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Channel: まりっぺのお気楽読書
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『アメリカ短編小説傑作選 2000』世の中は問題山積なのね

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THE BEST AMERICAN SHORT STORIES 2000 
2000年

なんで今頃2000年の傑作選か… と言いますと、本棚で見つけちゃったから。
読んだ覚えが無いので読み返してみました。

現実的でしんみり、あるいはのんびりした、解り易〜い物語好きの私ですが
若い頃はこういうのが好きだったんでしょうね?

ありきたりな恋愛小説や家族のいい話を書くのはやめましょう!という
作家の意気込みが感じられる一冊です。

評論家やコメンテイターとは違った角度から社会問題に切り込んでるっていう感じかしら?
傑作選ですから面白くないわけではありません。
ただ、どの話も大小さまざまな問題を孕んでいて疲れちゃうのよ。

問題はあれど好きだったお話しをいくつかあげてみます。

『フラワー・チルドレン(Flower Children)/マキシン・スワン』
子供たちは好きな時に、野山、牧場、沼地などをかけまわり、自由に育っていました。
しかし麻薬常用者だった父さんは他の女のもとへ行き、同じく麻薬常用者の母さんは
ボーイフレンドを連れてくるようになります。

最初は、自然って子供たちにとってなんていい環境なんでしょ!と思いながら
読んでいたんですけど、自由に、というより放任なのね。
子供たちは学校に行くようになって規則を身につける機会が訪れますけど
親にはもうそんな機会はないわけで… 子供たちにエールを送るしかありません。

『共同戦線(Unified Front)/アントーニャ・ネルソン』
ジェイコブとシーシーはフロリダのテーマパークを訪れています。
シーシーは、ずっと子だくさんの一家の双子の後を追いかけ回しています。
ついに両親がアトラクションに入り、子どもだけが残された瞬間が訪れました。

もとは夫の不倫から始まり、相手の子供が死んでしまったりして
シーシーは子供が欲しいという思いに取り憑かれてしまっているようです。
気持はわからないでもないが、肯定するかと聞かれればNoですね。
しかしこのご時世、子どもだけを残していなくなっちゃうのはどうかと思うよ。

『家族の絆(Welding with Children)/ティム・ガトロー』
家内がカジノに行く日、四人の未婚の娘たちが子供をひとりづつ預けて行きました。
幼い子供たちが良くない言葉を使い、母親のボーイフレンドの事を話します。
気を取り直して聖書を読んでやると、口を挟んで内容をめちゃくちゃにしてしまいました。

おじいちゃんは大変だし、近所の目も気になりましょうが、なんかいい話なのよね。
悪戦苦闘しながら食事を与えるおじいちゃんと、小さな手と口を動かす四人の孫たちの
あーでもない、こーでもない、という場面を思い浮かべると自然と顔がほころびます。

問題は他にもいろいろ目白押しですよ。
親が犯した罪、宗教社会のイニシアティブ争いに巻き込まれる親、妻と娘の家出、
自分の不倫に親の不倫、娘の里帰り… まだまだ続く… もう書かないけどね。

自分の身にふりかからなければどうでもいいようなことから社会問題、病気などなど
世の中には頭を悩ませることがこんなにもあるのですね。

その上天災があるというのに、なぜに人々は争ってるのか?
この一冊にはそういうメッセージでも含まれているのでしょうか?

不勉強なせいだと思いますが、20世紀の名作選と比較すると
「21世紀は、この人!」という代名詞的な作家が見あたらないのが寂しいですね。
作家が増えすぎたのか、天才が減ったのか
はたまた、日本における翻訳小説市場がぐっと狭まったのかはわかりませんが…
いずれにしても、傑作選という名の下に会した作家の作品集だけあって
侮れない一冊であることは間違いないと思います。

ひとことK-POPコーナー
今日(正しくは昨日)仕事から帰ったら宅配BOXにTOWER RECORDSからお届けものが…SHINeeの『Fire』でした
もちろん!旦那が寝静まってから見ましたとも!! いい気持ちで眠れそうです。

『スラッシュグリーンからの風』新参者、旋風を巻き起こす

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NEWS FROM THRUSH GREEN 
1970年 ミス・リード

以前読んだミス・リードの『村の学校』がそこそこ面白くて
Book-offで見つけたから買ったんですけどね。

舞台は同じくコッツウォルズ地方のスラッシュグリーンという村で
一応長編ですが、各章で村の人々がクローズアップされていて、短編のように読めます。

先に感想言っちゃうとね、いい気持でほのぼのと読んでいたのにすとーんと落とされた気分。
ラストでのけぞったわ!
ちょっと紹介してみますね。

2年間空き家になっていたタリヴァーズ荘に誰かが越して来るというので村は浮き足立ちます。
まだかまだかと待つ中やっとリフォームが終わり、30歳ぐらいの女性フィリダ・ブライアと
6歳になる息子ジェレミーが越して来ました。
いろいろな憶測が飛び交いますが、ジェレミーの父親は仕事で外国にいるということでした。

エピソードフルな村人がたくさんいまして、その人たちの話しもいちいち面白いんだけど
書ききれないから、特にブライア母子と繋がりの深い人だけ紹介しますね。

まずはブライア母子の隣人、医師のドナルド・ベイリーと妻のウィニー。
思慮深いベイリー医師は体調を崩しています。
ウィニーは面倒見がよく、ブライア母子に実の母、祖母のように接します。

ハラルド・シュースミスは村の世話役をこなす未婚の男性です。
フィル(フィリダ)が文章を書くと知って編集者を紹介したり
とっちらかった庭の世話を焼いてくれたり、とても親切にしてくれます。

ハラルドの家政婦ベティー・ベルは、おしゃべりで掃除はぞんざいですが
料理の腕は一流で、村人たちの大切な日には欠かせない女性です。

その他、ヘンストック牧師の妻ディミトリーと、その友人で芸術家肌のエラ。
二人はフィルが書いた小説の登場人物そっくりってことでクローズアップ。

やたら動物を飼っていて、猫の里親探しに奔走しているドティー。
ドティーはジェレミーに猫をあげると言ってきます。

ここからがあらすじ…
ブライア母子が村の人々に馴染んできた頃、フィルの秘密があきらかに…
やはり夫とはうまくいっておらず別居中なのでした。
そしてその夫から離婚を切り出されてしまいました。
でも、村人たちはみんなフィルの味方だから大丈夫!!

ウィニーの甥で健康法のことばかり語るやりきれないリチャードがやって来ます。
リチャードはぶっきらぼうな男ですが、フィルに興味を持ち意外な一面を見せます。

フィルはハラルドが紹介してくれた編集者フランクから仕事が入るようになり
収入の心配も消えて、スラッシュグリーンに住み続けたいと望むようになります。

突然、他の女性と暮らしているフィルの夫が事故で亡くなり
こう言っちゃなんだけど、フィルは自由な身になりますよね?

お察しの通り、ハラルドはフィルへの想いが募っていきまして
同じくフィルに興味しんしんのリチャードとバトルを繰り広げます。

果たしてフィルはどちらの想いに応えるのでしょうねっ?

と思っていたら、だいどんでんがーえし!!

良くないよ〜、フィル

だいたいなんで旦那が浮気をしてしまったのか不思議だったんですよね。
見た目も悪くないし性格もいい、趣味もいい、誰からも好かれる好人物なのに…
以前見たNHKアーカイブスでイギリスの村のコミュニティにとけ込むのは大変!
みたいな番組があったんですが、フィルは易々と受け入れてもらえたわけ。

旦那はそんな完璧なところに疲れちゃったのかしら? などと考えながら読んでいましたが
最後の最後に判明したわ。

男心がわからない人なのよ〜!
というわけで、平和な村の良い話しと思いながら読み進めていた私は
最後の最後にずっこけたわけなのよ。

モテる女性が全てそうだとは言いません。
言いませんが、本人にはそんな気が無くてもやはり小悪魔なんですよ。
気づいているのかいないのか、男性の優しさを受け入れておきながら…
期待を持たせたくせに突き落とすなんて…

あ、ごめん、興奮したよ

ただの長閑な物語ではないです。
本当にラストのラストまではのほほんと読んでいられるんだけどね…
いきなり聞き捨てならない話になりますよ。
フィル以外にもう一人、それはないんじゃないのか?って思う人がいますから!!

