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Channel: まりっぺのお気楽読書
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フランス王ルイ12世王女 レネー

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義理の母がチョー有名!
ルイ12世王女 レネー・ド・フランス
フェラーラ公エルコレ2世妃

1510〜1574

イタリア支配を夢見ていたシャルル8世は若くして亡くなりました。
王妃アンヌ・ド・ブルターニュは7回妊娠しましたが、皆死産や流産
あるいは幼くして亡くなりました。
王女は3人ですが、お名前がついたのは末子のアンヌだけです。

アンヌ・ド・ブルターニュが再婚したのがルイ12世です。

ルイ12世は、ルイ11世王女ジャンヌと結婚していましたが、無理くり離婚して再婚しました。
ジャンヌとの間にお子様はいません。

アンヌ・ド・ブルターニュはまたまた9回妊娠しましたが、成長したのは王女二人でした。
長女クロードはフランソワ1世妃になります。

アンヌ・ド・ブルターニュは自分の領地であるブルターニュの自治を守るため
日々戦っていまして、ブルターニュをレネーに譲ろうと考えていましたが
ルイ12世が承諾しませんでした。
結局ブルターニュはクロードに譲られ、その後フランス王家に持ってかれます。
       
当時フランス宮廷の侍女の中にはアン・ブリーンがいまして
レネーは彼女がお気に入りだったようです。

18歳の時エステ家のフェラーラ公エルコレ2世と結婚しました。
エルコレ2世の母は “ あの ” ルクレツィア・ボルジアでございます。
レネーが嫁いだ時には既に亡くなってますので直接は会ってませんけど。

フェラーラの宮殿はルクレツィアによって芸術が盛んになたていました。
レネーはさらに芸術を奨励し、科学に力を注いだりしました。
最初はそんな宮廷生活を楽しみ、5人のお子様に恵まれたりと幸せだったみたいですが
後年はそんなにハッピーではなかった様子…

なぜかっていうと…
ルクレツィア・ボルジアの父はローマ教皇アレクサンデル6世で
いわばエルコレ2世はカトリックの長の孫にあたるわけなんですが
レネーは後にカルヴァン派(プロテスタント)の支持者になって後押ししたからです。

ローマ教皇庁が新教の貴族たちをフランスから追い出しにかかった時に
ジャン・カルヴァンがレネーの宮廷を訪れて数週間過ごしました。

レネーは多数のプロテスタント信者たちと連絡を取り合ったり
プロテスタントの正餐を受けたりとプロテスタントに傾倒していきました。

しかしローマでは反宗教改革が始まり、フェラーラで審問が始まりました。
エルコレ2世はレネーの甥アンリ2世に告訴し、レネーの財産を全て剥奪して捕らえました。
レネーはこの仕打ちに屈し、懺悔を行ってカトリックの聖体拝領を受けました。
しかし今までのように好き勝手なことは当然できませんね。

息子たち、特に末子で司教のルイージとは当然意見が合いません。
レネーはフランスに帰ることを熱望しましたが実現せず
1559年にエルコレ2世が亡くなってからやっと帰ることができました。

フランスでは長女のギーズ公妃アンヌのもとに身を寄せましたが
ギーズ公はカトリック派の筆頭貴族です。
ここでも小さくなっていなければね…

ギーズ公の甥にあたるフランソワ2世が亡くなってギーズ公のパワーが少し衰えると
やっと領地の中でプロテスタントの礼拝を受けることができるようになりました。
良かったね
そればかりかカルヴァン派の牧師まで呼ぶことができるようになり
レネーの城はプロテスタント貴族の避難所みたいになっていきました。

けれども安泰な時期は10年ほどでした。
1572年、サン・バルテルミーの虐殺がおこります。
レネーはかろうじて何人かのプロテスタント信者を救うことができましたが
大多数の信者を守れませんでした。

さすがにカトリーヌ・ド・メディシスも王女であるレネーには手を出さなかったようですが
その後もカトリックへの改宗をしつこく迫りました。
レネーは無視してたみたいですけどね。

サン・バルテルミから2年後、娘アンヌの領地モンタルジで亡くなりました。

エルコレ2世は教皇パウルス3世に忠誠を宣誓しています。
パウルス3世はカトリックとプロテスタントの対話を計った教皇だったようです。
そんな人に忠誠を誓った人がなぜ自分の妻にそんなことを?
ちなみにパウルス3世の後任ユリウス3世もプロテスタント理解者だったらしい…

二つの宗教(派?)のどちらかが主張を和らげていたら
たくさんの人の人生が変わっていた時代のような気がしますよ。

世界の転機みたいな方面から見ればレネーはもっと知られていても良い気がするが
“ 女の歴史 ” の中では、美貌の持ち主でスキャンダルいっぱいのルクレツィアの方が
どうしても目立っちゃいますよね。

(参考文献 澁澤龍彦氏『世界悪女物語』 Wikipedia英語版)

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