LA JOIE DE VIVRE
1884年 エミール・ゾラ
ゾラが描くルーゴン・マッカール叢書の登場人物の壮絶な人生は
ハラハラさせられ、心苦しくなりながらも嫌いになれないのですが
この物語のポリーヌの生き様はどうも納得いかないですねぇ。
(とはいえ、まだ読んでない物語も多いのですけどね… )
物語をかいつまんでご紹介しますと…
主人公ポリーヌは『パリの胃袋』でフロランがお世話になった
弟クニュと妻リザの娘です。
『パリの胃袋』では勝利を得たクニュ夫妻は、ほどなくして亡くなってしまったようで
ポリーヌは10歳でこの世に遺されてしまいました。
そこで北フランスの海沿いの村に住む父のいとこシャントーに引き取られます。
シャントーは商売から引退し、痛風に苦しみながら毎日を送っています。
シャントー夫人は目減りする年金を嘆き、息子ラザールに期待をかけています。
ラザールはというと、好人物なんだけど夢見がちで飽きっぽい青年でした。
お互いに本当の兄妹のような愛情を抱いていたポリーヌとラザールでしたが
何年も一緒にいるうちに、ポリーヌにはだんだん別の感情が芽生えます。
ラザールは音楽家になると言ったり、医者を目指したりするんですが結局ものにならず
知人と事業を興そうと考えます。
そこで初めてポリーヌの遺産に手が付けられます。
その後はなし崩し… シャントー夫人は家計のたしに、ラザールは事業の追加資金に…
どんどん膨らむ借金にシャントー夫人はラザールとポリーヌを結婚させようと考えます。
でも、自分たちがどんどん借りるわけだからポリーヌの遺産は減るじゃない?
そこへ登場するのが銀行家の娘ルイズで、彼女の持参金はすごいもんだと聞かされます。
シャントー夫人には別の野望が浮かび、ポリーヌを恨むようになります。
結局すったもんだの末セザールはルイズと結婚します。
それも、もう遺産でセザールを助けられなくなったからというポリーヌの説得で…
長年シャントーのかかりつけで、幼い頃からポリーヌを知っている医者カズノーヴは
言われるままに遺産を出し、学校にも行けず女中や看護婦のように働かされた挙げ句
他の女性にセザールを譲ったポリーヌが不憫で、何度か出て行くチャンスを与えました。
あぁ それなのに〜、その度に事件が起こってしまって…
とにかく、ポリーヌの10歳からの人生は、まるで人のための人生のようです。
痛風がひどくなるとあたるくせに、出て行かないでくれと泣くシャントーでしょ
家事をさせといて文句たらたらで、最後は毒を入れたなんて疑うシャントー夫人でしょ
まったく生活力が無いくせに夢ばかりみてポリーヌを巻き込むセザールでしょ
家事一切ができず、ポリーヌに任せきりのルイズでしょ… 書いててうんざりしちゃう。
そればかりか、貧しい村の若者たちまで働かずにポリーヌがくれる施しに頼り切ってます。
ラストでは、代々シャントー一家に尽くしていくんじゃなかろうか? とも思えて
カズノーヴならずとも止めたくなるところ… 自分の人生を生きて欲しい。
憐れみと慈愛の心のみで人と接すること、優しさと愛情だけを美徳として生きることが
果たして正解なのかちょっとわからなくなってきます。
シャントー一家も村の若者たちも、つい楽な方を選んじゃった… ていう気がします。
世の中自分に厳しい人ばかりじゃないものね。
ゾラは見事に我が身を顧みない女性を描き切ったわけですけれども、共感はできない…
私の辞書には “ 献身 ” とか “ 身を捧げる ” っていう言葉が無いのでね
ちなみに、ポリーヌは『ナナ』の同い年の従姉妹だそうです。
たぶん会ったことはないんじゃないかと思うけど
血が繋がっていながら、こうも両極端の女性がいるとはね。