ひとことK-POPコーナー
うちの旦那さんは競馬が好きなのね。 それで最近K-pop馬券(シャイニー◯◯とか)を買うように薦めているわけですが
今日の中京の9R、1着はヴェルデライト(D-LITE)、2着がソロデビューだって! 買っときゃいいものを…

GUCCI & COACH

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最近は和柄ちりめんのマカロンづくりに凝ってたんだけど
ホワイトデーに大量生産してちょっと飽きちゃったので
もはやめっきり縁遠くなったブランドものをリメイクしてみました。

生地が厚かったので上手く丸くなってくれるか、
浮かないようにファスナーに縫い付けられるか不安でしたが
思ったよりきれいにできました。
GUCCIは旦那さんが革をベリベリ剥がしてくれたおかげでかなり縫い易かったです。

実はまだ中ができてないのよね。
サテンにするつもりです。
ラインストーンなんかも貼っちゃおうかしら?
開けたらキラッキラってどうよ?  

『ジャズ』迷路で立ち往生…てな気分

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JAZZ 
1992年 トニ・モリスン

『パラダイス』にものすごく感激してしまって、すぐこの本を買っちゃったんだけど…
難しい… 実は1回読んだだけでは理解できなくて2回読んでしまいました。

この物語でも人種の問題を取り入れているようですが
それはそれとして、目まぐるしく変化していく物語の展開を追っていくことが
とても楽しくもあり苦しくもある一冊でした。

ある女性が若い娘の葬式で、横たわる娘の顔を斬りつけようとしたところから
物語が始まります。

斬りつけた女性はヴァイオレット・トレイス。
もぐりの美容師をしている40代後半の女性です。

斬りつけられたのはドーカスという、ヴァイオレットの夫ジョーが夢中になっていた
18歳の少女でした。

ジョーはドーカスが他の男といるところに現れ彼女を射殺したのですが
証拠不十分というか目撃者がいなかったため不起訴になったのでした。

その後ヴァイオレットはドーカスのことが知りたくなって
育ての親だったおばのアリス・マンフレッドを訪ねるようになります。
アリスは腕の良い仕立て屋ですが、暴動という暗い思い出から白人を恐れています。

ヴァイオレットとアリスの微妙な交流も興味深いところです。

それでね、この物語が難しくなっていくのはここから話が遡っていくことなんですが…

まずはヴァイオレットの母ローズ・ディアのエピソードがあり
祖母トルーベルの話しへと移ります。

トルーベルが長い間仕えていたヴェラ・ルイーズと彼女が生んだゴールデンという息子、
ゴールデンが探し求めた父親と見られる黒人男性ヘンリ・レストーリ、
ヘンリ・レストーリが託されたワイルドという狂女は、どうやらジョーの母親らしい…
遡っていくと登場人物たちが不思議につながっていくんですね。

ここで少しこんがらがってしまって、またまた家系図なんかを書きながら読みました。
ただ、難しいけど面白いくだりで読み進めるのは苦痛ではありませんでした。

最後には現代に戻ってきて、ヴァイオレットとジョーのその後が書かれています。
このラストをどう見るかは人それぞれだと思いますが
私はヴァイオレットに「良かったね」と言ってあげたいような気がします。

かなりはしょりましたので、ただのセンセーショナルな物語に思えるかもしれませんが
それは私の書き方のせいでして、本当はもっと奥深い人の過去と現在の妙が描かれています。

『パラダイス』同様、恐ろしさと悲しさと独特の美しさを孕んだファンタジーで
物語としてたいへん面白いものでありました。
なにしろ2回続けて読んでも途中で飽きることがなかったからね!

ひとことK-POPコーナー
PARADISEといえば… Infiniteの爽やかなティーザーも4日めになり期待が膨らむ一方ですね!!
あと3日か…

『女神』“ 絵になるカップル ” 好きとみた!

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三島 由紀夫

前回読んだ『永すぎた春』で上手く三島像が掴めなかったわたくし、
この本を読んでさらに迷走している気分です。

表題の中篇『女神』と10篇の短編がおさめられていますが、ほぼ全篇恋のお話し。
ファンタジーめいたものもあれば妖しい話しもあり、可愛らしいエピソードもありと
バリエーションに富んでいますけど、なんていうか…
三島由紀夫という人は美男美女の組み合わせが好きなのね?きっと。

そりゃ、美しい人が主人公の方がドラマティックだとは思うけどさ…
確かに古今東西のメロドラマの主人公は美しいけどさ…
三島由紀夫の場合 “ 完璧に ” 美しいカップルがお好みと見ました。
容姿端麗で頭脳明晰で天真爛漫で家柄良し… 悩みなんかなさそうですけどね。

印象に残ったお話しを紹介しますね。

『女神/1955年』
美術品のように美しく完成させた妻依子が空襲で顔に火傷をおってから
周伍は娘朝子を完璧に美しい淑女にすることに心血を注いできました。
年ごろになった朝子は画家の青年一(はじめ)と、銀行の跡取り俊二に出会います。
朝子は俊二となら完璧なカップルになると思い婚約することにします。

お気づきでしょうが朝子は本当は一に惹かれているんです。
ありがちな話しなら、朝子が本当の愛を大切にしようとすったもんだ…って展開ですが
そうはならないのが三島由紀夫のスゴいとこ!!
でもこの話しのラスト、私はちょっと気持悪いんですけどね…

『接吻/1951年』
満月の夜、詩人Aは思い立ってお嬢さん画家のアトリエを訪ねました。
お嬢さんは快く迎え入れてくれましたが、静物のデッサンが気に入らないらしく
イライラしながら筆を噛んでいます。
詩人Aはそんなお嬢さんの唇を盗み見ています。

最後に画家がとった行動を、気持悪〜と見るか、可愛いね!と見るかはお任せします。
私は純愛ぽくていいと思ったんですけどね。
ただ、こんなことが許されるのも若く美しいからなんでしょうね?

『朝の純愛/1965年』
良輔と玲子の夫婦は世間から自分たちを遮り二人だけの世界に生きてきました。
二人の気持は30年前に出会った時のままでした。
しかし老いを感じ始めた時、愛のために他人を利用することにします。

この話しは、実はあまり好きではないんですけど
作者の美しいカップル好きが垣間見えるのでは? と思いましてね…
巻き込まれちゃった若い二人がお気の毒です。

13年前に出会えなかった二人が出会うお話『伝説』とか
イライラさせられる向いの女学校の生徒に恋をしちゃったかもしれない男性のお話『哲学』
なんかが好きでした。 かなり短い話しですけど。
お伽噺のようなのに少し気味が悪い『雛の宿』も印象的でした。
『鴛鴦(えんおう』という、恋する二人の会話にイラつく話もありました。

でも私が言いたい最大の感想は、三島由紀夫は目で見て美しい恋愛が好きだ!!
ということかしら?
物語の内容はおいといて、とにかく、登場人物がどれほど理想的で
二人が並ぶとどれほど絵になるかっていう描写が欠かせないらしいのね。

こういうのを耽美派っていうのでしょうか?
よくわかりませんけど、美男美女のいないところに物語は生まれないという気がしました。
平凡な見かけの人でも恋をするってわかってほしい…

ひとことK-POPコーナー
先月末行って来ました!日本武道館、テソンのDLive!! 出だしから泣いちゃったよ
そして『粉雪』で再び泣いたね! テソンの声は素敵すぎるぅぅ… 全ていい曲に思えるよ

ポーランド公ヴワディスワフ2世妃 アグニェシュカ

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“ 雌トラ ” と呼ばれた王妃
ヴワディスワフ2世妃 アグニェシュカ・バーベンベルゲ

1108〜1163/在位 1138〜1146

ボレスワフ3世の影薄ーい一人目の妃ズビシュワヴァが生んだヴワディスワフ2世は
けっこう有能で王様の素質があったみたいなのですが、異母弟たちとの争いが絶えず
結局国をおわれて他国で没しました。

ヴワディスワフ2世の父ボレスワフ3世は領土を保持するために神聖ローマ帝国に反抗していて
神聖ローマ皇帝ロタール3世と敵対する強力な同盟者を手に入れようと探していました。
そこで、神聖ローマ皇帝ハインリヒ2世を祖父に持つロタール3世の宿敵バーベンベルク家の
アグニェシュカと王子ヴワディスワフの結婚を決めました。

