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Channel: まりっぺのお気楽読書
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『短篇小説日和 英国異色傑作選』まだまだ知らない作家は多い

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2013年

表紙からして異色感ただよう一冊ですね。
編者がこだわって選んだと思われる20篇がおさめられています。

20篇の作家20人の中で私が名前を知っていた作家は7人だけです。
まだまだ未知の作家は多いですね! 読書のペースをあげなければ…
とはいえ、私はかなり好き嫌いが多い読者で
いろんな作家を読みたいなんて口ばっかりなんだけどね。

気になったお話しをいくつかあげてみます。

『八人の見えない日本人(The Invisible Japanese Gentlemen)
                 /1967年 グレアム・グリーン』
レストランで、おとなしい日本人の団体客越しに二人の若い男女の会話が聞こえてきます。
女性は、自分の作家としての将来が約束されたからと男性に結婚を急かしています。
男性は弱々しく反論し、答えをはぐらかしています。

男性の心変わり? 二人の愛の結末は? っていう男女間のトラブルのお話しではなく
グリーンが作家ならではのアドバイスを込めた一話に思えます。
日本人の団体は完全に背景なので気にしないでよし … 絶妙の背景だとは思いますけど。

『羊飼いとその恋人(A Shepherd and a Shepherdess)
                 /1937年 エリザベス・グージ』
大家族のために尽くしてきた55歳の独身女性エイダは、今は時間も収入も自由になる身。
しかし旅行に出てもすぐに退屈になり、ホテルのお客たちに世話を焼く始末です。
ロンドンで土産の羊飼いとその恋人に置物を買ったエイダは
コッツウォルズに向かう列車から見た風景に心惹かれ何も考えず飛び降ります。

どっかで似たような話が… と思って記憶からしぼり出してみました。
アガサ・クリスティの『富豪婦人の事件』とか
スーザン・ヒルの『歌って踊って』あたりが似ているような…
話しのテーマは違いますけど、結局主人公の女性が働き者なのね。

『小さな吹雪の国の冒険(The Adventure of the Snowing Globe)
                 /1906年 F・アンスティー』
小さな名付け子のためにクリスマスプレゼントを買おうと入った店で
スノードームに見入っていると、いつのまにか雪国にいました。
途方に暮れて中世の城のような屋敷の門を叩くと迎え入れられ
若い王女から助けを求められました。

面白いのは、中世のお伽噺的・Disney映画的な相談をもちかける王女と
現代の法律で解決しようとする男性の噛み合ない会話ですね。
竜が現れるに至って男性はやっと法律じゃどうにもならないことを悟るんだけどね。

国やテーマ別に編集された短篇集は、編者の好みが垣間見えて面白いですね。
それにしてもたくさんの作家の膨大な数の物語を読まれているのだな… と尊敬します。

長い長〜い解説を読んでいないので、異色というのがどこを指してるのかちょいと不明…
私が知っていた7人の作家に限って言えば、特に他の作品と違う作風だという気もせず
英国っぽくないかと言えばそういうわけでもない…

テーマとかシチュエーションが日常的でないということなのかしら?
家庭の些細な問題とか世間の世知辛い出来事を扱った物語は無いに等しいので
ちょっと共感しづらいところはありましたが
『美女と野獣』大人版みたいな気分で読むとよいかと思います。

ひとことK-POPコーナー
3月のテソンのDLiveがあまりにもよかったもので、明日の追加公演にも行っちゃうことに
今回は武道館でなくて横浜アリーナです。 すごく楽しみ!

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