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Channel: まりっぺのお気楽読書
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『愛の深まり』家族の絆の幻想とほつれ

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THE PROGRESS OF LOVE 
1982年 アリス・マンロー

実は他の作家の本を買おうと思って、パラパラと後ろの方をめくっていたら
彩流社から出ている他の出版物の紹介ページがあって、そこで見つけました。
即ネットで購入しまして、届いた日から読み始めました。

やっぱり面白い!!

アリス・マンローの小説を読んでいると、当たり前のことなんですけど
父にも母にも、祖父にも祖母にも若い頃があったんだよなぁ…と思わされます。

日本人だと特にそうかもしれませんが、お父さんやお母さん、ましてや
じーじやばーばに、ロマンスとか男女のすったもんだがあったなんて思えないですよね。

この短篇集でも、マンローが描くのは家族のちょっとしたエピソード。
そして自分の過去やエピソードに、両親を祖父母を含む家族の過去やエピソードを絡め
少し肌寒くて緊張感がある、なんともいえないマンロー・ワールドを繰り広げています。

短篇集とはいえ、一話一話にぎっしりみっちりエピソードがつまっていて
時代・場面もくるくる変わり、家族みんなが主人公状態なので、あらすじは書けません。
なので、特に好きだったお話しのサワリだけ書きますね。
物語はそこからどんどん広がって、様々な時代や場所を彷徨うことができます。

『コケ』
デイヴィッドは、21年間の結婚生活の後、離婚して8年になる前妻ステラの父親の
誕生日を祝うため、例年通りステラが暮らすヒューロン湖のコテージを訪れた。
彼は恋人のキャサリンを連れて来ていたが、ステラと二人きりになると
今夢中になっている別の女のポラロイドをステラに見せつける。

『モンタナ州、マイルズ・シティ』
夫アンドリューが初めて新車を購入し、6歳と3歳の娘を連れて、バンクーバーから
お互いの故郷オンタリオを訪ねることにする。
5日間かけて、アメリカを通って帰る行程の3日目、あまりの暑さにマイルズ・シティで
無理を言って閉まっているプールで娘たちを遊ばせてもらうことにする。

『発作』
60歳代の隣人ウィープル夫妻が心中した。
見つけたのは頼まれた玉子を隣に届けに行った、ロバートの妻ペグだった。
二人を見つけたペグは、警察に行った後、ロバートが所有するアーケードに出勤した。
ロバートにも電話せず、同僚にも心中のことは言わなかった。

どこがどう特に好きなのか、自分でも説明がつかないのですが
『コケ』と『発作』は、ステラ、ペグという女性のパーソナリティーが好きみたい。
『モンタナ州~』は、いろいろあっても、この一冊の中で、この家族が一番幸せで
これからも幸せに暮らしていけそうな気がしたから… 先のことはわかりませんけどね…

以前どこかで書いたかもしれないのですが、世の中にはもめ事が多々ありますが
家族内のもめ事にくらべたら、他人とのもめ事なんてどうにでもなりそうな気がする。

クラスメート、仕事仲間、遊び仲間、隣近所の皆さんとのもめ事も一大事だし
親友や恋人とのもめ事も心が痛くて辛いかもしれない…
でも、いざとなったら、エイ!っと投げ捨ててしまう選択もできるわけですよね?
もちろん、それはそれでパワーがいることだけど、どうせ他人なんだし…と割り切ろう!

だけど家族はね、どんなに気が合わなくても、もめても、全く好きになれなくても
投げ捨てることを世間が許さないのよね。
特に結婚で結ばれた関係でなく、血が繋がっていると「家族だから」と
一緒にいること、集合することが当たり前のように考えられてますよね。

マンローの小説には、頻繁に集まったり訪ねあったりして仲が良さそうに見えるのに
家族という集合体が抱える危うさというか、薄氷を踏む感じの会話や表現が
たーくさんちりばめられていて、それが肌寒さを感じさせるのかも…

そして毎回思うんだけど、マンローの小説は、2回目、3回目と読む度に面白くなるのよね。
前回とはまったく違う印象を受けたり、再発見がたくさんあったりします。
『愛の深まり』も、しばらく寝かせてから読んだら、再び楽しめそうです。

ひとことグルメコーナー

地元の各書店で大打ち出し中の『TokyoWalker武蔵小杉・日吉・綱島ジモト飯』 しばらく悩んだあげく買ってみました
休日引きこもりのわたくし、知らないお店が多かったです。 でも、昨夜はよく行くお店でディナーしちゃいました。

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