二人は1125年に結婚しました。
ボレスワフ3世はお祝いに二人にシレジアを送っています。

    
1138年にボレスワフ3世が亡くなると、ポーランドは息子たちに割譲されましたが
ヴワディスワフは長男だったので、一応最高権力者になります。

しかし、ボレスワフ3世の二人目の妃シャロメアをはじめ弟たちは納得しないでしょ?
前項で書いたとおりシャロメアはボレスワフを失脚させようと必死に反抗します。

一方、アグニェシュカは長男である夫が単独の君主でないことに大きな不満を抱きます。

ドイツでは勢力のある家柄の出で、神聖ローマ皇帝の孫にあたるアグニェシュカは
非情に精力的で野心家で、クラクフ司教は彼女を “ 雌トラ ” と呼んでいました。

イングランド王エドワード2世妃イザベルも “ 女豹 ” なんて呼ばれてましたけど
虎の方が強そうですわね…
どうでもいいけど気の強い悪女タイプの女性を猫科の動物で呼ぶのはやめてほしいぞ。

アグニェシュカは「国を統一しなさいよ!」とヴワディスワフを煽ります。
ヴワディスワフもその気になってしまい、これがもともと不満があった弟たちとの
対立を深めていきます。

シャロメアが宮中伯を追いやる一方
アグニェシュカはシレジアの強力な領主ヴワストヴィクの失脚を謀ったりしています。
この時は目を潰して追放、なんて中世的な刑を与えました。

けれども、ヴワディスワフとアグニェシュカの専制的なやり方は裏目にでます。
家臣の忠誠心は弟たちに移ってしまいました。
結局1146年にヴワディスワフは弟たちに敗れボヘミアに逃れました。

アグニェシュカと子どもたちはその時クラクフにいて、しばらくは抵抗していましたが
やはり追放されてしまいました。

アグニェシュカの異父兄にあたるホーエンシュタウフェン家のドイツ王コンラート3世が介入し
ヴワディスワフはすぐ復権できそうな気配もあったのですが
ドイツ軍の遠征は失敗に終わります。

続いてアグニェシュカの要請でローマ教皇エウゲニウス3世が仲裁に入りますが
ヴワディスワフの弟たちは兄の帰国を断固拒否しました。
これでポーランドは教皇から破門という、当時としては恐ろしい罰をを言い渡されるのですが
これは逆に国内の教会の統一に役立って感謝されちゃう始末。

1155年に神聖ローマ皇帝がアグニェシュカの甥フリードリヒ3世になり
アグニェシュカは再び野心を燃やします。
ところが! フリードリヒはポーランド遠征を行い勝利したものの
ヴワディスワフの復権は認めませんでした。
やはり神聖ローマ帝国はポーランドを手中に収めておきたかったのね。

ヴワディスワフがフリードリヒ3世に臣下の誓いをし、年貢を納めることを条件に
シレジアがボレスワフ4世からヴワディスワフの息子に返還されることになって
やっとアグニェシュカはあきらめがついたようです。

このごたごたから2年後の1159年、ヴワディスワフが亡くなります。
アグニェシュカの没年ははっきりしていません。
1163年に次男ミェシュコがシレジアに戻って復権した時に同行していないので
その前に亡くなったのでは? と言われています。
これだけ名を轟かした女性の没年がはっきりしていないとは寂しいね。

それにしても、同時代にシャロメアとアグニェシュカという二人の野心家を抱えていた
ポーランド宮廷はすごそうですね!!
奸策、陰謀、権謀術数… いろ〜んな悪だくみが渦巻いてた予感…
歴史ドラマにもってこいじゃないですか? 主役は二大 “ 肉食系 ”女優なのね。
ポーランドではドラマになっているのでしょうか? ちょっと興味あり…

ひとことK-POPコーナー
Infiniteの新曲『Man In Love』はすごい勢いですね!
私はミニアルバム 4曲目の『恋しさの届く場所に(ハングルが文字化けするので邦題です)』がすごく好きです

『小悪魔アザゼル18の物語』小さな親切、ものすごく大きなお世話!

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AZAZEL 
1988年 アイザック・アシモフ

アイザック・アシモフって有名ですよね! って、実は読んだことがないと思う…
スペース・ファンタジー系の作家ですよね?

古本屋さんで見つけて面白そうだったので買ってみました。
宇宙とはほとんど関係ない18篇からなる一冊です。

全てのお話しは、アザゼルという2cmの悪魔に魔術を使わせることができるという
ジョージ・ビターナットという男が、作家に語ったこれまでの善行(?)です。

ただし、ビターナットが行った善行はほぼ全て失敗に終わっているのよね。
しかも頼まれてもいないのにやっちゃうの。

印象に残ったお話しをいくつか書きますね。

『強い者勝ち』
条件は揃っているのになぜか女性と縁がないことを嘆く友人テオフィルスを見て
女性にモテるようにしてあげました。
次に会った時、テオフィルスは女性に囲まれてうんざり顔をしていました。

モテるっていっても限度があるわよね。
すれ違っただけでどの女性もクラクラしてしまうなんて、面倒くさそう…
結局テオフィルスはとんでもない相手に出会うことになります。

『酒は諸悪のもと』
完璧な美女なのに厳しく育てられたせいで男性とつきあえないイシュタルを可哀想に思い
お酒が飲める体質に変えてあげることにします。
酔ったイシュタルは大胆になり、何人もの男性をおとしていきますが…

“ 男性と付き合う ” の意味が違うと思うんですけど…
しかもお酒ばっかり飲ましてたらどうなりますか? 想像力が欠如している!!
ということでイシュタルのゆく末はとても悲惨なものになりそうです。

『見る人が見れば』
親友の娘で、不器量だけど優しく心が綺麗なメリサンドが熱烈な恋をし結婚しました。
11年後、夫のために美しくなりたいと嘆くメリサンドを見て願いを叶えてあげます。
数日後、沈んだ様子の夫を見かけました。

美しくなった奥さんはおしゃれに目覚め、さらに美しくなっていくじゃない?
そしたら世の男性がほっとかないじゃない? というわけで、この夫婦には危機が訪れます。
11年間幸せに暮らしてきた夫婦になにしてくれちゃうわけ!?

『ガラテア』
古い友人の娘で彫刻家のエルダベリーは、完璧な男性の像を造り上げ愛してしまいました。
硬い大理石から柔らかい人間に変わって抱きしめてくれればいいのにと嘆く彼女を見て
願いを叶えてあげることにします。
数日後彼女を訪ねると怒り心頭でした。

“ 柔らかい ” っていうところがポイント!
悪魔に伝える時に細かい部分の説明を怠ってしまったからなのね。 ちょっと下ネタです。
エルダベリーはこの先この男性を抱えてどうすればいいんでしょうね?

ビターナットは悪い人ではないのでしょうが困り者ですね。
勝手に「善いことしよう!」って人生メチャクチャにされてもねぇ…
責任のとれないことにまで手を出すのはやめてほしいものです。
親切とはいえターゲットにはなりたくないですね。

悪魔がいたり魔術が使えないにしても
親切はありがたいがほっといてほしい…という人はいますね 。
知らない間に事が大きくなってたりしてね…

何も考えず、のほほんと読み流せる一冊だと思いますが
深く読み込むとけっこう教訓が潜んでいるのかもしれません。
2cmの悪魔は見てみたい気がする… 2cmって…虫と間違えて踏んじゃうかもしれん…

ひとことK-POPコーナー
イ・ハイってどんどん可愛くなりません? 最近彼女を見るのが楽しみになってきました。
『 it's over』のクマもかわいいね  誰かに似ている…

ポーランド公ボレスワフ4世妃 ヴィエショフスワヴァ

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アナスタシアっていうらしいよ
ボレスワフ4世妃 ヴィエショフスワヴァ・ノヴゴロヅォカ

1125〜1162/在位 1146〜1162

異母兄ヴワディスワフ2世を打ち負かし、最高公の座についたボレスワフ4世は
争いが激化する前の1137年頃に
プスコフ公フセヴォロドの公女ヴィエショフスワヴァと結婚しました。

プスコフ公領というのはロシアにあります。
ボレスワフ4世に反抗していたヴワディスワフの母シャロメア
ロシアを味方につけたくてネゴったらしいです。
       
エピソードはないのよね…

最初の王子ボレスワフを生んだのが結婚から20年後ぐらいっていうのが驚きですが
たぶん10代前半で結婚してるので30代前半の初産ですね。
現代なら驚くことないですね。

二人目の王女を生んだ時に亡くなったとされていますが
1158年、1160年、1162年説があります。
墓所もボレスワフ4世の隣らしい…ってことではっきりしていません。

ロシア出身ということで、お国ではアナスタシアという名前だったらしく
ヴィエショフスワヴァの死後ボレスワフがシトー派修道院に寄贈した銀の装丁の福音書は
“ アナスタシアの福音書 ” と呼ばれているそうです。


存在が謎すぎる
ボレスワフ4世妃 マリア

生没年不詳/在位 1162〜1173

まず生没年がはっきりしてなくて、お父様もはっきりしていないの。
上の家系図にあるように、キエフ大公ロシチスラフ1世の大公女という説があります。

ボレスワフ4世の次男レシェクはマリアが生んだとされていましたが
以後発見されたコインから、レシェクが自分のことを “ アナスタシアの息子 ” と
称していたことがわかりまして、マリアが母説はあえなく崩壊…

墓所も不明です。
プウォツク大聖堂では? と言われているらしいのですけど… 誰も調べないのかしらね?

