MEMORY WALL
2010年 アンソニー・ドーア
この本は… 難しい…
文章やトーンも好きです、テーマも嫌いじゃない、だけど好きじゃない。
表題の『メモリー・ウォール』の他に5篇おさめられている短篇集ですが
舞台も主人公のキャラクターもテーマもバラバラで、その多様さに戸惑っているのかな?
好きも嫌いもなかったので、全篇、さくっと紹介します。
一番長い物語『メモリー・ウォール(Memory Wall)』は、南アメリカが舞台です。
近未来小説なのかな?
痴呆症とかアルツハイマーで思い出を無くしていく人たちの記憶を記録しておき
完全に記憶を無くした時に脳にはめ込んでいる再生装置で見る、というシステムがあって
74歳のアルマという女性がそのシステムを使用しています。
物語は彼女が持っている1枚のメモリーカードをめぐって展開するのですが
登場人物すべてのキャラクターが丁寧に書かれているので、話しが右往左往します。
最後にすべてがまとまり、物語としてはきれいに完結するのですが
話しのいったりきたりに慣れないと「あれ? いつの話し?」ということになります。
『生殖せよ、発生せよ(Procreate,Generate)』は、ハーブとイモジーンという夫婦が
不妊を克服しようという物語です。
ところどころにハーブとイモジーンの過去のエピソードがちりばめられます。
『非武装地帯(The Demilitarized Zone)』は、韓国と北朝鮮の境界にいる息子から
父親に届いた手紙からはじまり、鳥のこと、アルツハイマーの祖父のこと
家族をおいて出て行った母親のことが書かれています。
『一一三号村(Village113)』は中国が舞台です。
ある村がダムの建設地になり立退きを言い渡されます。
立ち退かないひとりの女性のもとに、4年ぶりに息子の李慶(リーチン)が訪ねて来ます。
彼は役人で、村人を立ち退かせるために来たのでした。
二人に、強硬な反対派柯(クー)先生が絡むことで親子の関係性が微動します。
『ネムナス川(The River Nemunas)』は、リトアニアが舞台です。
両親を相次いで癌で亡くした15歳の少女アリソンが、祖父のジーおじいちゃんを頼って
アメリカからやってきます。
母の昔の写真、生きていた頃の父親の宗教観などが書かれていますが
隣のサボさんのお婆さんから聞かされた以前川に住んでいたというチョウザメの話しが
メインストリームだと思われます。
『来世(Afterworld)』は、二つの土地と時代をいったりきたりします。
81歳のエスター・グラムが暮らすオハイオの家と
11歳のエスターが暮らすハンブルクの孤児院。
ハンブルクは、死を前にしたエスターの回想ですが、回想シーンであるという明確な言及や
舞台変換のようなスイッチが無く、唐突に現在のエスターに場面が切り替わります。
リズムをつかむのが難しい話しでした。
全体的に暗く堅苦しくて、とてもじゃないがアメリカの作家が書いたとは思えなかったよ。
これは偏見ですね。
“ 思い出 ” がキーワードになっている一冊らしく、どの話しもいったりきたりがあって
話しの流れをつかむのにちょっと苦労しました。
もちろん多くの小説には回想シーンなどが含まれているわけで、思い出が描かれるのは
なんら不思議なことではないのですが、根が単純な私は「実は昔」とか
「あれはたしか…」みたいな前置きがないと、すんなり場面の入れ替えができないさ。
最近こういう、時代や場面が突然いったりきたり、なんでそこに行くの? 戻るの?的な
展開をする話しが多い気がする。
回想シーンにいったら、回想前のシーンに戻って来てくれないとぉ…
私のような単純な読者には生きづらい世の中になりましたのぉ… ゴホゴホ
ひとことどうでもいい話コーナー
通勤で使っている、三田線だか南北線だか有楽町線だか忘れちゃったけど、中吊りのチバ マリン・マラソンが
チバ マリリン・マンソンに見えてビックリした~! っていう、どうでもいいお話しでした
2010年 アンソニー・ドーア
この本は… 難しい…
文章やトーンも好きです、テーマも嫌いじゃない、だけど好きじゃない。
表題の『メモリー・ウォール』の他に5篇おさめられている短篇集ですが
舞台も主人公のキャラクターもテーマもバラバラで、その多様さに戸惑っているのかな?
