DROWN
1996年 ジュノ・ディアズ
最近、移民の作家が書いた短篇集をけっこう読んでいまして
どれもそれなりに異国で暮らすことの苦悩や故国に抱く複雑な想いを
ほんの少し、それこそ雀の涙ぐらいは理解できた気でたのですが
この一冊はちょっと苦手…
たしかにつらかったろう… 言葉には言い尽くせない苦労があったでしょう。
それを筆にぶつけて見事に書き上げた才能もすごいと思います。
でも私の頭の中には荒々しさしか残っていないんですよね。
ちゃんとした人が読めば、文章に込められた悲しさが読み取れるのかもしれません。
しかしながら、私は共感して読む前に心が折れてしまいました。
自叙伝的小説だそうで、一人称で書かれている主人公ユニオールが作者自身と思われます。
アメリカに渡るにあたっては父親の奔放ぶりが原因だったようで
そこには同情の余地があるかも… と思っております。
『フィエスタ、1980(Fiesta,1980)』
子供の頃、車に乗せられてパピーのプエルトリコ女の家に連れて行かれた。
兄のラファと一緒の時もあって、何回かはテーブルを一緒に囲んだりした。
ある日、マミーと二人きりの時、マミーは撲を追いつめた。
前半はアメリカに渡って来た親戚の家で開かれたパーティーのことが書かれていますが
なんか教育上よろしくない一家だなぁ… なんて思っていたら後半を読んでどうかと思ったさ!
人柄・下半身ともども荒々しい父親とは対照的に描かれている母親が
せめてもの救いって感じの話でした。
『待ちくたびれて(Aguantando)』
暮らしはそれはそれは貧しくて、マミーは12時間シフトで働いていた。
4歳の時にアメリカに渡っていたパピーのことは、9歳までいないものと思っていた。
パピーからは何度も迎えに行くという手紙が届き、マミーは馬鹿みたいに信じていた。
結局父親は迎えに来たのですが「良かったね!」と言える話なのかどうかわかりません。
貧しい兄弟は、国では制服が買えず汚れていてもからかわれることはなかったそうです。
アメリカの都会っ子が二人をどう受け入れたのかはわかりませんが
後半の荒れっぷりを読むと、故郷と同じではなかったのではないでしょうか?
『ビジネス(Negocios)』
父は浮気が母にばれた後、女とは別れたが一人でアメリカへ発った。
まずはマイアミへ、そしてニューヨークへ。
そこでアメリカの女と結婚し、撲にそっくりな子供もいた。
その後何年もしてからアメリカ妻ニルダに会ったが、父は何年も前に出て行っていた。
最後に収められていたお話しです。
父がニルダの家を出た足で自分たちを迎えに来たと信じたい…というように
締めくくられているのですが、この父親ならどうだかわかんないよね。
でもニルダに会いに行った青年は礼儀正しく接してまして
更正してくれて良かったよ〜、と少しハッピーな気持で読み終えることができました。
年代は前後していますが、収められている順になっています。
全編に漂ういや〜な感じは、乱暴な言葉遣いや下ネタだけが原因じゃないと思うのよね…
結局私が好きなラインの作家じゃないってことですね。
私なんかに読まれた上に、好きじゃないなんて書かれちゃう作家もいい迷惑!
子供時代の話しは、庇護を必要とする子供には残酷すぎるような気がするし
青年時代の荒れっぷりも「移民だから」ってことと関係あるのかどうかしらないけど
読まされてもさぁ… とにかく読んだ私が悪うございました。
1996年 ジュノ・ディアズ
最近、移民の作家が書いた短篇集をけっこう読んでいまして
どれもそれなりに異国で暮らすことの苦悩や故国に抱く複雑な想いを
ほんの少し、それこそ雀の涙ぐらいは理解できた気でたのですが
この一冊はちょっと苦手…
たしかにつらかったろう… 言葉には言い尽くせない苦労があったでしょう。
それを筆にぶつけて見事に書き上げた才能もすごいと思います。
でも私の頭の中には荒々しさしか残っていないんですよね。
ちゃんとした人が読めば、文章に込められた悲しさが読み取れるのかもしれません。
しかしながら、私は共感して読む前に心が折れてしまいました。
自叙伝的小説だそうで、一人称で書かれている主人公ユニオールが作者自身と思われます。
アメリカに渡るにあたっては父親の奔放ぶりが原因だったようで
そこには同情の余地があるかも… と思っております。
『フィエスタ、1980(Fiesta,1980)』
子供の頃、車に乗せられてパピーのプエルトリコ女の家に連れて行かれた。
兄のラファと一緒の時もあって、何回かはテーブルを一緒に囲んだりした。
ある日、マミーと二人きりの時、マミーは撲を追いつめた。
前半はアメリカに渡って来た親戚の家で開かれたパーティーのことが書かれていますが
なんか教育上よろしくない一家だなぁ… なんて思っていたら後半を読んでどうかと思ったさ!
人柄・下半身ともども荒々しい父親とは対照的に描かれている母親が
せめてもの救いって感じの話でした。
『待ちくたびれて(Aguantando)』
暮らしはそれはそれは貧しくて、マミーは12時間シフトで働いていた。
4歳の時にアメリカに渡っていたパピーのことは、9歳までいないものと思っていた。
パピーからは何度も迎えに行くという手紙が届き、マミーは馬鹿みたいに信じていた。
結局父親は迎えに来たのですが「良かったね!」と言える話なのかどうかわかりません。
貧しい兄弟は、国では制服が買えず汚れていてもからかわれることはなかったそうです。
アメリカの都会っ子が二人をどう受け入れたのかはわかりませんが
後半の荒れっぷりを読むと、故郷と同じではなかったのではないでしょうか?
『ビジネス(Negocios)』
父は浮気が母にばれた後、女とは別れたが一人でアメリカへ発った。
まずはマイアミへ、そしてニューヨークへ。
そこでアメリカの女と結婚し、撲にそっくりな子供もいた。
その後何年もしてからアメリカ妻ニルダに会ったが、父は何年も前に出て行っていた。
最後に収められていたお話しです。
父がニルダの家を出た足で自分たちを迎えに来たと信じたい…というように
締めくくられているのですが、この父親ならどうだかわかんないよね。
でもニルダに会いに行った青年は礼儀正しく接してまして
更正してくれて良かったよ〜、と少しハッピーな気持で読み終えることができました。
年代は前後していますが、収められている順になっています。
全編に漂ういや〜な感じは、乱暴な言葉遣いや下ネタだけが原因じゃないと思うのよね…
結局私が好きなラインの作家じゃないってことですね。
私なんかに読まれた上に、好きじゃないなんて書かれちゃう作家もいい迷惑!
子供時代の話しは、庇護を必要とする子供には残酷すぎるような気がするし
青年時代の荒れっぷりも「移民だから」ってことと関係あるのかどうかしらないけど
読まされてもさぁ… とにかく読んだ私が悪うございました。