確かに君主とはいえ一領主の妃ですからねぇ…
詳細はわからないこともありましょうが、あまりにも不明ですよね。
存在自体疑わしい気もしますが、わざわざ再婚相手を創作するほどの状況でもないですね。
例えば、妃の評判があまりに悪いので死んじゃったって嘘ついて再婚したことにするとか
息子が急に王になったのでいい家の出の母親がいることにするとか…

シャロメアとかアグニェシュカにエピソードが多かっただけに寂しい気がします。

(参考文献 Wikipedia英語版)

ひとことK-POPコーナー
SHINeeの『 Why So Serious? 』… CDでは歌っていますが、MVはジョンヒョンがいなくて寂しいですね
早くよくなりますように

『ニューヨーク』圧巻の医者一族伝説

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CITY OF DRAM 
2001年 ベヴァリー・スワーリング

エミール・ゾラの『パリ』とエドワード・ラザファードの『ロンドン』が読みたいなと
ずっと思っているのですが、お高いので躊躇していたところ古本屋さんで見つけた一冊。

作家のお名前も知らず、なんの前情報も無く、二段組で600ページ以上もあるので
最後まで読み通せるか不安でしたが杞憂でした。
圧巻でしたよ! この物語が処女作と知って驚いているところです。

ニューヨークという大都市を舞台に、ある一族の確執と争いを描いた物語なのですが
アメリカの歴史が絡んで、ただの内輪もめではない壮大なお話しになっています。

長いのでね… ものすごくかいつまんで紹介しますね。

1661年、オランダの植民地だったアメリカのニューアムステルダムに
ルーカスとサリーというターナー兄妹が下り立つところから物語が始まります。

この二人は英国とオランダで極貧と戦い、やっとの思いでアメリカに渡ってきました。
兄ルーカスは床屋兼外科医で妹サリーは薬剤師、腕の良い二人の評判は高まり
アメリカでの生活は順調に始まります。

ところが、ある事件をきっかけに兄と妹は金輪際顔を会わせることが無くなります。
主にサリーの方がルーカスを憎む…という構図なのですが、その気持ちはよくわかる!
なんでかは書かないけどね〜
そしてこの確執が延々と一族に続く怨恨の第一歩になります。

話は1711年にとび、ルーカスの孫にあたる外科医クリストファーが
没交渉だったサリーの娘のレッド・ベスから突然の訪問を受けたところから
第二の確執がスタート。
レッド・ベスの娘にあたるタムシンとその夫の内科医ザカリー・クラドックが
クリストファーに仕掛けたと言える諍いは一族に広がりをみせていきます。

クリストファーの娘ジェネットはとても美しい少女になります。
レッド・ベスの弟、すなわちサリーの息子ウィレム・デヴリーの息子ケイレブは
ジェネットに恋をして婚約までこぎつけるのですが、ある秘密がわかり破談になります。
しかも、ジェネットがすぐにユダヤ人の大富豪ソロモン・ダシルヴァと結婚したことが
ケイレブの憎しみを誘い、後のジェネット対ケイレブの死闘へと発展します。

その死闘に巻き込まれたばっかりに、ジェネットの息子モーガンは
ジェネットの兄にあたる外科医ルーカスの一家の恨みをかうことに…
さらに母親のやり方に堪えられなくなったモーガンが家を飛び出します。

あっちでもこっちでも誤解と詮索と怨恨が渦巻いてますよ!

先住民の反抗と壮絶な攻防、欧州による植民地の奪い合い、奴隷の反乱という
数々の試練をくぐり抜けてきたアメリカの植民者がじわじわと立ち上がります。
本国イギリスによる圧政と搾取に堪えきれなくなったのです。

独立戦争の中、ニューヨークでは愛国派(独立派)と保守派(英国派)が入り乱れて
お互いを傷つけ合います。
親子も兄弟も二派に分かれてむごい戦争に加わります。

ターナー家、デヴリー家も例外ではありません。
ずっと歪み合ってきた二つの家系でしたが
自分たちの争いなどの比ではない独立戦争に向き合ってどうなっていったのでしょうか?

はたから見れば「話せばわかる!」っていうことだと思うんですが
一度火がついた憎しみって、血の繋がりがある方が根深いのかしらね?

人間関係がわかりずらいでしょー?
でも巻頭に家系図がついていますのでご安心を。

主人公となっている一族は代々お医者様と薬剤師を輩出している医療一家なのですが
当時の医療事情には驚きますよ!!

麻酔がないとか輸血が妖しげな儀式に見られるというのも驚きますが
まあ300〜400年前のことだから当然かしらね、とも考えられます。

それより、外科医の方が内科医より数段格が低かったらしく蔑まれてるのに驚いたわ。
手術ができる方がヒルなんかに頼る治療より信頼できそうですけどね。
それから、女性が医療行為をするのは禁止どころか極刑になったってことですよ!
死刑ですよ!! 薬剤師はよかったらしい… 不思議ですね。

『アボンリーへの道』では長女フェリシティが医大に行ってましたが何年ごろの話し?
ヴィクトリア女王時代だったような気がするので1800〜1900年ぐらいかしら?

それにしても、戦争はいつの時代も酷いものですね。
原住民や奴隷に対する植民者のふるまいも、白人に対する原住民や奴隷の反抗も
一度は優勢にたった英国派の兵士の行いも、独立を勝ち取った愛国派のその後の行いも…
残虐なことにおいては皆同じ穴の狢ね。
ものすごく迫力がある描き方でむごさがありありと浮かびました。

人間は有利な立場に立った時、集団で少数を相手にする時、自分が正義だと信じこんだ時、
とんでもないことをするのだなと呆れるばかりです。
でも自分がそうしないとは誓えないのが情けないところ…
とにかく、不毛な争いがおこらないように願うばかりです。

“ 読書で三都物語 ” 、 まずは『ニューヨーク』を読破です。

ひとことK-POPコーナー
SHINHWAの新しいCDがすごいらしい!! っていう噂だけで18日発売の『THE CLASSIC』を予約しちゃったよ
豪華特典写真集ってのも気になるところ…

ポーランド公ミェシュコ3世妃 エルジェビエタ

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ちょー幼妻かもしれない
ミェシュコ3世妃 エルジェビエタ・ヴェギエルスカ

1128〜1154/在位せず

兄ボレスワフ4世から最高公の地位を継承したミェシュコ3世という人は
何度も退位したり即位したりと忙しい人でした。

ミェシュコは、1136年頃ハンガリー王ベーラ2世の王女エルジェビエタと結婚しました。
この縁談にも母親のシャロメアの奔走ぶりが垣間見えますね。
息子の味方がいっぱいほしーよー!!というガッツが感じられます。

      
けれどもこの記録が正しいとするとエルジェビエタは8歳か9歳です。
いくら中世とはいえ若すぎ! ということで、ベーラ2世の娘ではなく姉か妹、
つまりクロアチア公アールモシュの公女では?という説もあるそうです。

どうなんでしょうね?
一番上の子は1149年以前に生まれてるらしい… エルジェビエタは20歳前後ですね。

1154年に26歳か27歳で亡くなったとされています。
やはり幼くして嫁いだのでしょうか?
現在なら小学生… いくら国益のためとは言っても
争いの絶えない異国に娘をやる親の神経もすごいものがありますね。



              
継母モード全開だったのかどうかは謎
ミェシュコ3世妃 エウドクシャ・イジャスワヴォヴナ

1131〜1187/在位 1173〜1177

ミェシュコはどうやら前妃エルジェビエタが亡くなるとその年のうちに再婚したみたいです。
お相手はキエフ大公イジャスラフ2世の王女エウドクシャです。
        
キエフもなんだか目まぐるしく大公が替わっている印象があるのですが
こまめに縁談をまとめていますね。
神聖ローマ帝国の介入が激しくなってきたこの時期
キエフ大公国はポーランドにとって重要な相手だったみたいですね。