あ! 物語だったんだ
1884年 エミール・ゾラ
ゾラが描くルーゴン・マッカール叢書の登場人物の壮絶な人生は
ハラハラさせられ、心苦しくなりながらも嫌いになれないのですが
この物語のポリーヌの生き様はどうも納得いかないですねぇ。
(とはいえ、まだ読んでない物語も多いのですけどね… )
物語をかいつまんでご紹介しますと…
主人公ポリーヌは『パリの胃袋』でフロランがお世話になった
弟クニュと妻リザの娘です。
『パリの胃袋』では勝利を得たクニュ夫妻は、ほどなくして亡くなってしまったようで
ポリーヌは10歳でこの世に遺されてしまいました。
そこで北フランスの海沿いの村に住む父のいとこシャントーに引き取られます。
シャントーは商売から引退し、痛風に苦しみながら毎日を送っています。
シャントー夫人は目減りする年金を嘆き、息子ラザールに期待をかけています。
ラザールはというと、好人物なんだけど夢見がちで飽きっぽい青年でした。
お互いに本当の兄妹のような愛情を抱いていたポリーヌとラザールでしたが
何年も一緒にいるうちに、ポリーヌにはだんだん別の感情が芽生えます。
ラザールは音楽家になると言ったり、医者を目指したりするんですが結局ものにならず
知人と事業を興そうと考えます。
そこで初めてポリーヌの遺産に手が付けられます。
その後はなし崩し… シャントー夫人は家計のたしに、ラザールは事業の追加資金に…
どんどん膨らむ借金にシャントー夫人はラザールとポリーヌを結婚させようと考えます。
でも、自分たちがどんどん借りるわけだからポリーヌの遺産は減るじゃない?
そこへ登場するのが銀行家の娘ルイズで、彼女の持参金はすごいもんだと聞かされます。
シャントー夫人には別の野望が浮かび、ポリーヌを恨むようになります。
結局すったもんだの末セザールはルイズと結婚します。
それも、もう遺産でセザールを助けられなくなったからというポリーヌの説得で…
長年シャントーのかかりつけで、幼い頃からポリーヌを知っている医者カズノーヴは
言われるままに遺産を出し、学校にも行けず女中や看護婦のように働かされた挙げ句
他の女性にセザールを譲ったポリーヌが不憫で、何度か出て行くチャンスを与えました。
あぁ それなのに〜、その度に事件が起こってしまって…
とにかく、ポリーヌの10歳からの人生は、まるで人のための人生のようです。
痛風がひどくなるとあたるくせに、出て行かないでくれと泣くシャントーでしょ
家事をさせといて文句たらたらで、最後は毒を入れたなんて疑うシャントー夫人でしょ
まったく生活力が無いくせに夢ばかりみてポリーヌを巻き込むセザールでしょ
家事一切ができず、ポリーヌに任せきりのルイズでしょ… 書いててうんざりしちゃう。
そればかりか、貧しい村の若者たちまで働かずにポリーヌがくれる施しに頼り切ってます。
ラストでは、代々シャントー一家に尽くしていくんじゃなかろうか? とも思えて
カズノーヴならずとも止めたくなるところ… 自分の人生を生きて欲しい。
憐れみと慈愛の心のみで人と接すること、優しさと愛情だけを美徳として生きることが
果たして正解なのかちょっとわからなくなってきます。
シャントー一家も村の若者たちも、つい楽な方を選んじゃった… ていう気がします。
世の中自分に厳しい人ばかりじゃないものね。
ゾラは見事に我が身を顧みない女性を描き切ったわけですけれども、共感はできない…
私の辞書には “ 献身 ” とか “ 身を捧げる ” っていう言葉が無いのでね
ちなみに、ポリーヌは『ナナ』の同い年の従姉妹だそうです。
たぶん会ったことはないんじゃないかと思うけど
血が繋がっていながら、こうも両極端の女性がいるとはね。
あ! 物語だったんだ