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Channel: まりっぺのお気楽読書
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ノルウェー王エイリーク1世妃 グンヒルド

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在位は短いけどエピソード満載の王妃
エイリーク1世妃 グンヒルド・ゴームズダター

910~980/在位 931~934

他の王妃たちのエピソードがほとんどないこの時代にあって
肖像画(というか挿し絵)と(主に良くない)エピソードがもりもりあるグンヒルドは
両親についてもいろいろな議論があるそうです。
一応、デンマーク王ゴームとチューラの王女ということになっていますが
Halogalandの族長Ozur Toriの娘という説もあったり
二人の魔法使いと暮らし、魔術を学んでいたという噂もありました。

エイリークとグンヒルドが出会ったのは、ゴーム王の祝宴でした。
二人の結婚は、デンマークとノルウェーの同盟と統合まで視野に入れたものでした。
ということは、やっぱりゴーム王の王女なのかしらね?
         
エイリークとグンヒルドとの結婚後、ハーラル1世の死に先立って、エイリークの異母兄妹で
人気者だったハルフダンが急死しました。
不審な亡くなり方だったようで、人々はグンヒルドが毒を盛ったと噂しました。

ハーラル1世が亡くなると、とりあえずエイリークが即位します。
しかしエイリークは専制的な君主だったようで、他の兄弟たちとの争いは激化します。
グンヒルドはエイリークを煽って、たて続けに4人の兄弟を殺害させました。
エイリークにとってグンヒルドはベスト・パートナーかも…と思えますね。

しかし、そんなエイリークの統治に貴族たちが反発し、即位からわずか3年後
異母弟のホーコンを王だと宣言して、エイリークを追放しました。

エイリークご一行は、父王ハーラル1世が支配したオークニー諸島に落ち着くと
オークニー王になり、さらには、ノルウェーが支配していたイングランド北部を訪れて
ヨーヴィック王を名乗ったりしてました。
どんなに小さい国でもいいから “ 王 ” と呼ばれたかったのかしらね?

グンヒルドは、エギルという詩人との軋轢が有名で詩にも書かれているらしいのですが割愛。
簡単に書くと、仲違いしたエギル兄妹を殺そうとしたら、逆に兄たちが殺されちゃって
つかまえた後、エイリークが釈放しようとすると「処刑して~!」と騒いだらしい。

954年、エイリークが亡くなると、グンヒルドは子供たちを連れてデンマークへ避難します。
デンマークの王はハーラル青歯王で、もし、グンヒルドがゴーム老王の王女だとしたら
お兄さんか弟にあたりますね。

グンヒルドの王子たちは、ハーラル青歯王に、まるで自分の子供たちのように
可愛がられたそうです。
ハーラル王青歯王は、グンヒルドの王子をノルウェー王に据えようと考えます。

ホーコン対ハーラル(グンヒルドの王子)の争いは、本当はノルウェーの勝利でした。
でも、ホーコンがFitjarの戦いで戦死したことで、ホーコンを倒したハーラルの勢力が
ノルウェー内で拡大し、ハーラルが王に就くことになりました。

ノルウェーに凱旋した時のグンヒルドのドヤ顔! すごかったでしょうね。

ハーラルをはじめ、グンヒルドの王子たちは、これまで国内を治めてきていた族長や領主を
殺害したり退けたりして自分たちの権力を増大しようとします。
でもハーラルを操っていたのは実はグンヒルドでした。

グンヒルドは、息子ハーラルの治世中ノルウェーを訪れていた
アイスランドの族長Hrut herjolfssonの愛人になります。
彼女はHrutに夢中で、あまりにもおおっぴらだったので、二人はてっきり結婚したものだと
思われていたそうですが、Hrutは国に妻がおりました。
結局Hrutはアイスランドに帰ってしまったようですが、グンヒルドが渡した土産は
すごかったらしく、妻にバレちゃいまして、Hrutの結婚生活は破綻しました。

971年、息子ハーラル2世が亡くなりました。
グンヒルドの王子たちと、族長ホーコン・シグルッソンの間に継承戦争がおこりました。
ホーコンが勝利し、グンヒルドは再びオークニーへ向かい、その後デンマークに戻りました。

しかし、前回はあたたかく迎えてくれたハーラル青歯王は、今回は様子が違ったみたい…
グンヒルドはハーラル青歯王の命令で沼で溺死させられてしまいました。
ハーラル青歯王は、兄妹愛ではなくて息子を利用するために優しくしてくれていたのかしら?
(実話かどうかは不明なんだけどね…)
              
                 年老いた流浪のグンヒルド
                   上の絵が迫力満点なだけに、哀れですね

叙情詩となって語りつがれる悪女とは… スケールでかいですね。
中世にはよくあることですが、王家が変わった時に悪者にされちゃったのかもしれません。

(参考文献 武田龍夫氏『物語北欧の歴史』 Wikipedia英語版)

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