ミェシュコは1173年に最高公に即位しましたが、1177年に退位しました。
これは前妃エルジェビエタが生んだ長男オドが「エウドクシャの子ばかりひいきする」と
叔父、つまりミェシュコの弟カジミェシュ(後の2世)の助けを借りて
反乱をおこしたためです。
ただの焼きもちじゃすまないのが王家のつらいとこ… 継承権がかかってますから。
カジミェシュもただの親切心だけで助けたわけじゃなさそうですね。

このえこひいきにエウドクシャの意思が関わっているのかどうかは不明です。
小さい子の方が可愛いから… とミェシュコがかわいがっていただけかもしれないしね。

結局(親子喧嘩の果てに)ポーランドからの逃亡を余儀なくされたミェシュコは
まずは長女のエルジェビエタの嫁ぎ先ボヘミアのソビェスラフ2世に助けを求め
そして、たぶん次女リュドミラか三女ユディスの嫁ぎ先のドイツへ向かい
最後に五女アナスタジアの嫁ぎ先ポメラニアのボギスラフ1世を頼りました。
ちなみに三女までは前妃エルジェビエタの子ね。

エウドクシャも同行していたようです。
前妃の娘たちとは上手くやっていけたのかしら?
もしも再婚後冷たくあたっていたとしたら居心地が悪かったでしょうね。

ミェシュコは1187年に領土を回復して1191年に復位しています。
エウドクシャは領土回復の時には生きていたと推測されていますが
復位の時には亡くなっていたとされています。

1187年以降の記録は無いようなのですが、1209年死亡説もあるそうです。
そうすると、ミェシュコの4回に渡る退位・復位に付き合ってるわけで…
ご苦労様です。

(参考文献 沼野充義氏『中欧』 Wikipedia英語版)

ひとこと韓流コーナー
私はイ・ソヨンという女優さんが好きで、BSで始まった『恋せよ、シングルママ』というドラマを見始めたのですが
20話までかと思っていたら50話まであるんだって! 長い…長過ぎる…でももうやめられない

『優しすぎる妻』女性による女性のための・・・

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SISTERS IN CRIME 2 
1990年

評価が高かったという第1巻は持っていないのですが、古本屋さんで購入しました。
名高い女性ミステリー作家の21話がおさめられています。
読後にまず感じたのはミステリーって幅広い!! ということでしょうか?

もうミステリーの定義がよくわからんぞ…
犯人探しをするもの、猟奇的な話、幻想的な話、小咄のような物語もあれば
ミステリーの範疇におさまりきらない人生の断片を書いたものまで様々ありました。

好きだったお話しをいくつかご紹介します。

『スネーク・プラント/The Snake Plant(ジーン・フィードラー)』
心筋梗塞の発作をおこして入院したダイアンは、同僚から見舞いでもらった鉢植えに
愛着を感じていましたが、夫のブライアンは怪訝な顔をします。
入院前ダイアンとブライアンは離婚の話し合いをしていましたが
退院して帰宅するとブライアンはダイアンに優しくなったようでした。

ただの鉢植えが夫婦にとってお互いの心を探る道具になり
とうとう相手を打ちのめすための武器になります。
どちらが勝利したのかは秘密… 私としてはスッキリしましたけど。

『息子のほほえみ/Andrew,My son(ジョイス・ハリントン)』
子どもの頃から天使のように可愛らしく、あまやかしてしまったアンドルーは
今では悪意のこもった態度しか見せないようになりました。
ドクターはアンドルーがこれまでにしてきたことを何度も語らせようとします。
家を数日空けていたアンドルーは帰宅すると優しさを見せるようになりました。

それまでのアンドルーの極悪ぶりを考えると、ラストちかくに見せるの優しさが
やけに不気味なのですが、母親はそれでも嬉しくなるんですよね。
溺愛してきた息子に対する母親の悲しい期待は報われるのか裏切られるのか…

『嵐よ、つかまえにきて/Storm Warning(ナンシー・ピカード)』
エリザベスは間違い電話がもとでエドと毎晩電話をするようになりました。
父の知人のリチャードの励ましもあり、とうとうエドと会うことにします。
エドは会ったその日に投資の話を持ち出します。

騙されちゃだめー! エリザベスっ!! というような単純な話ではないのです。
エドに騙されたかもしれないということより、もっとエリザベスの心を締め付ける出来事が
ラストに待っているのよね… せつない… 気をつけようっと。

『優しすぎる妻/Kindness(デボラ・ヴァレンタイン)』
心不全で死んだロドリゲスの未亡人は、葬式の後独り家路を辿りながら
50年前に愛した別の男のこと、ロドリゲスとの結婚生活などを思い出します。
未亡人はロドリゲスの入院後、かいがいしく世話をしました。
そんな妻に夫は怯えていました。

うーん… 結果としてそうなったのか、計画的だったのか謎ですが
ある種の完全犯罪と言えなくもない奥さまの行動だったのでした。
手口が気になった奥さまは本屋さんへGo! 気になった旦那さまもどうぞ!!

犯人探し、事件解決というミステリーの王道からは外れているかもしれませんが
人間の内面とか葛藤が深く書かれているようで、上の4篇を選びました。
ミステリーという枠にくくってしまうのは惜しいような物語だと思います。

以前書いたような気がするのですが、ミステリーもこれだけあると
混合玉石な気もしますし、トリックもどこかで見たような… ということが多々あります。
作家の方も大変な苦労をしているでしょうが、それが、例えばトリック暴きとか
アリバイ崩しというような事件解決一辺倒なだけでない作品を生み出させて
ミステリーのスタイルを拡げているのかもしれないですね。

ともあれ、作家が女性だから…というわけではないでしょうが
作品の主人公は全て女性で、女性が共感しやすいテーマを扱っています。
ミステリーが苦手な人でも入り込みやすい一冊じゃないでしょうか。
化粧品によくある “ お試しセット ” みたいな感じかしら?

ひとことK-POPコーナー
ジョンヒョンおかえりー!! 他の4人までやけにはりっきっている姿が微笑ましかったよ
ところでSHINeeといい4Minuteといい、今K-popはゾンビがブームなのかしら? SHINHWA 1位おめでとー!!

『生きている過去』“ 延命させてる過去 ” って感じ

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LE PASSE VIVANT 
1905年 アンリ・ド・レニエ

正直に言ってしまうと、つまらなかったの…

メロドラマの王道みたいな話しで、面白いと言えば面白いのかもしれないが
私はちょっと共感できませんでした。

さくさくっと書いてみますね。
3組の男女の愛を中心に展開していると言えばいいのかしら?

ジャン・ド・フラノワという青年がいます。
伯爵の息子で、何をするでもなく倦怠と虚無の中に毎日を送ってるって感じ。

シャルル・ロオヴローという青年は王制を懐かしむジャコバイトの息子。
骨董品好きで女好き、恋愛に真剣になることはありませんでした。
そんなシャルルが数日間一緒に過ごして別れた後忘れられなくなったのが
女優志望のジャニーヌです。

パリ在住のイタリア貴族チェスキーニ伯爵はカサノヴァの生き方を讃美していますが
25年間人妻であるド・ロオモン夫人一人に愛を捧げ続けています。

ジャンの父親ド・フラノワ伯は、美しい地所であるヴェルナンセの館と庭園を
維持することに必死ですが、もはやその財力はありません。
そこで未亡人で遺産を持っている妹フェリシーを呼び寄せ支配していました。

フェリシーの息子、つまりジャンの従兄モーリスは精力的に仕事をする金融家で
成功をおさめつつあり、落ちぶれた貴族の美しい娘アントワネット・ド・サフリーを
妻に迎えることにしました。

で、ジャニーヌを忘れられないシャルルはジャンを連れてイタリアに旅に出るのですが
そこでジャンは自分と同じ名前の人物の墓を見つけるんですね。
どうやらイタリアで戦死した親戚のようです。
ヴェルナンセに帰ってからもジャンの頭からはそのことが離れません。

そこへモーリスが療養のために滞在するためアントワネットを連れて到着。
徐々に親しくなっていくジャンとアントワネット…
そこへシャルルがとんでもないものを持ち込みます。

シャルルが手に入れた古い文机から見つかった手紙なんですが
なんと! アントワネットの祖母で、同名のアントワネットが
ジャンがイタリアで見た同名のジャン・ド・フラノワに宛てたラブレターでした。

もぉー! メロドラマでしょお
運命の二人、どんな障害も乗り越えていただきたい!!

