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Channel: まりっぺのお気楽読書
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『花・死人に口なし』愛が極まると・・・

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BLUMEN / DIE TOTEN SCHWEIGEN 
アナトール・シュニッツラー

聞いたことない作家でしたが、というかオーストリアの作家の小説を
読んだことが無い気がするので手に取ってみました。

読みつけていないせいか、好きなタイプなんだか嫌いなタイプなんだか
決めかねている一冊です。

9篇収められていますが、悲しい愛の結末を迎える話が多かったですかね。
いくつかロマンスとファンタジーを併せ持つ物語がありました。
それが見事に融合しているかどうかは、はっきり言ってわからない…

好きだった話は、ちょっと皮肉っぽい愛の終わりを書いた
『わかれ』『死人に口なし』『情婦殺し』あたりなんですが
今回はロマンス&ファンタジー色が強い(と思う)3篇をご紹介します。

『花(Blimen)/1894年』
裏切っておきながら毎月花を送ってきていた女性が亡くなったと
女性の伯父から聞かされました。
しかし、花が届けられる日がやってくると、何ごともなかったように花が届きました。
日々が過ぎ、花は枯れ始めましたが、捨てることができずにいます。

男性は枯れていく花に裏切った女性を投影させていたんでしょうかね?
この男性には新しい恋人がいまして、その女性も何かを感じ始めるんです。
そして男性の心を取り戻すために(だと思うんですけど)思い切った行動に出ます。
上手くいくと良いですね。

『アンドレーアス・タマイアーの最後の手紙
     (Andreas Thameyers Letzter Brief)/1900年』
アンドレーアス・タマイアーは死に臨む前に妻の不実の疑いを晴らす手紙を書きます。
彼の妻は肌の色が違う子供を生みました。
しかし彼は誓って妻が浮気をしたのではないと釈明します。

妻を思う夫の愛の深さが涙を誘うお話しですが、その釈明のしかたがね、
文献から、一見科学的に思えるけど非現実的な検証を引用したもので興醒め…
やけに反論するとよけい詮索されるような気がするんですけどね。
往々にして疑われた時には反論しても誰も耳を貸してくれないものなのよね。

『レデゴンダの日記(Das Tagebuch der Redegond)/1909年』
公園のベンチで話しかけてきた紳士が語った不思議な話です。
彼は小さな町で駐屯中に大尉の妻レデゴンダをひと目見て恋に落ちました。
彼の愛は空想の中で膨らむだけで、実際は何ごともありませんでした。
しかし、レデゴンダが亡くなった後、彼は大尉から猛烈に責められます。

妄想を日記に書き付ける…というのはありがちなことですよね?
誰かに見られたらものすごく恥ずかしいと思うので、厳重に管理しなきゃいかんけど…
妄想があまりにもリアルだったりすると痛い目に遭う人もいるので気をつけましょう。
物語の男性は、違った意味でその日記の内容に驚愕するんですけどね… 不思議ですよ。

けっこう屈折した愛情をを抱えているような主人公だらけの一冊でちょいと疲れました。
訳者のせいかどうなのか… なんか固いんですよね。
見方によってはとてもロマンチックな話しだと思うのですけど。

愛が深いばかりに有りもしない幻想を見てしまうとか
愛の力であり得ないことがおこるとか、そんな風にも見てとれます。

同じ話しをタルンタルンの甘いラブロマンスに展開させてみるのも面白いかもしれません。

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