好きも嫌いもなかったので、全篇、さくっと紹介します。
一番長い物語『メモリー・ウォール(Memory Wall)』は、南アメリカが舞台です。
近未来小説なのかな?
痴呆症とかアルツハイマーで思い出を無くしていく人たちの記憶を記録しておき
完全に記憶を無くした時に脳にはめ込んでいる再生装置で見る、というシステムがあって
74歳のアルマという女性がそのシステムを使用しています。
物語は彼女が持っている1枚のメモリーカードをめぐって展開するのですが
登場人物すべてのキャラクターが丁寧に書かれているので、話しが右往左往します。
最後にすべてがまとまり、物語としてはきれいに完結するのですが
話しのいったりきたりに慣れないと「あれ? いつの話し?」ということになります。
『生殖せよ、発生せよ(Procreate,Generate)』は、ハーブとイモジーンという夫婦が
不妊を克服しようという物語です。
ところどころにハーブとイモジーンの過去のエピソードがちりばめられます。
『非武装地帯(The Demilitarized Zone)』は、韓国と北朝鮮の境界にいる息子から
父親に届いた手紙からはじまり、鳥のこと、アルツハイマーの祖父のこと
家族をおいて出て行った母親のことが書かれています。
『一一三号村(Village113)』は中国が舞台です。
ある村がダムの建設地になり立退きを言い渡されます。
立ち退かないひとりの女性のもとに、4年ぶりに息子の李慶(リーチン)が訪ねて来ます。
彼は役人で、村人を立ち退かせるために来たのでした。
二人に、強硬な反対派柯(クー)先生が絡むことで親子の関係性が微動します。
『ネムナス川(The River Nemunas)』は、リトアニアが舞台です。
両親を相次いで癌で亡くした15歳の少女アリソンが、祖父のジーおじいちゃんを頼って
アメリカからやってきます。
母の昔の写真、生きていた頃の父親の宗教観などが書かれていますが
隣のサボさんのお婆さんから聞かされた以前川に住んでいたというチョウザメの話しが
メインストリームだと思われます。
『来世(Afterworld)』は、二つの土地と時代をいったりきたりします。
81歳のエスター・グラムが暮らすオハイオの家と
11歳のエスターが暮らすハンブルクの孤児院。
ハンブルクは、死を前にしたエスターの回想ですが、回想シーンであるという明確な言及や
舞台変換のようなスイッチが無く、唐突に現在のエスターに場面が切り替わります。
リズムをつかむのが難しい話しでした。
全体的に暗く堅苦しくて、とてもじゃないがアメリカの作家が書いたとは思えなかったよ。
これは偏見ですね。
“ 思い出 ” がキーワードになっている一冊らしく、どの話しもいったりきたりがあって
話しの流れをつかむのにちょっと苦労しました。
もちろん多くの小説には回想シーンなどが含まれているわけで、思い出が描かれるのは
なんら不思議なことではないのですが、根が単純な私は「実は昔」とか
「あれはたしか…」みたいな前置きがないと、すんなり場面の入れ替えができないさ。
最近こういう、時代や場面が突然いったりきたり、なんでそこに行くの? 戻るの?的な
展開をする話しが多い気がする。
回想シーンにいったら、回想前のシーンに戻って来てくれないとぉ…
私のような単純な読者には生きづらい世の中になりましたのぉ… ゴホゴホ
ひとことどうでもいい話コーナー
通勤で使っている、三田線だか南北線だか有楽町線だか忘れちゃったけど、中吊りのチバ マリン・マラソンが
チバ マリリン・マンソンに見えてビックリした~! っていう、どうでもいいお話しでした