アントワネットもやはり「運命のお導き!」と浮き足立つわけなんですが
ジャンの思いはちょっと違ったようで、物語は意外な方へ…
意外というのは、あくまでも私の感想なんですけどね。

でも、ジャンは生きる術を知らない貴族の息子なんですよ。
額に汗したこともないばかりか、その日何をしたらよいかもわからない人なのね。
王制は甦らず、貴族の名で食べていけるなんて日々は過去になりつつあります。
この先のことを考えると妥当なラストだったのかもしれません。
アントワネットには可哀想な気もしますが…

フランスってまだ貴族はいるの?
フランスで王政復古を望む声ってあまり聞こえない気がするんですけど
爵位を持ってることに意味はあるのだろうか?

この物語が書かれたのは王制が倒れて約60年後、帝政が終わってから35年後だから
まだまだ王制・帝政復古の望みを持っていた貴族がたくさんいたのでしょうね?
作者のレニエについては何も知りませんが、やはり王制を懐かしむ人だったのかしら?

ゾラなどは1880年代にはもうほとんど王制のことなんか書いてないような気がしますが
この物語内ではまだまだ貴族が主役をはってるっていうのがね…
なんだか「昔は良かった」感が滲み出てて哀愁がハンパじゃない気がしております。

ひとことK-POPコーナー
1日のSGC(ソウル・ガールズ・コレクション)、 旦那様の同僚の方のおかげで、なんと人生初のVIP席!
間近でINFINITEのダンスを見て感動したさ!! RAINBOWはとても可愛かったです

ポーランド公カジミェシュ2世妃 ヘレナ

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摂政は楽じゃない・・・1号
カジミェシュ2世妃 ヘレナ・ズノエムスカ

1141〜1206/在位 1177〜1194

異母兄妹に伯父・叔父入り乱れて権力の奪い合いが続いていたポーランドで
甥オド(兄ミェシュコ3世の長男)を助けると見せかけて〜の権力奪取に成功した(憶測ね)
カジミェシュ2世の妃は、ズノイモ公コンラート2世の公女でした。
ズノイモっていうのはチェコらしいです。
ボヘミアとの関係強化ですかね?

ヘレナという名は、母方の叔母ヘレナ(イローナ)からいただいたらしいです。
         
1194年にカジミェシュ2世が(たぶん)心臓発作で亡くなると
ヘレナは幼い息子たちの摂政になりました。

一族入り乱れての権力争いまっただ中での摂政は楽じゃないですよね?
ヘレナは、さすがイローナの名をもらっただけあってとても賢明な女性だったそうですが
それでも母子はカジミェシュの兄弟だの従兄だの姉妹の婿だのに威嚇され苦労したようです。

中でもミェシュコ3世との争いは激しかったみたいですね。
四男レシェクは最高公の座をとったりとられたり… めんどくさいなぁ…
どちらか大人になって我慢できなかったんですかね?
常識からいくと年少者が我慢すべきでしょうが、そしたら権力の座を持っていかれちゃうのか?
国内で争っているうちに、隣の大国にやられちゃうぞ… と誰か教えてあげなきゃ!

1202年から1206年の間に亡くなりました。
その後もレシェクは廃位したり返り咲いたり…
こんなストレスいっぱいの争いがなければ、もう少し長生きできたかもしれませんね。



              
摂政は楽じゃない・・・2号
レシェク1世妃 グジェミスワヴァ

1185〜1258/在位 1207〜1210、1211〜1227

父親一族と激しい権力争いを繰り広げ、三度目の最高公の座を手に入れた1年後の
1207年にレシェクが東方拡張策のために結婚したのは
キエフ大公ヤロスラフ2世の孫にあたるブジェミスワヴァでした。

その前に他の女性と結婚していたという説もあるらしいけど不明です。
         
あんまりエピソードはないんだけどさ…

1227年にレシェク1世が暗殺されると1歳の息子ボレスワフ(後の5世)の摂政になります。
ボレスワフはブジェミスワヴァが亡くなった後も母親の影響力から
逃れられなかったというから、かなりのスパルタママだったんじゃないかしらね?

ちなみに娘のシャロメアも母の影響を受けてか、深く宗教に傾倒していまして
1672年に福女に列福されています。

上の画を見ると必死で息子を守ろうとする摂政ママの悲哀が表れてますね。
そんなこともあって、ボレスワフは母親に反抗できなかったのかもしれないですね。

1258年に亡くなり、親交のあったザビホストのフランシスコ派教会に埋葬されました。

ひとことK-POPコーナー
SHINHWAのCD来たんだけどさ… A4変形版厚さ4cmのカンカンに入ってるCDって初めて見たよ
クッキーの詰め合わせかと思っちゃったけど、さすが大人の魅力いっぱいですね! 最近毎日聞いています。

『短篇小説日和 英国異色傑作選』まだまだ知らない作家は多い

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2013年

表紙からして異色感ただよう一冊ですね。
編者がこだわって選んだと思われる20篇がおさめられています。

20篇の作家20人の中で私が名前を知っていた作家は7人だけです。
まだまだ未知の作家は多いですね! 読書のペースをあげなければ…
とはいえ、私はかなり好き嫌いが多い読者で
いろんな作家を読みたいなんて口ばっかりなんだけどね。

気になったお話しをいくつかあげてみます。

『八人の見えない日本人(The Invisible Japanese Gentlemen)
                 /1967年 グレアム・グリーン』
レストランで、おとなしい日本人の団体客越しに二人の若い男女の会話が聞こえてきます。
女性は、自分の作家としての将来が約束されたからと男性に結婚を急かしています。
男性は弱々しく反論し、答えをはぐらかしています。

男性の心変わり? 二人の愛の結末は? っていう男女間のトラブルのお話しではなく
グリーンが作家ならではのアドバイスを込めた一話に思えます。
日本人の団体は完全に背景なので気にしないでよし … 絶妙の背景だとは思いますけど。

『羊飼いとその恋人(A Shepherd and a Shepherdess)
                 /1937年 エリザベス・グージ』
大家族のために尽くしてきた55歳の独身女性エイダは、今は時間も収入も自由になる身。
しかし旅行に出てもすぐに退屈になり、ホテルのお客たちに世話を焼く始末です。
ロンドンで土産の羊飼いとその恋人に置物を買ったエイダは
コッツウォルズに向かう列車から見た風景に心惹かれ何も考えず飛び降ります。

どっかで似たような話が… と思って記憶からしぼり出してみました。
アガサ・クリスティの『富豪婦人の事件』とか
スーザン・ヒルの『歌って踊って』あたりが似ているような…
話しのテーマは違いますけど、結局主人公の女性が働き者なのね。

『小さな吹雪の国の冒険(The Adventure of the Snowing Globe)
                 /1906年 F・アンスティー』
小さな名付け子のためにクリスマスプレゼントを買おうと入った店で
スノードームに見入っていると、いつのまにか雪国にいました。
途方に暮れて中世の城のような屋敷の門を叩くと迎え入れられ
若い王女から助けを求められました。

面白いのは、中世のお伽噺的・Disney映画的な相談をもちかける王女と
現代の法律で解決しようとする男性の噛み合ない会話ですね。
竜が現れるに至って男性はやっと法律じゃどうにもならないことを悟るんだけどね。

国やテーマ別に編集された短篇集は、編者の好みが垣間見えて面白いですね。
それにしてもたくさんの作家の膨大な数の物語を読まれているのだな… と尊敬します。

長い長〜い解説を読んでいないので、異色というのがどこを指してるのかちょいと不明…
私が知っていた7人の作家に限って言えば、特に他の作品と違う作風だという気もせず
英国っぽくないかと言えばそういうわけでもない…

テーマとかシチュエーションが日常的でないということなのかしら?
家庭の些細な問題とか世間の世知辛い出来事を扱った物語は無いに等しいので
ちょっと共感しづらいところはありましたが
『美女と野獣』大人版みたいな気分で読むとよいかと思います。

ひとことK-POPコーナー
3月のテソンのDLiveがあまりにもよかったもので、明日の追加公演にも行っちゃうことに
今回は武道館でなくて横浜アリーナです。 すごく楽しみ!

