TOO MUCH HAPPINESS
2009年 アリス・マンロー
『イラクサ』と『林檎の樹の下で』に続くアリス・マンローの短篇集です。
前の2冊同様、なんとなく作者の過去とリンクしているような気がしないでもないですが
わざわざ『小説のように』と題しているだけあって、少し物語性が強い気はします。
あえていうなら陰鬱感とミステリアス感が微増してました。
まぁどっちでもいいですけどね… 読んでて楽しかったんですもの。
10篇の中から印象的だったお話しをあげてみます。
『小説のように(Fiction)』
ジョイスは、夫のジョンを大工見習いに来ていた子持ちのエディーにとられました。
数十年後、ジョイスと夫マットのホームパーティーに作家デビューしたという女性が来ます。
何気なく彼女の本を買ったジョイスは、彼女がエディーの娘だということに気づきました。
本題とあんまり関係ないけど、ジョイスもジョンもエディーもマットも
結婚・離婚の紆余曲折がすごくてビックリするわ。
とにかく、ジョンと別れた時のショックから立ち直れたジョイスに拍手。
できたら忘れた過去とは対面したくはないですね。
『遊離基(Free Radicals)』
夫のリッチが亡くなりニータ独りになった家に、ヒューズ点検の男がやってきます。
しかし家に入れると男が豹変し、朝食やワインを出せと言います。
食べ終わってお茶を飲むと、男は自分が犯して来た殺人の話を始めました。
そこでニータも自分の話を披露することにします。
何気なくドアを開けたことから味わう恐怖…怖いですね。
ニータの話は機転なんだろうか? それとも封印された事実なんだろうか?
読後ヒヤッとする話です。
なんとなく『リスタデール卿の謎』の中の『ナイチンゲール荘』を思い出してしまいました。
『女たち(Some Womans)』
13歳の夏休みに末期の患者の世話をする仕事をしました。
患者の妻の留守中、患者の母親のマッサージ師である女性が仲間入りするようになりました。
妻が仕事を辞める日、患者からあることを言いつけられ部屋の鍵を渡されました。
細かいことは書かないでおきますけど “ あること ” っていうのがね…
13歳の女の子には酷だと思ったしだいです。
きっと戸惑うでしょうし、逆に察しがいいのも困ったものですし…
大人の事情に子供を巻き込むなって言いたいわ。
小説ですから当然のことなんですけど、この短篇集の登場人物たちも
それぞれに事を起こしたり何ごとかに巻き込まれたりしています。
ただ、これといった動機や目的のようなものがはっきりしないまま物語が進んで
そのまま終了します。
でも日常で起きることなんて、けっこうそんなものよね?
他人はおろか、「なぜこんなことをしてしまったんでしょう?」と
自分でも訳がわからないまま行動してしまう時があります。
上手く言えないけど「私はどうして?」と思いつつ衝動に駆られる…みたいなところを
女性特有の洞察力と冷徹さで、絶妙に書き表しているような感じの一冊でした。
アリス・マンローは “ チェーホフの後継者 ” と言われているらしいです。
私には、ふたりの作品のどこらへんに共通点があるのか見出せていません。
もっと物語の本質的な部分が読めるようにならねば… なんちゃって
実はどうでもいいんですけどね 二人とも好きな作家でございますんで…
2009年 アリス・マンロー
『イラクサ』と『林檎の樹の下で』に続くアリス・マンローの短篇集です。
前の2冊同様、なんとなく作者の過去とリンクしているような気がしないでもないですが
わざわざ『小説のように』と題しているだけあって、少し物語性が強い気はします。
あえていうなら陰鬱感とミステリアス感が微増してました。
まぁどっちでもいいですけどね… 読んでて楽しかったんですもの。
10篇の中から印象的だったお話しをあげてみます。
『小説のように(Fiction)』
ジョイスは、夫のジョンを大工見習いに来ていた子持ちのエディーにとられました。
数十年後、ジョイスと夫マットのホームパーティーに作家デビューしたという女性が来ます。
何気なく彼女の本を買ったジョイスは、彼女がエディーの娘だということに気づきました。
本題とあんまり関係ないけど、ジョイスもジョンもエディーもマットも
結婚・離婚の紆余曲折がすごくてビックリするわ。
とにかく、ジョンと別れた時のショックから立ち直れたジョイスに拍手。
できたら忘れた過去とは対面したくはないですね。
『遊離基(Free Radicals)』
夫のリッチが亡くなりニータ独りになった家に、ヒューズ点検の男がやってきます。
しかし家に入れると男が豹変し、朝食やワインを出せと言います。
食べ終わってお茶を飲むと、男は自分が犯して来た殺人の話を始めました。
そこでニータも自分の話を披露することにします。
何気なくドアを開けたことから味わう恐怖…怖いですね。
ニータの話は機転なんだろうか? それとも封印された事実なんだろうか?
読後ヒヤッとする話です。
なんとなく『リスタデール卿の謎』の中の『ナイチンゲール荘』を思い出してしまいました。
『女たち(Some Womans)』
13歳の夏休みに末期の患者の世話をする仕事をしました。
患者の妻の留守中、患者の母親のマッサージ師である女性が仲間入りするようになりました。
妻が仕事を辞める日、患者からあることを言いつけられ部屋の鍵を渡されました。
細かいことは書かないでおきますけど “ あること ” っていうのがね…
13歳の女の子には酷だと思ったしだいです。
きっと戸惑うでしょうし、逆に察しがいいのも困ったものですし…
大人の事情に子供を巻き込むなって言いたいわ。
小説ですから当然のことなんですけど、この短篇集の登場人物たちも
それぞれに事を起こしたり何ごとかに巻き込まれたりしています。
ただ、これといった動機や目的のようなものがはっきりしないまま物語が進んで
そのまま終了します。
でも日常で起きることなんて、けっこうそんなものよね?
他人はおろか、「なぜこんなことをしてしまったんでしょう?」と
自分でも訳がわからないまま行動してしまう時があります。
上手く言えないけど「私はどうして?」と思いつつ衝動に駆られる…みたいなところを
女性特有の洞察力と冷徹さで、絶妙に書き表しているような感じの一冊でした。
アリス・マンローは “ チェーホフの後継者 ” と言われているらしいです。
私には、ふたりの作品のどこらへんに共通点があるのか見出せていません。
もっと物語の本質的な部分が読めるようにならねば… なんちゃって
実はどうでもいいんですけどね 二人とも好きな作家でございますんで…