少なく心優しい男性ですが、一度離婚しています。
前妻のパムとは今でも仲良く、新しい夫の子供たちとも親交があります。
4歳の時に車をいじっていて父親をひき殺してしまったという過去があります。

スーザンはボブと双子のひとり娘で、今でも3人の故郷メイン州で息子と暮らしています。
元夫のスティーヴは家を出て、今ではスウェーデンで暮らしています。
スーザンは眼鏡屋で、息子ザカリーはウォルマートで働いています。
父親の事故があってからボブとはしっくりいっていません。

淡々と人物紹介的に進んでいた話しが大きく展開するのは
ボブが兄夫婦宅を訪ねている時に、ジムにかかってきた一本の電話からです。
電話はスーザンからで、ザカリーがある事件をおこしたので来てほしいというものでした。

その事件というのは、故郷シャーリー・フォールズに最近増えてきたソマリ人移民が
モスクで祈っているところへ、ザカリーが凍った豚の頭を投げ入れたというものでした。
しかもラマダン中… ということで、ただのイタズラだったつもりが
人権侵害で司法局や連邦政府から訴えられるかもしれないということでした。

ここまで読んで「やっちまった…」と思っちゃいました、私。
政治的なこととか人権とかが語られる小難しい物語だったらどうしましょう?
しかも宗教… 私に理解できるんでしょうか?と、ちょっとめんどくさくなったりして…

でもそんな心配はいりませんでした。
もちろんちょっとは絡むんだけど、この事件の展開とともに
バージェス兄弟妹と彼らをとりまく人たちの心や状況の変化が描かれています。

いろいろなエピソードが絡み合っていく面白さがあるので
これ以上あらすじは書きませんけどね… 長~~くなるし収拾つかないからね。

本当はかなり目まぐるしい変化なんだけど、そんな忙しさは感じられません。
以前も思いましたが、文章が飾りたてられずストレートに書かれています。
プロローグから始まり4章に別れているのですが、短く区切られていて読み易く
怒鳴りあうシーンでさえもうるささを感じさせない筆運びが読んでいて心地よかったです。

バージェス兄弟妹の他に、かなりの数の登場人物がいるのですが
皆が感じているのは、去って行った人への喪失感… でしょうか?
出て行った人や死んだ人、戻ってきてほしいとかもうどうでもいいとか
程度や長さに差はあっても、抱えながら生きていっている感じです。

ほとんど思い出さない人、ふと思い出す人、心に居着いてしまう人…
人は誰でも失ってしまった人を持っているはずですよね。

この物語は、それらを乗り越えろとか打ち勝てと言っているのではないと思います。
そうですねぇ… 登場人物たちの、失った人への向き合い方を読んで感じたことは
「人それぞれ」でしょうか?
人それぞれって、言うのは簡単なんだけどなかなかその境地には達せないんだよね。

めくるめく… とまではいきませんが、章が変わるごとに登場人物たちに変化がおこり
興味が削がれないまま読むことができました。
とても面白い一冊でした。

ひとことK-POPコーナー
すでにシャヲルで話題騒然(になっていると思う)のオニュのインスタデビュー
まさかの壁3連発に4枚目への期待が高まっていたところ
これだ!!
 泣いちゃうね
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