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Channel: まりっぺのお気楽読書
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『生きている過去』“ 延命させてる過去 ” って感じ

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LE PASSE VIVANT 
1905年 アンリ・ド・レニエ

正直に言ってしまうと、つまらなかったの…

メロドラマの王道みたいな話しで、面白いと言えば面白いのかもしれないが
私はちょっと共感できませんでした。

さくさくっと書いてみますね。
3組の男女の愛を中心に展開していると言えばいいのかしら?

ジャン・ド・フラノワという青年がいます。
伯爵の息子で、何をするでもなく倦怠と虚無の中に毎日を送ってるって感じ。

シャルル・ロオヴローという青年は王制を懐かしむジャコバイトの息子。
骨董品好きで女好き、恋愛に真剣になることはありませんでした。
そんなシャルルが数日間一緒に過ごして別れた後忘れられなくなったのが
女優志望のジャニーヌです。

パリ在住のイタリア貴族チェスキーニ伯爵はカサノヴァの生き方を讃美していますが
25年間人妻であるド・ロオモン夫人一人に愛を捧げ続けています。

ジャンの父親ド・フラノワ伯は、美しい地所であるヴェルナンセの館と庭園を
維持することに必死ですが、もはやその財力はありません。
そこで未亡人で遺産を持っている妹フェリシーを呼び寄せ支配していました。

フェリシーの息子、つまりジャンの従兄モーリスは精力的に仕事をする金融家で
成功をおさめつつあり、落ちぶれた貴族の美しい娘アントワネット・ド・サフリーを
妻に迎えることにしました。

で、ジャニーヌを忘れられないシャルルはジャンを連れてイタリアに旅に出るのですが
そこでジャンは自分と同じ名前の人物の墓を見つけるんですね。
どうやらイタリアで戦死した親戚のようです。
ヴェルナンセに帰ってからもジャンの頭からはそのことが離れません。

そこへモーリスが療養のために滞在するためアントワネットを連れて到着。
徐々に親しくなっていくジャンとアントワネット…
そこへシャルルがとんでもないものを持ち込みます。

シャルルが手に入れた古い文机から見つかった手紙なんですが
なんと! アントワネットの祖母で、同名のアントワネットが
ジャンがイタリアで見た同名のジャン・ド・フラノワに宛てたラブレターでした。

もぉー! メロドラマでしょお
運命の二人、どんな障害も乗り越えていただきたい!!

アントワネットもやはり「運命のお導き!」と浮き足立つわけなんですが
ジャンの思いはちょっと違ったようで、物語は意外な方へ…
意外というのは、あくまでも私の感想なんですけどね。

でも、ジャンは生きる術を知らない貴族の息子なんですよ。
額に汗したこともないばかりか、その日何をしたらよいかもわからない人なのね。
王制は甦らず、貴族の名で食べていけるなんて日々は過去になりつつあります。
この先のことを考えると妥当なラストだったのかもしれません。
アントワネットには可哀想な気もしますが…

フランスってまだ貴族はいるの?
フランスで王政復古を望む声ってあまり聞こえない気がするんですけど
爵位を持ってることに意味はあるのだろうか?

この物語が書かれたのは王制が倒れて約60年後、帝政が終わってから35年後だから
まだまだ王制・帝政復古の望みを持っていた貴族がたくさんいたのでしょうね?
作者のレニエについては何も知りませんが、やはり王制を懐かしむ人だったのかしら?

ゾラなどは1880年代にはもうほとんど王制のことなんか書いてないような気がしますが
この物語内ではまだまだ貴族が主役をはってるっていうのがね…
なんだか「昔は良かった」感が滲み出てて哀愁がハンパじゃない気がしております。

ひとことK-POPコーナー
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