『見えない日本の紳士たち』今後はまる予感…

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THE INVISIBLE JAPANESE GENTLEMEN AND OTHER STORIES 
グレアム・グリーン

以前読んだ『二十一の短篇』同様表紙に惹かれ買ってしまいました。
訳者が違うのかな? 全然違う印象のような気がします。
と思って見てみましたら、編者は同じで訳者も数人は重複していました。
テーマが幅広い作家ということになるのでしょうか? 
執筆活動の期間が長いことも影響しているのかもしれません。

印象に残ったお話しをいくつかあげてみます。

表題の『見えない日本の紳士たち』は『短篇小説日和』で読んでいました。
同じ物語でも訳者によって印象が変わることがあります。
それも翻訳小説を読む面白さのひとつですね。

『過去からの声(Mortmain)』
カーターは10年にも渡るジョセフィンとのすったもんだの末ジュリアと結婚しました。
ハネムーン先にジョセフィンから心のこもったお祝いの手紙が届きました。
ロンドンに戻ると部屋はジョセフィンが心地よく整えていてくれて
温かいメッセージも残されていました。

こわいよ〜  考えつくされた復讐劇… になっていくのでしょうか?
まだまだ序の口というところで終わっています。
その後を想像するのが楽しいような怖いような…
復讐を考えている人には参考になるかもしれないね! おすすめはしませけれどもね…

『ショッキングな事故(A Shocking Accident)』
ジェロームは小学生の時寄宿学校で、大作家のように美化して崇拝していた父が
執筆旅行中のナポリで不幸な事故に遭って亡くなったことを聞きました。
ジェロームはその後、父の死について語る時には細心の注意を払って生きてきました。

どうリアクションしたらいいのかわからない死因…
言う方もつらいでしょうが聞かされる方も困っちゃいますね。
その苦労が、小学生に父親の死を告げる舎監先生の姿に滲み出ております。

『慎み深いふたり(Two Gentle People)』
公園のベンチに離れて座っている見ず知らずの男女がいます。
若者の振る舞いをきっかけに会話を始め、会話がはずみ、一緒に食事することになりました。
楽しいひと時を過ごした後、二人は夫と妻がいる各々の家に帰って行きます。

どことなく、大好きなマンスフィールドテイストのお話しでした。
あえて “ 夫と妻が待つ家 ” と書きませんでしたが、そこがこの二人のポイント。
韓国ドラマならなぁ… きっと再会して惹かれあって… なんて展開になるのでしょうが
どうにもならなそうなラストがつらいわ… でもどうにかなってほしい。

性をテーマにしたものから宗教をテーマにしたものと一見両極端に見える物語をはじめ
様々なテイストの短篇が一冊の本におさまっている違和感…
2冊しかグリーンを読んでいない私には、まだまだグリーンらしさがわかっていないようです。
好きな話も嫌いな話もありましたが、好きなものはかなり好きです。

ハヤカワepi文庫には、グレアム・グリーン・セレクションというのがあるらしく
他にも数冊短篇集が出ているようなので読んでみるつもりです。
今からアマゾンで探してみるね。

ひとことK-POPコーナー
BIGBANGの東京ドーム、友達がファンクラブ先行予約に応募してくれたんですけど…
もう12月の公演の予約ですよ! 1年て早いのねぇ…

ポーランド公ヴワディスワフ3世妃 ウツェヤ

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               こちらはコンラト1世妃アガフィア

けっこう長生きなのにエピソードひとつだけって・・・
ヴワディスワフ3世妃 ウツェヤ・ルギシュカ

生没年不詳/在位 1202〜1206、1227〜1229

ミェシュコ3世の二人目の妃エウドクシャの子で贔屓されてたらしいヴワディスワフの妃は
デンマーク王クヌート5世の孫娘にあたるウツェヤです。
           
1186年に結婚しているのですが、亡くなるまでに残っているエピソードは
ヘンリク1世と聖ヤドヴィカの末っ子の洗礼式に夫婦揃って出席したということ、ただひとつ。
(聖ヤドヴィカはこれから登場します)
お子様もおりませんので、母親としてのエピソードもありません。

夫婦で公の場に出たのが1回だけ? まさかね…
ヴワディスワフ3世は愛妾がたくさんいたらしいので夫婦仲が悪かったんですかね?

没年は不詳ですがヴワディスワフよりは長生きしたそうで、1131年頃だといわれています。
墓所も不明… 当時としてはけっこう長生きだと思うのですが
存在感が無い人だったんだろうか?

で、最高公が入れ替わり立ち替わりの合間に1210年から1年だけ最高公になった
ミェシュコ4世の妃ルドミワは、父親も不明なので割愛します。
ルドミワ(ルドミラ)という名はボヘミア系で、当時この名の女性がいたのは
プシェミスル家だけだったそうですが、キエフから嫁いできたって説もあり…



夫の信頼を失墜させた妃
コンラト1世妃 アガフィア・スヴァトスワヴナ

1190〜1248/在位 1229〜1232、1241〜1243

ブワディスワフ3世の後を継いだコンラト1世妃はリューリク家の流れをくむアガフィア。
ということはキエフ方面ですかね?
ものすごく良い家柄とも思えないが、悪くもなさそうです。
       
もはや国内は敵だらけ…国外に味方を見つけようとするポーランドの継承者たちを
周辺の大国がほっとくわけないですよね?

アガフィアの父親はコンラトの兄レシェク1世の味方で
さらにポーランドにくい込もうとしていました。
そんなわけで二人は1207から1210年の間に結婚しました。

お子様も10人生まれ、結婚生活は順調だったようですが
1239年、一家に暗雲がたちこめました。

コンラトとアガフィアの公子カジミェシュは、ヘンリク2世の公女コンスタンチアと
結婚したのですが、これに対し、長年一家に尽くし、子どもたちの家庭教師もしていた
ヨン・ハロン(?)がいい顔をしませんでした。
さらにはコンラトの統治にも不満を表すようになります。
さてはコンスタンチアが好きだったの? ま、まさかカジミェシュのことが…?

ハロンはどうやら謀反をおこしたみたいで、有罪になります。
拷問 → 公開縛り首という、The 中世な刑が行われたわけですが
判決から処刑、さらに処刑後のアガフィアの行動がすごかったみたい。

あまりの酷さにグニェズノ大司教はコンラトとアガフィアに破門を言い渡しました。
二人はミサにも行けず、国内での宗教行事にも参加できませんね。
当時の王侯貴族にとって破門ほど恐ろしいことはありません。

コンラトは信頼も人望も失ってしまいました。
困り果てたのか、グニェズノまで出向き赦免を手に入れています。

それでなくても敵の多いポーランドの君主継承権争い…
夫が暴走したら諌める方にまわらなければならないのに、夫より目立っちゃダメね。

10人の子どものうち5人は公子ですが、誰ひとり最高公についていません。
さてはこの件で後援者を失ったか?

没年は不詳ですがコンラトよりは長生きしたそうです。

良いエピソードではありませんが、少しは存在感がある妃がいて良かったです。
そうじゃないとずーっと、エピソードが無いって書き続けなければならないからね。
それはそれでつらい…

(参考文献 Wikipedia英語版)

ひとことK-POPコーナー
SHINeeのさいたまスーパーアリーナ! 横浜から3日間通ったわよ!! そしてすごくすごーく良かったわよぉ
終わっちゃって今脱力中… 名古屋の追加が出たら応募しようと真剣に考えてます。 旦那は猛反対中

『新樹の言葉』前向き、後ろ向き…人生って複雑ね

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太宰 治

何冊か太宰治の短篇集を読んでまいりましたが、この『新樹の言葉』は
一番感想が書きづらい気分でいます。

今までの短篇集にも「貧乏で酒好きで情けないし、書けないし…もう死んじゃいたいよぉ」と
いう話がちりばめられていましたが、そこはかとなくユーモアがあったのですよね。
でもこの一冊のそういった題材をテーマにした話は、すごく悲しくなったんです。
中には冗談などをはさんでる話もあるのですが、かえって目頭が熱い…

収載されている話が多いせいか、他の短篇集より幅広いテーマで書かれている気がします。
でもほぼ全編寂しくって悲しい…
30歳前後に書かれている話が中心ですけど、何がそんなに悲しかったんだろう…

