THE LOVE OF A GOOD WOMAN
1998年 アリス・マンロー
前々から、アリス・マンローが書く小説は、普通の人たちが登場して
日常的なエピソードを描いていながら、なんだかスリリングだったり
鳥肌たつ感があるなぁ…と思っていましたが、この一冊でその感が深まりました。
別にホラー映画的に恐ろしい情景を描いているわけではなく
むしろ淡々と文章を綴っているのに、読み進むにつれてドキドキしていきます。
この作品集は短篇集となっていますが、そのうち二篇は四部構成になっていますし
それ以外の物語もけっこう長めで各々読み応えがありました。
だから、好きな何編かを選び出してあらすじを書くというのがかなり難しいので
何に、というか誰にどうドキドキさせられたか…というのを書きますね。
とりあえず表題から
『善き女の愛(The Love of a Good Woman)』
在宅看護婦のイーニドが看護している、かつての同級生ルパートの妻で
27歳の若さで徐々に死に近づきつつあるミセス・クイン。
彼女は死の直前に、ルパートの恐ろしい行動を話しだす。
最初は、病人とはいえ軌道を逸しているミセス・クインの言動にゾッとさせられたのですが
徐々に自らを危険に追いやるようなイーニドの考えの方が恐ろしく思えてきました。
いったい何がそうさせるのかと思ってね… 他の恨みをそこで晴らしてるみたいな…
あとは印象に残った話しをいくつか…
『コルテス島(Cortes Island)』
20歳の花嫁だったわたしは、夫のチェスとバンクーバーの地下室に住んでいた。
ある日、上の階に住む、部屋の持ち主の母親ミセス・ゴーリーから
病気のせいで体が動かないミスター・ゴーリーの世話をたのまれた。
誰が怖いって、主人公の部屋の階上に住むミセス・ゴーリーでしょ!!
ただのおせっかいやきかと思いきや、悪魔ですよ、こんな人が近所にいたら。
と、思いながら読んでおりましたら、ミスター・ゴーリーのいきなりの告白めいた行動に
ビックリしたね…ものすごく変な余韻が残る物語でした。
『腐るほど金持ち(Rich as Stink)』
カリンが父親の家から一年ぶりに母ローズマリーの家を訪ねると
ローズマリーはすでにデリクと別れていた。
カリンがデリクの妻アンを訪ねると、やはりデリクはアンのもとへ戻っていた。
父親と新しい母のもとで暮らしながら、母親とその愛人、そしてその妻の
微妙かつ奇妙な関係を、ものすごく冷静に受け止めてる10歳の娘ってどうよ?
けれどもやはり最後には受け止められなくなったのか、ひどい意地悪を思いつきます。
そしてそれが恐ろしい結末に… 大人が悪い! 大人が!!
『母の夢(My Mother's Dream)』
わたしが生まれる前に父ジョージが戦死し、音楽学校の学生だった母ジルは
ジョージの母と未婚の姉二人が暮らす家に連れて行かれ、身をよせることになった。
わたしは生まれ出るとジルを拒み、家の中で立場が弱かった伯母イオナだけになついた。
ある日、祖母と二人の伯母は、ジルとわたしだけを残して一泊の予定で出かけて行った。
さらっと書きましたが、父親の実家にはそれなりの事情が潜んでいて
中でもイオナが一家の一番の不安材料かと思われます。
そんな伯母にしか気を許すまいとした新生児 “ わたし ” の気骨に驚くね!
赤ちゃんがみんなこんなふうに何かを意識して行動しているんだとしたら恐ろしいわ。
こんなあらすじの書きっぷりからはけっっっして読み取れないでしょうが
一話一話、どこにでもいそうな人が、「無い!」とは言えなそうなことを繰り広げてるのに
なぜかゾッとする一瞬が潜んでいます。
読みながらじわじわと背中を這い上がる怯えみたいなものを感じていました。
それで、どうしてそんなふうに感じたのかとつらつら自己分析をしてみました。
どうやら「え! あの人が?」っていう人たちのエピソードだったからというのが
大きな要因のような気がします。 何言ってるのかよくわかんないですよね?
自分でも書いててよくわかんない…
そうですねぇ…
よく事件とかで犯人が捕まった後に、テレビで近所の人とか知り合いに話しを聞くでしょ?
そこで「やると思ってましたよ」なんて言われるタイプではなくて
「まさかあの方がねぇぇ」って言われるタイプの人たちがいるでしょ?
そういう人々に潜む暗部、犯罪だけにあてはまることではなくいろいろとね… そんなものを
あからさまにではなくて、遠回しに、じわじわと浮き彫りにしていってるみたいなところが
うすら寒かった原因なんじゃないかと… 例を挙げてもよくわかんないですね… すみません。
だからといって、ミステリーとかホラーのカテゴリーには入らない独特さ
まさにマンロー・ワールド! が堪能できた一冊でした。
ひとことK-POPコーナー
SHINeeの新曲『Your Number』のMVはとてもステキだけど、SMTOWN@coexartiumの宣伝よね? って
お友達と盛り上がりましたけど…そうよね?
