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Channel: まりっぺのお気楽読書
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『とんがりモミの木の郷』贈り物のような物語

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THE COUNTRY OF THE POINTED FIRS 
1890年 セアラ・オーン・ジュエット

相変わらず新しいパソコンが使いこなせずにおります・・・

セアラ・オーン・ジュエットは『レズビアン短編小説集』に収められている
『マーサの愛しい女主人』しか読んだことがないのですが
すごく気になっていました。
それで書店で見つけた時、嬉しくて嬉しくてダッシュ買いです。

この本には他に5篇の短編が収められているんですけど、この『とんがりモミの木の郷』が
半分以上を占めていますし、なにより素敵だったのでまずこちらだけ紹介します。

作家と思われる主人公の女性が、以前訪れて心惹かれた海辺の町
ダネット・ランディングを再訪したところから物語が始まります。
彼女は一夏をその町で過ごすため、ミセス・トッドの家を下宿先に選びました。

物語は21章から成り立っていて、各章に魅力的な人物やエピソードが登場します。
全部紹介できると良いのですが日が暮れてしまふ・・・ということで
ものすごく好きだった章をいくつか書いてみます。

8章の『グリーン島』
ミセス・トッドの母が暮らすグリーン島をボートで訪れます。
86歳の魅力的なミセス・ブラケットとの素敵な一日が始まります。
グリーン島でのエピソードは、11章の『老いた歌い手たち』まで続きます。

13章の『気の毒なジョアンナ』
ミセス・トッドの夫のいとこで、恋に破れて貝塚島という無人島で
独りでで暮らして生涯を終えたミス・ジョアンナ・トッドのエピソード。
15章の『貝塚島で』まで続きます。

20章の『海岸に沿って』
人気のない海岸を歩いていて出会った老漁師イライジャ・ティリーの家を訪ね
八年前に亡くした妻がいた時と同じように暮らしている老人から
亡き妻の話を聞きます。

お話は21章で女性が汽船で島を発ち、島影が見えなくなるところで終わります。
ミセス・トッドでなくても泣けてくるね・・・

大事件がおこるわけではないけれど、島独特の日々の出来事が
とても優しく穏やかで、ついこの島を訪れてみたくなります。

大勢の親戚・姻戚たち、不思議な言い伝え、海風を読む人々
平穏な日々と厳しい自然、冬の間靴下を編む漁師たち・・・

モームが描く南洋の島も魅力的ですが、北方の島の人々の寡黙さと勤勉さは
なんだか心にジーンとくるものがありますね。
そんな島の人々の暮らしを、愛おしい目で見つめながら描いた
日記と呼ぶには美しすぎる作品でした。

解説を読んで驚いたよ!この作品の舞台は(モデルはあったかもしれませんが)
架空の島だそうです。 すごいですね。
しかも連作があるらしい・・・早く翻訳がでないかしら。

とにかく、2019年の今、セアラ・オーン・ジュエットを発行してくださった
河島弘美さまと岩波書店に深謝です!!

新たな翻訳本を心待ちにしております
読んでみたいな!という方は下の画像をクリックしてね



ひとことお笑いコーナー
アンタッチャブル!! 嬉しかったよぉ 何度も見ちゃったよぉ 完全復活といっていいのでしょうか?
むかし柴田さんの動物ブログをフォローしてたんだけど、今はやっていないのかしら? おもしろかったよね

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