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Channel: まりっぺのお気楽読書
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『新樹の言葉』前向き、後ろ向き…人生って複雑ね

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太宰 治

何冊か太宰治の短篇集を読んでまいりましたが、この『新樹の言葉』は
一番感想が書きづらい気分でいます。

今までの短篇集にも「貧乏で酒好きで情けないし、書けないし…もう死んじゃいたいよぉ」と
いう話がちりばめられていましたが、そこはかとなくユーモアがあったのですよね。
でもこの一冊のそういった題材をテーマにした話は、すごく悲しくなったんです。
中には冗談などをはさんでる話もあるのですが、かえって目頭が熱い…

収載されている話が多いせいか、他の短篇集より幅広いテーマで書かれている気がします。
でもほぼ全編寂しくって悲しい…
30歳前後に書かれている話が中心ですけど、何がそんなに悲しかったんだろう…

そんな中では比較的前向きと思われる、好きだった話をいくつかあげてみます。

『葉桜と魔笛/1939年』 
老婦人が語る35年前の思いで話… 松江に移り住んだ後妹の病は悪化しました。
死期がせまっていると思われた頃、妹宛の手紙の束を見つけました。
それはラブレターでしたが、相手はどうやら病を理由に妹を捨てたようです。

このあと、男への怒りと妹の不憫さを感じた姉はある行動にでます。
O・ヘンリ的な展開と言えるかしら?
死をテーマにしているはいますが、暗くならなかった良い物語でした。

『新樹の言葉/1939年』 
甲府に滞在中「義弟だ」という男の訪問を受けました。
怪訝に思いましたが会ってみると、子供の頃乳母だったおつるの息子幸吉だと言います。
幸吉に誘われ食事に出ますが、立派な料亭で支払が不安になります。

その料亭っていうのが、幸吉が昔住んでいて、家が落ちぶれ売られた家なのね。
この物語のラストを作者が言うように「勝利」と 言っていいのかどうかはわかりませんが
これで本当に過去がふっきれたかもしれないね。

『花燭/1939年』 
働くことなく親からの仕送りで暮らしている“ 男爵 ” と呼ばれる男性がいます。
気の弱さから人々にたかられているのですが、ある日しぶしぶ知り合いの仕事先である
撮影現場を見に行き、以前実家で女中をしていたとみに会いました。
とみは女優になっていましたが、懐かしそうに話しかけてきました。

この二人がゆくゆくうまくいくとは思えないんだが… まぁ、とみの思いが通じるといいね。
女性の力で男性が変わってくれればいいんですけどね… しかし、なぜこの男がいいかなぁ?

以上、前向きとは言え一抹の哀しさがぬぐい去れない三編をご紹介しました。

あとはねぇ、すごく気になった話を二つ。

恋人とは言えない大切な人と数日を過ごす『秋風記』
二人の微妙な関係と、尋常とは思えない死への憧憬と、女性の夫と子供が気にかかる一編。

安井夫人が、女学校時代の友人の駆け落ちを語る『誰も知らぬ』
なんだかものすごく情熱的な話に思えるのよね。
友人の方じゃなくて、若かりし頃の安井夫人がね。

読み終わってしんみりしちゃうよ… でも考え込むほど重いテーマとは思えない。
死を扱っているとはしても、あまりにも個人的で考え込んでられないのよ。
たぶん教訓を与えようと思って書いていたのでは無いのでしょうね。
世間には、“ 弱い ” というのではなく、生きることに馴染まない人もいるのだということを
知ってほしかったのかもしれませんね。

ネガティブとポジティブが一編の中で入り交じったような独特な感じです。
ネジティブとでも名付けちゃう? ポガティブよりいいよね?

ひとことK-POPコーナー
SHINeeのつづき… 私は3日間かなりいい席だったのですけど、毎回隣に母娘ペア、前に恋人ペアがいたの
皆で楽しめてよかったです。 キーペンの中2のお嬢ちゃん&ママ、とっても楽しかったですね

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