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Channel: まりっぺのお気楽読書
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『ピアノ・レッスン』少女時代を見ているようで

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PIANO LESSON 
1968年 アリス・マンロー

これまで何冊かマンローの短篇集を読みましたが、この一冊が一番
作者の思い出を反映しているような気がしました。
もちろん創作であることはわかっているんだけど
あちらこちらに作者の経験が盛り込まれてるみたいな気分で・・・なんだか
マンローの日記を読んでいるような気分でした。

本当に15編すべて、抜かりないというか見事なできで一気読みしましたけど
なんと!処女短篇集なんですって!!
デビュー早々すごい円熟ぶりです。

何を紹介すればよいやら・・・ とにかく好きだったものを書いてみます。

『輝く家々(The Shining Homes)』
メアリはミセス・フラートンの家に卵の代金を払いに行き、その後
デビーの誕生会に出席するため新しい住宅地にあるイーディスの家に向かった。
イーディスの家では、皆がミセス・フラートンを立ち退かせようと話していた。

一生懸命働いてやっと手に入れた新居がある新興住宅地の一郭に 
小汚くて荒れ放題の家があったらいやよねぇ・・・と思うキラキラの住宅の
住人たちの話です、傲慢ですね。
でも、どれだけ汚いのかによるけど・・・ 気持ちはわかる。

『仕事場(The Office)』
ある日仕事場が必要だと決心して、ショッピングセンターの2階にある部屋を見つけた。
引っ越した日に、家主のミスター・マリーは「部屋が殺風景すぎる」と言い
週末には植物を持ってやって来た。

最初はちょっと笑える話かと思っていたのですが、だんだん恐ろしくなります。
実話かな? だとしたらマンローはすごく不快で怖い思いをしたんだろうなぁ・・・
もう、自分がやられてるような臨場感でした。

『ユトレヒト講和条約(The Peace of Utrecht)』
実家に帰って3週間、マディーとわたしはうまくいっているとは言えない。
町の人たちはわたしに母の葬儀の様子を話してくれる。
わたしはマディーに、葬式には帰ってこないように言われていた。

お母様の件に関しては(病名はともかく)難しい病気で亡くなったそうで
この物語に反映されているのではないかと思われます。
看取った人が最大限に尊重されるべきだという考えには同感です。

本当はもう一つ『死んだとき(The Time of Death)』という
ありそうだけどなかなか人には言いにくいという話があって
ものすごく印象に残っているんだけど、うまく感想を書く自信がないです。
誤解を招きそうだし・・・なんて考えると書けないですね。
結局わたしは偽善者なんだなぁ・・・

少女が主人公のお話が多く、もちろん、ハッピーで明るい内容ではないのですが
いつもよりみずみずしい感じがしました。
欧米の小学校やハイスクールが舞台になっているドラマが脳裏に浮かび
場面が想像しやすかったです。

50年を経て出版された処女短篇集が、後年の作品にまったく見劣りしない
また、別の表情を見せてくれるというのは、まったく嬉しい驚きです。

日記のようでぐんぐんひきこまれる一冊
読んでみたいな!という方は下の画像をクリックしてね


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