そんな中では比較的前向きと思われる、好きだった話をいくつかあげてみます。

『葉桜と魔笛/1939年』 
老婦人が語る35年前の思いで話… 松江に移り住んだ後妹の病は悪化しました。
死期がせまっていると思われた頃、妹宛の手紙の束を見つけました。
それはラブレターでしたが、相手はどうやら病を理由に妹を捨てたようです。

このあと、男への怒りと妹の不憫さを感じた姉はある行動にでます。
O・ヘンリ的な展開と言えるかしら?
死をテーマにしているはいますが、暗くならなかった良い物語でした。

『新樹の言葉/1939年』 
甲府に滞在中「義弟だ」という男の訪問を受けました。
怪訝に思いましたが会ってみると、子供の頃乳母だったおつるの息子幸吉だと言います。
幸吉に誘われ食事に出ますが、立派な料亭で支払が不安になります。

その料亭っていうのが、幸吉が昔住んでいて、家が落ちぶれ売られた家なのね。
この物語のラストを作者が言うように「勝利」と 言っていいのかどうかはわかりませんが
これで本当に過去がふっきれたかもしれないね。

『花燭/1939年』 
働くことなく親からの仕送りで暮らしている“ 男爵 ” と呼ばれる男性がいます。
気の弱さから人々にたかられているのですが、ある日しぶしぶ知り合いの仕事先である
撮影現場を見に行き、以前実家で女中をしていたとみに会いました。
とみは女優になっていましたが、懐かしそうに話しかけてきました。

この二人がゆくゆくうまくいくとは思えないんだが… まぁ、とみの思いが通じるといいね。
女性の力で男性が変わってくれればいいんですけどね… しかし、なぜこの男がいいかなぁ?

以上、前向きとは言え一抹の哀しさがぬぐい去れない三編をご紹介しました。

あとはねぇ、すごく気になった話を二つ。

恋人とは言えない大切な人と数日を過ごす『秋風記』
二人の微妙な関係と、尋常とは思えない死への憧憬と、女性の夫と子供が気にかかる一編。

安井夫人が、女学校時代の友人の駆け落ちを語る『誰も知らぬ』
なんだかものすごく情熱的な話に思えるのよね。
友人の方じゃなくて、若かりし頃の安井夫人がね。

読み終わってしんみりしちゃうよ… でも考え込むほど重いテーマとは思えない。
死を扱っているとはしても、あまりにも個人的で考え込んでられないのよ。
たぶん教訓を与えようと思って書いていたのでは無いのでしょうね。
世間には、“ 弱い ” というのではなく、生きることに馴染まない人もいるのだということを
知ってほしかったのかもしれませんね。

ネガティブとポジティブが一編の中で入り交じったような独特な感じです。
ネジティブとでも名付けちゃう? ポガティブよりいいよね?

ひとことK-POPコーナー
SHINeeのつづき… 私は3日間かなりいい席だったのですけど、毎回隣に母娘ペア、前に恋人ペアがいたの
皆で楽しめてよかったです。 キーペンの中2のお嬢ちゃん&ママ、とっても楽しかったですね

『ベラミ』いつか痛い目にあってほしい

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BEL-AMI 
1885年 ギィ・ド・モーパッサン

モーパッサンの『ベラミ』はいつか買おうと思いつつやりすごしていたら
本屋さんで発見したので、大嫌いな映画化記念表紙だったのですけど買ってしまいました。

なんだか短篇と長編のモーパッサンは別人みたい…と思いつつ読んでましたが
策略とか愛憎と言ってるわりには、バルザックとかゾラみたいに
ドロドロ、グチャグチャ、おおげさ!という感じはせず、すらーと終わってしまいました。
素朴ささえ感じられます。
人の好さがそうさせたのでしょうか? っていい人かどうかは知らないんだが…

“ ベラミ ” というのは “ 麗しのきみ ” という意味だってことで
主人公はハンサムな士官あがりの青年ジョルジュ・デュロワです。

デュロワは退役後鉄道会社で働いているのですが、給料が少なくて困窮しています。
ある日街で士官時代の同僚シャルル・フォレスチエにばったり会い
誘われるままフォレスチエが働く新聞社に入ります。

と、いきなりあらすじに入ってしまったけどこのまま続けるね。

デュロワは新聞社で地位を得て羽振りがよく、しかも美しくて知的な妻マドレーヌを持つ
フォレスチエが羨ましくもあり妬ましくもあり… というわけで
自分もひたすら出世して金を持つ身分になりたいと願うようになります。

のし上がるための武器は美貌…ってことになるのでしょうね?
次々と女性を手に入れて、地位をあげていきます。

手に入れられちゃった女性は以下の通りです。
どういうふうに手に入れてどうなったかは、映画になってるから伏せとくね。

まずはフィレスチエの妻マドレーヌの友人クロチルド・ド・マレル夫人。
鉄道会社の視察官を夫に持つコケティッシュな女性ですけど出世にはあまり関係なさそう。
ただ、素敵なアパルトマンの一室は手にすることができました。

次にフォレスチエの妻マドレーヌの再婚相手になります。
お互いに計算づくの結婚で、夫婦というより同志みたいな感じです。
マドレーヌは記事の内容や書き方をアドバイスし、広い人脈、政治的裏情報を与えました。
デュロワは新聞社で地位を固めていきます。
しかし、この関係は長くは続かず…

そして自分を気に入っているらしい新聞社の経営者の妻ヴァルテール夫人。
信心深く夫に忠実な夫人をどうしても手に入れたくて、デュロワはいつになく苦労します。
そのかいがあって、夫人のみならず夫のヴァルテール氏の信頼まで得られたようです。
でもねぇ、夫人が真剣になりすぎて…デュロワは困り果てます。

しまった! 夫人よりヴァルテールには娘がいたじゃんか!! ということで
マドレーヌと手際よく別れたデュロワは次女シュザンヌにプロポーズします。
でもヴァルテールと夫人が許してくれるわけありませんね。
そこでデュロワはある作戦を実行して、まんまとヴァルテールの許可を得てしまいました。
夫人は断固反対するんだけど聞き入れられませんでした。

同じ男を愛してしまった母と娘でしょお… デュロワには本命が他にいるでしょお…
今後のこの一家が気にかかるわ〜
デュロワの成功で終わっちゃって消化不良です。

デュロワは容姿だけで成り上がったわけではなさそうです。
文才も、大胆なところも勇気もありそうだし、世間の風も読めるみたいです。
ただ物語の中では “ 女を落とす!!” にフォーカスが当たっているもんでさ。

男だって女だって美貌を武器にできる人は存分に使っていただいて結構ですけど
いつか通用しなくなる時がくればいいのにぃ… なんて思うのは
武器にできないもののひがみです
美貌も才能もあれば言うことないですね… それはそれでひがむけど…

ひとことK-POPコーナー
テソンの『I LOVE YOU』を聴きました。
私は今までこの名曲と言われる歌を全篇通して聴いたことが無かったのですがいい歌なのね… 泣けてきた

パソコンがぁぁぁ...

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パソコンが
ぶっこわれました~

今携帯からうってます。
めんどくさーい。

ある日突然液晶がモザイクみたいになっちゃって何にもできません~
修理してくれるところがあるらしいので探して持って行こうと思ってますが
東京ドームだ、横浜アリーナだ、お台場だ、ソウルだと
はしゃいでいるうちに一ヶ月近くたってしまいました(>_

パソコン復活!!

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パソコンが復活しましたぁぁ〜

よかったぁぁ
一時はどうなることかと思いましたが、本当にラッキーでした。

旦那さんのお仕事関係の方にエージェントグループ株式会社という会社を
紹介していただいたのですが、本当に親切で
こちらが何を望んでいるかを聞いて直して下さいました。
部品というか修理内容についてラッキーな状況だったこともあり
思っていたより安く直りました。

しばらく使っていなかったのでネットのサーバを再登録とか
PhotoshopとかIllustratorの再認証をとらなきゃいけないとかで
面倒くさいことが残っていますが、それ以外はハードもソフトもデータももとのまま!!
嬉しいよぉ

だけどPC自体は古いので次回はうろたえないようバックアップとっておかねば!!
毎回不具合がおこる度に反省するんだけど、つい忘れてしまうんですよね… これが

そんなわけで、小さい画面(私のスマホはXPERIA rayなのね〜)で見るのがしんどくて
ブログをチェックしていない間にコメントを下さった
とものり様、ぷりめら様、千菊丸様、お返事もせずすみませんでした。
パソコンのことも心配していただき、ありがとうございました。

またブログをボチボチ…ノロノロと再開しようと思います。
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