SKISSER FRAN UTLANDET
トーベ・ヤンソン
1月にまたもや職場異動がありました。
前回は紀伊国屋書店でしたが、今回はそばに有隣堂があります。
しかし、有隣堂は海外文学が少なく、岩波文庫も少なく
新潮クレストコーナーも無い…ということで、あまりのぞいてないのですが
こないだ初めて一冊購入。
『トーベ・ヤンソン短篇集』、『黒と白』に続くトーベ・ヤンソンの短篇集です。
表紙もちょっぴりコミカルですが、内容も前に読んだ二冊よりぐっと明るい雰囲気でした。
前読の二冊は1970年~80年代、ヤンソンが50代後半~60代にかけて書いているものを
まとめたものでしたが、『旅のスケッチ』は1930年代、ヤンソンが若い頃に書かれたものが
8篇がおさめられています。
舞台はパリ、ドレスデン、セルムランド、ヘルシンキ、ヴェローナ、カプリで
ヤンソンが留学したり、旅行をした時の印象や経験が描かれているのだと思います。
いくつかご紹介しますね。
『鬚(Skagget)/1938年』
舞台はパリ、春のある日、パリを訪れた18歳のクリスティナは、セーヌ川岸で
カンバスに向かっているひとりの青年画家に目を留めます。
彼は鬚を生やしていて、クリスティナは、前々から鬚を生やした男性に憧れていました。
クリスティナの恋が始まり、一週間後、彼のアトリエを訪ねることになりました。
急に熱が冷めた女性と、その女性を責めたあげく別れを切り出す男性の話しなんですけど
最後が平和ですごくおかしいの。
お互いのことを知らずに一気に燃え上がった恋って、やはり持続するのは難しいのかしらね?
ヤンソンも行く先々でこんな想いを味わったのでしょうか?
『手紙(Brevet)/1936年』
昼間は寝ていて夜起き出すという暮らしをしているフォーベル氏は、ある夜駅に向かい
無力感に襲われて、架空の姪の所在をたずねます。
するとロッテという女性が到着して旅行者救護施設の寮にいると聞かされました。
数日後、彼女のことが気になっていたフォーベル氏は寮を訪ねます。
ヤンソンが22歳ぐらいの時の作品ですが、お若いのにもう老境の人の哀しみを描いてます。
若いロッテはそんなことはおかまいなしに天真爛漫にふるまってます。
こういうの、普通は年配の男性作家が書きそうな内容なんだけどね… とにかく驚いた。
『サン・ゼーノ・マッジョーッレ、ひとつ星
(San Zeno Maggiore,1Stajarna)/1940年』
暑さで死んだような午後のヴェローナで、女性が壁に向かって空壜を投げているのを見て
こらえきれず笑い出してしまいました。
彼女に謝罪し少し話しをすると、彼女は教会を案内すると言って私を連れ回しました。
ヨランダと名乗るその女性は、その後自分の家に来て泊まれとしつこく誘ってきました。
どうなるの? どうなるの? と何度も思わされました。
夜の街にくり出すところなんか、作中の “ わたし ” ならずともドキドキよ~
いったいヨランダの正体はなんなのよ? って感じで。
でも本当は、かなり悲哀に充ち満ちた作品じゃないかと思うんですけどね。
やはり若い頃の作品だけあって、男女の恋模様なんかがちょこちょこ描かれたいたり
ちょっとおどけた感じのユーモアも盛り込まれています。
少し読み手を意識しすぎてるような気がしないでもありませんが、やはりトーベ・ヤンソン!
後年の悲哀たっぷりぶりを彷彿とさせる内容や展開がすでに垣間見えています。
各物語にヤンソンの挿絵が入っています。
まさかのキス・シーンや、お茶目な絵もあって楽しめます。
けれども、ドイツの影、戦争の影がしのび寄っていたこの時代
画家を目指していたヤンソンは、暗めの色彩で描いた絵も多かったらしく
それが後のムーミンのグレーっぽい絵面に影響したのかしら?
また、フィンランドはナチスドイツの影響下に入っていった時代でもあったらしく
書きたいことが書けず、それならば、と、以前訪れた旅先のエピソードを
少し愉快に描いてみせたのかもしれません。
そんなことを考えると、少し若さが感じられて、いつにないユーモアがあるこの短篇集も
なんだか意味深げに思えてきたりして…
ただ私は、後年の作風の方が好きでしたが…
ひとことK-POPコーナー
わりとギリギリで行けることになった22日の代々木!公式ペンラがGetできなそうよ! ってことで、作ったよ、ウチワ…
お友達の分もあわせて5個… ウヒョン、ホヤ、ごめんね。 久しぶりに徹夜しちゃったよ
メンバーカラー合ってる?