1998年 アリス・マンロー
前々から、アリス・マンローが書く小説は、普通の人たちが登場して
日常的なエピソードを描いていながら、なんだかスリリングだったり
鳥肌たつ感があるなぁ…と思っていましたが、この一冊でその感が深まりました。
別にホラー映画的に恐ろしい情景を描いているわけではなく
むしろ淡々と文章を綴っているのに、読み進むにつれてドキドキしていきます。
この作品集は短篇集となっていますが、そのうち二篇は四部構成になっていますし
それ以外の物語もけっこう長めで各々読み応えがありました。
だから、好きな何編かを選び出してあらすじを書くというのがかなり難しいので
何に、というか誰にどうドキドキさせられたか…というのを書きますね。
とりあえず表題から
『善き女の愛(The Love of a Good Woman)』
在宅看護婦のイーニドが看護している、かつての同級生ルパートの妻で
27歳の若さで徐々に死に近づきつつあるミセス・クイン。
彼女は死の直前に、ルパートの恐ろしい行動を話しだす。
最初は、病人とはいえ軌道を逸しているミセス・クインの言動にゾッとさせられたのですが
徐々に自らを危険に追いやるようなイーニドの考えの方が恐ろしく思えてきました。
いったい何がそうさせるのかと思ってね… 他の恨みをそこで晴らしてるみたいな…
あとは印象に残った話しをいくつか…
『コルテス島(Cortes Island)』
20歳の花嫁だったわたしは、夫のチェスとバンクーバーの地下室に住んでいた。
ある日、上の階に住む、部屋の持ち主の母親ミセス・ゴーリーから
病気のせいで体が動かないミスター・ゴーリーの世話をたのまれた。
誰が怖いって、主人公の部屋の階上に住むミセス・ゴーリーでしょ!!
ただのおせっかいやきかと思いきや、悪魔ですよ、こんな人が近所にいたら。
と、思いながら読んでおりましたら、ミスター・ゴーリーのいきなりの告白めいた行動に
ビックリしたね…ものすごく変な余韻が残る物語でした。
『腐るほど金持ち(Rich as Stink)』
カリンが父親の家から一年ぶりに母ローズマリーの家を訪ねると
ローズマリーはすでにデリクと別れていた。
カリンがデリクの妻アンを訪ねると、やはりデリクはアンのもとへ戻っていた。
父親と新しい母のもとで暮らしながら、母親とその愛人、そしてその妻の
微妙かつ奇妙な関係を、ものすごく冷静に受け止めてる10歳の娘ってどうよ?
けれどもやはり最後には受け止められなくなったのか、ひどい意地悪を思いつきます。
そしてそれが恐ろしい結末に… 大人が悪い! 大人が!!
『母の夢(My Mother's Dream)』
わたしが生まれる前に父ジョージが戦死し、音楽学校の学生だった母ジルは
ジョージの母と未婚の姉二人が暮らす家に連れて行かれ、身をよせることになった。
わたしは生まれ出るとジルを拒み、家の中で立場が弱かった伯母イオナだけになついた。
ある日、祖母と二人の伯母は、ジルとわたしだけを残して一泊の予定で出かけて行った。
さらっと書きましたが、父親の実家にはそれなりの事情が潜んでいて
中でもイオナが一家の一番の不安材料かと思われます。
そんな伯母にしか気を許すまいとした新生児 “ わたし ” の気骨に驚くね!
赤ちゃんがみんなこんなふうに何かを意識して行動しているんだとしたら恐ろしいわ。
こんなあらすじの書きっぷりからはけっっっして読み取れないでしょうが
一話一話、どこにでもいそうな人が、「無い!」とは言えなそうなことを繰り広げてるのに
なぜかゾッとする一瞬が潜んでいます。
読みながらじわじわと背中を這い上がる怯えみたいなものを感じていました。
それで、どうしてそんなふうに感じたのかとつらつら自己分析をしてみました。
どうやら「え! あの人が?」っていう人たちのエピソードだったからというのが
大きな要因のような気がします。 何言ってるのかよくわかんないですよね?
自分でも書いててよくわかんない…
そうですねぇ…
よく事件とかで犯人が捕まった後に、テレビで近所の人とか知り合いに話しを聞くでしょ?
そこで「やると思ってましたよ」なんて言われるタイプではなくて
「まさかあの方がねぇぇ」って言われるタイプの人たちがいるでしょ?
そういう人々に潜む暗部、犯罪だけにあてはまることではなくいろいろとね… そんなものを
あからさまにではなくて、遠回しに、じわじわと浮き彫りにしていってるみたいなところが
うすら寒かった原因なんじゃないかと… 例を挙げてもよくわかんないですね… すみません。
だからといって、ミステリーとかホラーのカテゴリーには入らない独特さ
まさにマンロー・ワールド! が堪能できた一冊でした。
ひとことK-POPコーナー
SHINeeの新曲『Your Number』のMVはとてもステキだけど、SMTOWN@coexartiumの宣伝よね? って
お友達と盛り上がりましたけど…そうよね?