Quantcast
Channel: まりっぺのお気楽読書
Viewing all articles
Browse latest Browse all 350

『零落者の群』貧しき者たちの英雄

$
0
0

1897年 マクシム・ゴーリキー

この物語は、じつは『ゴーリキー短篇集』の中におさめられている一編なのですが
かなり長いお話で、印象深かったので、一編として紹介しようと思います。

舞台はウェズジャヤ街という、山の手の下にある貧民街で
そんな中でも、特に落ちぶれた感が強い、木賃宿の住人が主人公です。

クヴァルダという、退役騎兵大尉が主人を務める木賃宿があります。

木賃宿というのは、どうやら宿泊費が日払いのようで、一晩寝泊まりするだけの人もいれば
住みついちゃってるような人もいますが、描かれているのは、主に後者の方です。

クヴァルダ以外は、もと教師で現在記者をやっているインテリのチトーフ
もと林務官の60歳の老人シムツォフ、もと監守のマルチャノフ
もと機械工ソーンツォフ、おとなしいキセリニコフ、もと百姓の老人チャパー
破門されたもと補司祭タラス、といった人々が登場します。

クヴァルダとチトーフ以外は、ほとんどが行商人かくず屋で日銭を稼いでいます。
行商するといっても、がらくたみたいなものとか、商店でも買えるものばっかり…
だから、彼らはギリギリの稼ぎしかないし、這い上がれる見込みもありません。

で、あらすじはおいといて、彼らがどうしてこんな身分でいるのかっていうことなんだけど
酒で身を持ち崩した人はさておき、あとは、病人・老人・学問が授けられなかった若者
前科者・出稼ぎに出て来たけど仕事が見つからない… などで
結局、そういう人間は落ちぶれるしかないのだ、という、当時の階級意識と無保証ぶりが
垣間見える内容になっております。

それでも前半は、彼らの哀しくもいきいきした生活ぶりが描かれているような気がします。
もしかしたらチトーフはここから抜け出せるかもしれない…
チャパーは本当に金持ちで、皆を救えるのかもしれない… なんて
夢みがちな考えが浮かんだりもしました。

なんだけど、木賃宿の持ち主の商人ペトゥンニコフが、その辺り一帯を工場にしようと考え
木賃宿を取り壊そうと目論んだところから、物語はガラガラと破滅に向かっていきます。

貧乏人たちの溜まり場の酒場の無学な主人ヴァヴィロフは、せっかくクヴァルダとチトーフが
知恵を授けてやっても、ペトゥンニコフ親子にさっさと丸め込まれてしまいます。

でも、勝負は最初からわかってんのよね。
持てる者と公権が、貧乏人に負けるわけないもの。
それに、貧民街があるよりは、工場がいくつか建つ方が、求人も増えて生産的だしね。

ゴーリキーは、凛とした貧乏人を描きたかったのかしら?
貴族や兵隊たちの中にではなく、貧しい人々の中に英雄を作りたかったのかもしれません。
何も持たなくても臆することなく、負けると知っていても立ち向かい
全てを失っても嘆くことをしないクヴァルダたちを見て、そんな風に思えましたが…

ひとことK-POPコーナー
f(x)ソルリ、2NE1のMINZYの脱退、KARA、4Minuteの解散と、女性グループにもいろいろ動きがあって
一抹の寂しさを感じておりましたが、Secretのソナもですかぁ…
Secretはららぽーとでイベントも見たりしたんだけどな… これからの活動も頑張ってほしいですね

Viewing all articles
Browse latest Browse all 350

Trending Articles