トーベ・ヤンソン
1月にまたもや職場異動がありました。
前回は紀伊国屋書店でしたが、今回はそばに有隣堂があります。
しかし、有隣堂は海外文学が少なく、岩波文庫も少なく
新潮クレストコーナーも無い…ということで、あまりのぞいてないのですが
こないだ初めて一冊購入。
『トーベ・ヤンソン短篇集』、『黒と白』に続くトーベ・ヤンソンの短篇集です。
表紙もちょっぴりコミカルですが、内容も前に読んだ二冊よりぐっと明るい雰囲気でした。
前読の二冊は1970年~80年代、ヤンソンが50代後半~60代にかけて書いているものを
まとめたものでしたが、『旅のスケッチ』は1930年代、ヤンソンが若い頃に書かれたものが
8篇がおさめられています。
舞台はパリ、ドレスデン、セルムランド、ヘルシンキ、ヴェローナ、カプリで
ヤンソンが留学したり、旅行をした時の印象や経験が描かれているのだと思います。
いくつかご紹介しますね。
『鬚(Skagget)/1938年』
舞台はパリ、春のある日、パリを訪れた18歳のクリスティナは、セーヌ川岸で
カンバスに向かっているひとりの青年画家に目を留めます。
彼は鬚を生やしていて、クリスティナは、前々から鬚を生やした男性に憧れていました。
クリスティナの恋が始まり、一週間後、彼のアトリエを訪ねることになりました。
急に熱が冷めた女性と、その女性を責めたあげく別れを切り出す男性の話しなんですけど
最後が平和ですごくおかしいの。
お互いのことを知らずに一気に燃え上がった恋って、やはり持続するのは難しいのかしらね?
ヤンソンも行く先々でこんな想いを味わったのでしょうか?
『手紙(Brevet)/1936年』
昼間は寝ていて夜起き出すという暮らしをしているフォーベル氏は、ある夜駅に向かい
無力感に襲われて、架空の姪の所在をたずねます。
するとロッテという女性が到着して旅行者救護施設の寮にいると聞かされました。
数日後、彼女のことが気になっていたフォーベル氏は寮を訪ねます。
ヤンソンが22歳ぐらいの時の作品ですが、お若いのにもう老境の人の哀しみを描いてます。
若いロッテはそんなことはおかまいなしに天真爛漫にふるまってます。
こういうの、普通は年配の男性作家が書きそうな内容なんだけどね… とにかく驚いた。
『サン・ゼーノ・マッジョーッレ、ひとつ星
(San Zeno Maggiore,1Stajarna)/1940年』
暑さで死んだような午後のヴェローナで、女性が壁に向かって空壜を投げているのを見て
こらえきれず笑い出してしまいました。
彼女に謝罪し少し話しをすると、彼女は教会を案内すると言って私を連れ回しました。
ヨランダと名乗るその女性は、その後自分の家に来て泊まれとしつこく誘ってきました。
どうなるの? どうなるの? と何度も思わされました。
夜の街にくり出すところなんか、作中の “ わたし ” ならずともドキドキよ~
いったいヨランダの正体はなんなのよ? って感じで。
でも本当は、かなり悲哀に充ち満ちた作品じゃないかと思うんですけどね。
やはり若い頃の作品だけあって、男女の恋模様なんかがちょこちょこ描かれたいたり
ちょっとおどけた感じのユーモアも盛り込まれています。
少し読み手を意識しすぎてるような気がしないでもありませんが、やはりトーベ・ヤンソン!
後年の悲哀たっぷりぶりを彷彿とさせる内容や展開がすでに垣間見えています。
各物語にヤンソンの挿絵が入っています。
まさかのキス・シーンや、お茶目な絵もあって楽しめます。
けれども、ドイツの影、戦争の影がしのび寄っていたこの時代
画家を目指していたヤンソンは、暗めの色彩で描いた絵も多かったらしく
それが後のムーミンのグレーっぽい絵面に影響したのかしら?
また、フィンランドはナチスドイツの影響下に入っていった時代でもあったらしく
書きたいことが書けず、それならば、と、以前訪れた旅先のエピソードを
少し愉快に描いてみせたのかもしれません。
そんなことを考えると、少し若さが感じられて、いつにないユーモアがあるこの短篇集も
なんだか意味深げに思えてきたりして…
ただ私は、後年の作風の方が好きでしたが…
ひとことK-POPコーナー
わりとギリギリで行けることになった22日の代々木!公式ペンラがGetできなそうよ! ってことで、作ったよ、ウチワ…
お友達の分もあわせて5個… ウヒョン、ホヤ、ごめんね。 久しぶりに徹夜しちゃったよ
メンバーカラー合ってる?